第177話 断罪
九頭はやっと教室の視線が自分に集まっているのを感じたのか、
九頭『ちょっと場所変えない?永瀬さん、ふたりで話し出来ないかな?』
永瀬さんは首を振り、
永瀬『…ここからふたりきりで処分が軽くなったら私は便宜を計ったって思われちゃうよ。皆んなの前で出来ないような話しはしたくない。』
九頭『…。』
九頭の今更の頼みは却下された。
小佐田さんと田中くんがそこに被せる。
俺は九頭を抑えながら皆の視線を感じていて大変居心地悪い。
小佐田『…九頭くんさあ?最近…いや結構前からだけど…色々やっているよね?』
九頭『…なんのこと?俺普通に暮らしてるよ?』
小佐田さんは形式的に話しかけただけだから九頭の返事なんか聞いていない。
小佐田『最寄り駅のターミナル駅でさ?ナンパしてるよね?しょっちゅう。』
九頭『…ナンパ?ナンパっていうか趣味の…声かけ?』
小佐田『可愛い女の子や綺麗な子で同年代の子に声かけまくってるじゃん?』
多分裏を押さえられているって感じたのかそれは認める。
でも!それが罪になるの?自由意志で!声かけてお茶して!アドレス交換してるだけじゃん!彼女居るって?彼女居たらダメなの?別に浮気じゃ無いよ!
逆ギレみたいに小佐田さんの言葉に過剰反応する。
九頭『別に誰に迷惑かけてる訳じゃ無い!ね?』
九頭は永瀬さんにそれは問題無いでしょ?って問いかける、
永瀬『…学校の制服着てナンパ繰り返してたら…学校のイメージ悪くなるよ。
そういった苦情みたいなのあってからじゃ遅い…問題にするね。
小佐田さんありがとう。』
九頭『自由恋愛でしょ!』
九頭は顔を歪め吐き捨てるように言った。
小佐田さんは表情も変えずに、
小佐田『田中くん。』
田中『はっ。』
また違う動画を再生始める…。
九頭と永瀬さんに見えるように。九頭を後ろから抑える田中くんが俺にも見えるように角度を調整してる…だからなんでドヤ顔なの?
そして再生された画面には…
☆ ☆ ☆
画面に映し出されているのは九頭がナンパしている光景…。
画面越しにでもわかる可愛い女の子を見てはひっきり無しに声かけて居てそのうち数名がちょっと話し込んでロイン交換したり、お茶したり。
問題なのは、
九頭『僕、そこの北翔高校の生徒なんだ。
…うん、そう。成績は良い方だよ?
彼女?居ない居ない!もうだいぶ前に別れちゃった!』
☆ ☆ ☆
ここで一回切られた。
九頭のセリフで成績は良い方って見栄を張ったとこで周囲の九頭の成績知ってる人々から失笑がもれて九頭は真っ赤になってた。
今日は赤くなったり青くなったり忙しい。
彼女と別れた!ってナンパしている音声は、
『無いわぁ。』
『いくらなんでも…。』
『引く…。』
九頭のイメージを確実に下げた。
無言の九頭に、
小佐田『続きあるけどさ?九頭くんはゆかりに悪いと思わないの?
…悪いと思わないからやるのか。』
九頭は乾いた笑顔で、
九頭『…ねえ?小佐田さん?
こんな皆んなの前でやらなくても良くない?』
小佐田『あんたさっき悪い事した訳じゃ無いって言ってたっしょ?』
九頭『…でもさ?プライバシーや俺に許可取って無いでしょ?
これじゃまるで公開処刑みたいじゃない…。』
小佐田さんは不思議そうに目をぱちくりして、
小佐田『これ公開処刑だよ?』
小佐田さんはため息つくと永瀬さんに、
小佐田『調べていたら遅くなった。
それでね?永瀬さんここからなんだ。
聞いて欲しいの。』
永瀬さんは頷く。
田中くんは続きを再生始めた…。
俺の後ろにも覗き込む生徒が何人も居る。
☆ ☆ ☆
場面はそのままターミナル駅。日付は違う日
九頭にチャラい男が寄って来る。
男『ちょりーす!』
九頭『ちょっちょーっす♪』
※ここで九頭真っ赤になってました。
男は九頭に近況を聞く、
いやらしい笑みを浮かべて盛り上がるふたり。
そして、
男『最近どーなの?こないだお持ち帰りした女の子どうだったー?』
九頭『あー、あの飲み会の?
泥酔させてラブホ連れ込んで好き放題w
最初抵抗してたけど最後諦めてた(笑)
めっちゃエロかった!動画見る?!』
九頭の底抜けの笑顔のまま動画は止まる
☆ ☆ ☆
静まりかえる教室。
画面の九頭と対照的に悲壮な顔してるけど誰ひとり九頭の味方は居ない、居る訳が無い。
思った以上の内容、自白と言って良い内容に驚く。
小佐田『九頭くんさあ?何も言わずにスマホ見せてくれない?』
手を出して小佐田さんはスマホ出せってジェスチャー。
身の潔白を晴らすチャンスだよ?小佐田さんの大きく無い声が教室に響く。
…だから田中くんドヤ顔やめなって…。
俺の手だけでなく俺以外にも九頭を取り押さえる手が増えた。
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