第178話 預かりと企み
九頭『やだなぁ…本当に泥酔したとこに好き放題なんて…するわけ…?』
笑いながら辺りを見回す九頭は辺りの冷たい視線が全部自分に集まっている事に怯えているように見える…。
やっちゃいけないことなんていくらでもあるけど…これは…。
小佐田『だから、身の潔白示すチャンスっしょ?スマホ見せてよ?』
九頭『…なんの権限があって…こんなの冗談だって!バカやる仲間とノリで言った悪自慢みたいな…』
小佐田『じゃあ見せて?見て何も無ければ疑ってごめんなさいって謝罪するよ。』
九頭『いやいや謝罪ですまないでしょ?無理やりスマホチェックして何も無かったですまないでしょ?』
小佐田『万引きの荷物チェック拒否る犯人か。
そこをハッキリさせるために見せてって言ってんでしょー?』
九頭『本当に!本当は未遂で!』
未遂って…ヤル気まんまんだったんじゃないか。
でも見られちゃ困るモノが入っているから見せられないんでしょ?
もちろん本来小佐田さんに見せなきゃいけない理由は無い。
でも見せるに拒否しているこの状況がなんらしか九頭は黒だって言ってるようなモノで。
九頭は小佐田さんと永瀬さんを交互に見ている。
逃げ出しそうな九頭を抑える手が増える…浩?気弱な浩が一緒に九頭を押さえてる。
浩の視線の先は高橋さん。
高橋さんと二宮さんは永瀬さんと九頭の間に立って永瀬さんを庇っている。
…だからだね。
小佐田『じゃあ、この件大人に任せることになるよ?
そしたら警察とか案件だからね?』
警察ってワードに緊張感が走る。
九頭も体をこわばらせる。
緊迫感がピークに達したその時、
一ノ瀬『こんにちは、生徒会です。』
一ノ瀬会長が生徒会の役員と一緒に到着した。永瀬さんが連絡していたらしい。
一ノ瀬会長は手短に永瀬さんに状況確認し、田中くんは証拠としてノーパソを提出した。九頭と少し会話して頷くと、
一ノ瀬『この件は生徒会と学校がただちに精査して然るべき対応を取る形になります。
九頭くん、一方的に罰しようなんて思っていないよ。
でも事情とか状況とか話し聞かせて欲しい。一方的に決めつけたりはしない。
それは約束する。』
あ、今スマホいじると本当に不利になるからやめた方がいいって釘刺してた。
到着した教師と共に一ノ瀬会長は九頭を促して教室を出ていく。
永瀬さんもそれに着いて行く。
小佐田さんと田中くんに放課後話し聞きたいって言い残し一行は去って行き教室には平穏が戻ったのだが…
やっぱりさっきまでの緊張感が残っていて教室は異様な雰囲気だった。
俺と浩の元に田中くんが戻ってきた。
田中『…用事はあれだったんだけどね。』
『…びっくりした。』
浩『本当だよ!急にこんなこと!』
九頭には含むところも思う事もあるけど…でも女の子にそんな卑劣な事するのは絶対に許せない!なんとも言えない気分の悪さに顔を顰めていると、
日奈子『ありえないですヨネ、男の人と飲みに行くのコワイ!』
『…いやお前まだ飲めないだろ?いつからいたの?ダメ軍師?』
日奈子『…日奈子って呼んでください?クラスで寝たフリしてたら、昨日なんかチカン事件あったって聞きました。何か起こるならココかな?と思って張ってました。』
『…クラスで寝たフリしてるのか…。』
いつのまにか会話に混ざってた一年の鳳日奈子。
なぜ居る?って追求する前にクラスで寝たフリってパワーワードに引っ張られちゃって…不憫な。
田中『…宏介くんにまた可愛い子が…。』
田中くんにこのダメ軍師を紹介する、最近知り合ったポンコツ娘だよ。
鳳さんは田中くんに芝居かかった仕草でスカート摘んでハジメマシテって挨拶してた。そいつ帰国子女なんだよ。鳳さんはニコニコしながら、
日奈子『あ、私は気にしないでどうぞ?』
田中『…それでね…』
田中くんは少し前にナンパしている九頭を見かけてあいつなんかしてるんじゃ無いか?って思ってマークしてた。そこに小佐田さんが来て彼女も九頭を疑ってて色々調べてたら昨日!望ちゃんが!やらかして!いい具合に膿が出せそう!
