第169話 密室

??『こんなとこに連れ込んでどういうつもりでスカ?先輩?』


栗色外はねの髪を揺らして目の前の女の子は楽しそうに笑う。

俺は空き教室にこの女の子を引っ張って来た。

聞きたいことが山ほどある!手紙のこと、愛莉先輩のこと、誰の意図?なんでこんなこと?やっと見つけたヒント。もしくはそれに繋がるなにか!


『…お前なんなんだよ?』


俺の問いかけに、


??『さあ?なんでしょうね?』


まともに答えないつもりか…。

女の子は楽しそうに、


??『ふふ、少し話しませンカ?例えば好きな軍師とか…?』


怪しさ爆発なんだよ、この女の子…!

さっきから軍師がどうとか…?

初対面でそんなこと聞く人なんて居るわけがない!

(断言)


俺も我慢の限界、ここまでの手紙に思い悩まされた日々や実際に愛莉先輩の危機。なんなんだよ!話し先にすすめろよ!

俺は話をはぐらかそうとする目の前の女の子を問い詰める。


『…そんなことより!

どういうつもりだ!手紙はお前が出したのか?

それとも3通の手紙の差出人を知っているのか?どうなの?』


…俺にしては口調が荒くなる。

手紙はいい、別に悩むのもどうでもいいし。

でも!愛莉先輩は!あんなに他人の為に頑張っている愛莉先輩になんで?!

俺は腹を立てていた。



??『…てがみ?手紙?3通?

ほほー?なんかまた面白そうなパワーワード…♪』


このガキ…ふざけてるのか?

それとも?


『…いいから!吐け!

お前は何を知ってる?知ってる事吐けよ!』


??『ひぃ!』


女の子はビクンと跳ねる!

久しぶりに大きな声だした気がする。

でもそれだけ俺も必死!


女の子は少しあわあわしながら、


??『先輩?聞いて?聞いてくだサイ?』


『聞く、聞くから全部話せ!なにが目的なんだよ!

なんでこんなことを!なぜ?!』


??『!!

ちょっと?!揺らさないで?!ヤメテ?!』


絶対に逃すまいと女の子の肩を掴んで少し揺すると動揺している、

ここは押しどき!勢い!


揺らされてあわあわしてた女の子が少しキレながら、


??『…話しをキケ!!』

『お前が聞けぇ!!!』


女の子のキレ声に被せてもっと大音量で怒鳴った俺は罪悪感でいっぱい…。



??『…ふうええぇえぇん…そんな怒らないでぇ…。

わたし、わたし何も知らないカラ…宏介くん先輩に聞きに来ただけぇ…

なのにぃぃ。ふえぇえ…!』



泣いて許されるわけが…本気で泣いてる…?

きっと男なら誰でもそうだろうけど…女の子に目の前で泣かれると…本当に困ってしまうわけで…!



??『パパン…ママン…日本コワイとこですぅ…。』


グスグスぐずるこの後輩女子…何も知らないって言ってたけど…

このタイミングでこんな怪しい女の子が思わせぶりに接触してくるなんてことある?心を鬼にして、


『…泣いても許されるなんて思うなよ?』


??『ナンデ?ムジヒ!

女の子にこんな事してただで済まないでスヨ?!』


自分を抱きしめ悲壮感出すな。

女の子は涙目で後退り。

…いや?そんな事はしないからね??


??『…!』


その時女の子が俺の後の出口を見て驚く、

誰?一応今の女の子泣かせてる状態は言い訳難しいほどマズイ状況…!

俺は後を振り返る!


『…誰も居ない?』


視線誘導技術ミスディレクション?!


さっきまで泣いてた女の子は不敵な表情で片頬を上げて反対側の出口の扉に手をかけていた、



??『私は鳳 日奈子オオトリヒナコって言いマス。

油断はしないほうがいいでスヨ?女の子は嘘泣きなんていくらでも。

特に軍師なら…ね?』



その女の子は鳳日奈子って名乗った。

嘘泣き?軍師?色々突っ込みたいところはあるけどやっと掴んだヒント!

絶対に逃したくない!



日奈子『ふふ、アデュー!』


そして日奈子とやらは身を翻し、教室前方の扉から…!


がちゃ!がちゃ!


日奈子『!!

あれ?あれぇぇ?!』



脱出出来なかった…。ここの鍵ちょっと癖があって初見だと開けにくい。

そのポカンとした顔に腹が立ってきた。


…こいつ…昔の望みたいにおしりを引っ叩いてやろうか?

※猛獣小学三年生の頃触るなって言われた宏介の大事な高価プラモを再度注意したのにも関わらず触って破損させた望を承の承認を得ておしりを1発叩いた事があります。



日奈子『…なーんちゃって♪』



黙ったまま視線を交わす事数秒。

日奈子とやらは引き攣った笑みでごめんなさいって呟いた…。

マジなんなの?

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