第168話 不審者!

四月下旬月曜日。毎日シューズBOXを開ける時やロッカー、机の中をチェックする。…緊張感がある。

特に月曜日はなんとなくまた手紙とか入っているんじゃ無いか?ってビビりながらチェックする。

田中くんもそれとなく周囲チェックしたり、カメラこっそり回しててそれも映像チェックしているけど不審な物は無く、不審な人も写っていないと。


昨日望が来て、クッキーくれてほんわかしてたのにもうこんな感じ。

先週から急に広がった愛莉先輩の中傷的な噂。

当然1番傷ついてるのは愛莉先輩で。

俺たちが庇ったり、打ち消しても。


『バスケ部はたぶらかされてるw』

『女王蜂みたいw』

『オタサーの姫(笑)』


嘲笑うように噂は出る。

愛莉先輩は、


愛莉『…女子同士って意外とドロドロしてるし?

結構仲良しにしてても裏では?とかあるから?一過性だと思うんだよね?

私、マネに夢中で皆んなに近過ぎたかも?あはは…。』


なんて言ってて。

実際噂は上記のように形を変えて続いている。

浸透仕切らないのは愛莉先輩が敵を作る人では無いのと、知ってる人は信じないから。

それでも噂に踊らされる人や面白がる人が居る事で愛莉先輩は傷つけられる…!



キャプテンが男子だけのとこで、


キャプテン『なんで愛莉マネが…!あんな良い娘居ないだろ!

夢中で頑張って俺たちのフォロー頑張ってくれてるのに!なんであんな良い子を中傷するんだよ!』


めっちゃキレてた。

俺は、練習後個人練習時間2人きりの時キャプテンに相談した。

俺に少し前手紙が来た事、『天堂愛莉に注意されたし。』って内容。


キャプテン『宏介!なんで!それ早く言わない!』


俺は胸元を乱暴に掴み上げられた。

キャプテンはおバカなとこあるけど陽気で優しい男。

後輩に暴力振るうような奴じゃ無いのはわかってるけど驚く。


…まあ無理ないよね、俺もムカついている。

主犯わかったら怒鳴り込みたい!


先輩、俺は呼びかけ経過を説明する。


手紙には、天堂愛莉に注意されたしとしか書いていなかったこと。

愛莉先輩には手紙のことを伝え済みで登下校注意して貰ってること。

部活中など自分や田中くんにも注意して貰ってること。


キャプテン『…田中くん?』


『…彼です。』


田中くんがデジタルビデオカメラ構えながら挨拶、


田中『…田中です。』


キャプテン『うわ!いつから居たの?!』


田中『練習のアップ終わった頃位からです。』


キャプテン『だいぶ前じゃ無いか!はじめましてかな?』


田中『…結構昔から、宏介くん待ちとかで体育館に居るのに…。』


田中くんは泣きそうだけどそれ特技だからね!

その田中くんのカメラにも不審者は写っていないらしい…。


キャプテン『そうか…話はわかった。

その手紙で予防策は注意促すしかできない。

宏介すまん。胸ぐら掴んで。』


『…全然大丈夫っす。』


キャプテンも一緒に考えてくれた。

手紙のこと部員皆んなに知らせても刺激するだけで益は無さそう。

もし…無いとは思うけど部員が犯人なら筒抜けちゃうし。

最低でも二、三年バスケ部所属では無いと思うんだけどなぁ…って呟くキャプテン。


キャプテンは言う女子マネはどうだろう?

愛莉マネージャーを姉のように慕っているように見える…。

でも?女の世界は結構ドロドロって愛莉先輩も言ってた?

一年は?一年にそこまでする動機あるか?噂広めるくらいはありそうっすね?

一年男子は逆に忠誠誓いそうな勢いで愛莉先輩の忠実な手下みたいですよ?


帰り道ずっとキャプテンと田中くんと3人で意見を交わした。

そこで出た結論は、


『何も出来ないけど愛莉先輩に何か起こらないか刺激しないように警戒すること。』

『手紙がこれで終わりだと限らない、続報があるかも。』


歯がゆいけど今まで通り様子を見るしか無い。

噂は絶対否定!


☆ ☆ ☆

翌日、登校時。


田中『昨日のキャプテンの話しだけどさ?

実際そろそろ次の手紙か手紙の投函した人から接触あってもおかしく無いよね?』


『…うん、確かに。』


田中『敵心理で考えるとGW前にもう一回仕掛けるか、風化しないようにGW直後また仕掛けるか?GW前後は要警戒だよ宏介くん。』


『…確かに。』


そんな話しをすると全てが疑わしい。

そう思って過ごしていると昼休みにが来た。

俺を訪ねて。




??『…あなたが斉藤宏介先輩ですヨネ?』


…一年生か?栗色の外はね髪の活発そうな印象の可愛い女の子が俺を訪ねて来た。

誰だ?面識は無い。その女の子は見るものを惹きつける笑顔で俺に笑いかけながら話しかけてくる。

俺の内部で警報が鳴る。

承じゃあるまいし俺に黙ってて可愛い女の子がやって来る訳が無い!


??『フフ♪警戒しないでください♪』


そう言われて警戒しない奴居る?

俺はもう我慢出来ない、


『…初対面でずいぶんだね?』


女の子は少し慌てたように、


??『まあまあ、そんな疑わ無いで?私は…?』


女の子は形の良い顎に指を当てると、

にっこり笑いかけて来ながら、


??『そうでスネ宏介くんの好きな軍師は?

最近何か変わった事はありませんでしたか?

その辺でちよっと話せませンカ?』


俺はその子の手を引いて!

…怖いので袖を引いて教室を飛び出した!


やっと向こうから接触してきた!

俺はこの怪しい娘がきっと手紙に関係のある人物かその関連の人物だって確信したんだ!


☆ ☆ ☆

その光景は1組を騒然とさせた!

え?一年生?宏介くん大胆!


成績上位組の2年1組で起こったお昼の急展開にエリートクラスはその話題で持ちきり!特進かつバスケ部で注目の宏介くんに突然のロマンス!

あの寡黙な男が可愛い一年女子と手を繋いで逃避行!


小佐田恋は呆れたように、永瀬綾は呆然とそれを見送る、



永瀬綾グループの3人は…。


高橋『宏介くん行っちゃったね?

…綾?』


二宮『どうした?あや?

あやの顔がはにわみたいなってるw』


首だけ高速で立ち去る宏介を追う永瀬綾。

ぎぎぎって潤滑油が足りてないようなムーブで顔を2人に戻すと不自然な笑顔で、


永瀬『…ほほほ。』


いつも元気で可愛い綾の引き攣った笑顔。

それすら可愛くて高橋さんは、


高橋『綾可愛いなぁ。』


二宮『え?そこ?!』


二宮新名は高橋に驚く。

永瀬グループは今日も平和だった。


☆ ☆ ☆

今日の誤字


宏介が怪しさ爆発の日奈子を尋問する為に袖を引いて教室飛び出すシーン。


正 教室を飛び出した!


誤 を飛び出した!


今日、シチュー食べたくなりました…!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る