第163話 そんな事しない!【side三島皐月】
昼休みの九頭くんの話をゆかりは蒸し返す。
場所は中庭。私たち以外にもベンチで座って話す子たちはいっぱい居る。
私は紅茶、ゆかりはいちごオレを飲みながら。
正直意外なのよね。
今までだってこの事話す機会があって?留年危機で忙しかったってのはあったけどゆかりは九頭くんの話題を意識的に避けていた印象すらあるのよね?
ゆかりは真面目な顔で、
『皐月、じゃ本当に皐月が机や上履きの犯人じゃ無いんだね?』
頷きながら、
『そりゃそうだよ、あの頃のそんな事しなくて勝てるって思ってたし?ゆかりの事なんて忘れてたって。ミスコンのエントリーだってだれこれ?だったもん。』
ゆかりは納得したように、
『皐月は今私に嫌われたらぼっちだもんね?嘘は言わないよね?
皐月は自分の見た目に誇り持ってる…そうゆう手は取らない…!』
何気にぼっちをディスられたような気もするけど信じてくれたんだよね?
ゆかりは考え込んで、
『じゃあだれ?だれがそんな事をしたのかな?あの時期の私のことなんて誰も注目して無いし、まだ嫌われるような事も…。』
…私も言いたいのよね。
『…本当は前々から言いたかった。
ゆかりにとって憧れの王子様なんだろうけど…九頭くんは…ううん九頭は正直くそやろうだと思う。』
※今日のおま言う。
ゆかりは苦笑いしながらも何も答えない。
私はそれでも止まらない。
『自分を庇うわけじゃ無い、あの頃私とゆかりは敵だった。
でも、九頭はゆかりの告白を笑いモノにして、おもしろおかしく…!
ゆかりと付き合っても永瀬綾に言い寄ってたし!あんなクズゆかりにふさわしく無い!』
私が語気強く言うとゆかりは微笑みながら、
『ある意味相応しいんだよ。
ダメ女クズ男…割れ鍋に綴じ蓋…なんてね?』
ゆかりは寂しそうに笑った。
私はもう九頭はゆかりに気持ち無いし、ゆかりにクズはふさわしく無い。
ふたりは別れた方が良いって思うんだ。
それを言うけどゆかりは黙って首を振るばかり。
『…その上履きや机以外にもね…。
九頭くんと歩いている時にハンマーで襲撃されたことがあってね?
知ってる?前に話したでしょ?』
?
『カッターじゃなかったっけ?』
『…皐月はちゃんと聞いてたんだね?』
163話 乗換参照。
ひどく無い?さすがに!
ゆかりは真面目な眼差しだから、
『…もちろんそんな事していない、親友に誓って。』
ゆかりは頷いた。
☆ ☆ ☆
その際、
九頭『ま、ま、まじで?!
刃物使うなんて聞いてない…。
怪我したらどうするんだ…。』
☆ ☆ ☆
ゆかりは考え込んで、
『確かに…聞いて無いとか色々コメントがおかしかった…あの頃の私は…浮ついて、何も見えて居なかった…。』
色々出揃った…やっぱり九頭くんの秋の行動に不審なことは多いって結論になった。
九頭…ゆかりをよくも!私は九頭が悪いと思う!って断言した。
ゆかりは、騙される奴が悪いし、バカなことしたのは自分が悪くて…
だから納得しているって。
そして小佐田に悪い噂や九頭くんの評判を回復させるために、
『別れない』って誓いたてたって呟いた…。
『ゆかり!そんな約束守る必要無いよ!
特に自分に都合悪い約束なんて!小佐田も小佐田!』
※さすが皐月嬢。
ゆかりは小佐田さんには世話になったし、約束を違える訳にはいかないって言い張る。
その数日前まで宏介くんだけが拠り所だったのに私は裏切った。
…私には相応しい…諦めたようにゆかりは呟く。
…私にはどうする事も出来ないの?親友が苦しんでいても…!
私は無力感に呟く、
『なんでゆかりが…誰かのせいなんじゃない?
きっとそうだよ!誰か悪い奴が!企んで!』
ゆかりはため息吐きながら、
『皐月、高校生でしょ?駄々こねないで自分のした事に向き合わなきゃ?』
『…私は良い条件の彼氏に切り替えただけで何も悪い事はしてないし…?』
すると背中合わせの後ろのベンチから、
??『ふふふ!部外者の目線での今の話しの印象聞きたく無いですか?』
後ろのベンチから話しかけて来たのは…制服のリボンの色から一年生。知らない娘だな?
栗色の外に跳ねた癖っ毛の結構可愛い女の子。
目が大きく人目を引く容貌をした生意気そうなこの娘は、
??『今なら軍師目線でアドバイスしてあげますよっ!』
『…私,軍師とか武将とか言ってる奴苦手なのよねー?パス!』
手でばってん作って断るとそいつはしょんぼりとベンチに座った。
ゆかりはなんとも言えない表情でそれを黙って見ていた…。
チラッチラッそいつは未練がましくこっちを何度も見ていてゆかりが見かねて声をかけた…放っておけば良いのに…。
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