ってなってたら今日こんな場面でしょ?ってことを矢継ぎ早に語り出す。
『知らなかった…そんな事してたの?』
田中『でも、もっと早く断罪しておけば良かったかもとも思ってる。』
『他に何もしてないよね?』
俺が確認すると田中くんは頷く。
映像研究会の今年の文化祭の映像作品を考えているだけって。
一応の安心をしつつ思うのは九頭がどうなるか?
俺の思案を横取りするように、
日奈子『フフ、クズの最初のセリフからテニス部は追放。
それプラス何かのペナルティが防げないと判断して生徒会役員のポニテ先輩にすがった…』
鳳さんのドヤ顔に俺は頷く、ここまでは異論無いし。
鳳さんはそのまま人差し指を顎に当てて、
日奈子『普段の親交を利用して手加減して欲しかった?テゴコロ?
でも断られた。ってとこでヤクザガール先輩とニンジャ先輩がファッキュー!』
鳳さんは中指を立てて…女の子がやめなさい…。
日奈子『これで罪状がさらに倍!ゴシュウショウサマくず。ってことですよね?』
『まあそうなるね。』
日奈子『この学校のトラブルやおかしなこと大体この辺に集まってる。
面白いヨネ!特に宏介くん先輩周り!』
ハイテンションの鳳さんを見て、
田中『…望ちゃんと気が合いそう…。』
『…わかるし頭痛い。』
日奈子『じゃ、私ヤクザガール先輩の話し聞いてきますね、チャオ!』
嵐のように鳳日奈子は去って行った。
この学校のトラブルやおかしなこと大体この辺に集まってる。って言われた時ドキッとした縁起でもないし…特に俺周りって…俺平穏に勉強と部活頑張りたいんだけど…。
さて、この一件どうなるのか?
多分ゴールデンウィーク明けに告示されるんじゃないだろうか?
☆ ☆ ☆
昼休みももう終わるって頃、永瀬さんと二宮さん、高橋さんが揃って俺たち3人のところにやってきた。
永瀬さんと高橋さんは少しモジモジしてそれを二宮さんがニヤニヤして見ている。
永瀬さんは俺に、
永瀬『さっきはありがとね?…九頭くん抑えてくれてたでしょ?
びっくりしちゃったけど宏介くんが…しっかり抑えてるの見えたから堂々と話せたよ。』
『…いや、びっくりするよね。』
女の子だもん荒事怖いよね。
永瀬『すっごい心強かったよ!もう一回だけありがとう!』
『…いえいえ。』
永瀬さんはちょっとジト目で、
永瀬『席が遠くなってからずいぶんお話しする機会が減っちゃったよね?
なんか一年の可愛い女の子が訪ねて来たり?』
ありがとうウルウルからのぷんすこ永瀬さん。
女の子は攻守の切り替えが早くて俺もバスケに取り入れたい。
『…なんかあれば助けるから。』
そう言うと永瀬さんは真っ赤になって、
永瀬『宏介くんの無自覚ジゴロ!天然おんなたらし!もう!』
そう言うとにっこり笑って上機嫌で自分の席に戻って行った。
横では浩に高橋さんが頬を染めながらお礼を言ってて良い感じだなぁって思った。
…田中くんはスンって感情を消した顔で遠くを見ていた。
俺と永瀬さん、浩と高橋さんをニヤニヤしながら眺めていた二宮さんはふたりが引き上げたのを確認すると俺に近づき、耳打ちした。
二宮『ね?宏介くん、ちょっとお願いがあるんだけど…?』
妙にセクシーな声色に俺は鳥肌が立つ!
永瀬さんに隠れがちだけどこの子もかなりの美人ギャル!
二宮『私、良い事考えたの♪
ね?うちの高橋ちゃんとそっちの浩くん良い感じじゃない?』
…承がよく言ってる、良い事考えたって言う時人は悪い事考えてるもんなんだよ?って。
…俺は浩の為になるならって乗った。
☆ ☆ ☆
二宮さんの企みが進行して行きますw
@tohrusanさんリクエストの宏介グループと永瀬グループお出かけ話しです。
ゴールデンウィーク最終日の予定です(笑)
順調ならね?
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