第156話 手紙の確認。
1通目の手紙には
『天堂愛莉に留意されたし。』
の一文。
これが1番コピー用紙だけって嫌な感じの手紙だった。
残りは普通封筒と、手紙用の封筒✉️。
これより悪い内容は無いはず…。
俺は白い普通封筒を開ける。
のり付けされていないので中の紙はすぐに出て来る。
うん、A5かな?普通のコピー用紙だよな?
内容は、
『小佐田恋に注意。』
(なんだよ…これ?)
俺はまた出て来る怪文書に気味悪さが拭えない。
1通目といいなんでだ?
俺になんのメッセージだよ?
…ラブレターとかだったら面倒でも良かった。
誹謗中傷では無いけど…悪意があるメッセージでしょ?
この例なら小佐田さんが俺に悪意あるか小佐田さんが悪意あるって俺に吹き込む為のメッセージ。
封筒も用紙もなんの変哲も無く、ただPCで印刷したって感じの無個性な手紙。なんだこれ?
最後の1通。白い手紙✉️。
これだけはまともなメッセージであってくれ!
俺は祈りような気持ちで手紙を開ける。
これもノリ付けされてない。A5シンプルの掛け線だけの便箋?
やっぱりな。ここまで来て何事も無いメッセージな訳無いわな。
そこには、
『永瀬綾に気をつけて。』
ふー。
3通出揃った。
頭の中で組み立ててた最悪のパターン。
何にもわからないし対策立てよう無いパターン。
宛名も無いし、無個性で投稿者の証拠も無い。
あるのは人物に対する警告だけ。
例えばこれが『永瀬綾に近づくな』なら推理できる事は俺が永瀬さんに近づいて欲しくないってこと。
俺が永瀬さんに近づかなきゃ良い話だし、俺に近づかれたく無い奴が投稿者って事で?多分永瀬さんを好きな人なんだろう?そしたら行動や相手は多少想像がつく。
しかし、今回の3通。
1『天童愛莉に留意されたし。』
2『小佐田恋に注意。』
3『永瀬綾に気をつけて。』
忠実に読むなら俺に好意的警告か該当人物の悪評を俺に伝えている。
…強いていうなら1番だけは愛莉先輩の心配か俺への忠告。
子供の頃夢見た軍師ならこんなの見通して裏をかくのに…!
もう一つ、これ3つとも同じ人か?3人か?
これもわからない。
コピー用紙は1、2番。封筒は2、3番と共通しない。
わざと別々に見せてる?
それとも本当に別々?
1:2って事は無さそうな気がする…。
こうゆう事する人間だもん、もし先に手紙入ってたら読んじゃいそうだし?読んだら場合によっては捨てたりしそう?
たまたま場所が被らなかった?それも?
考えれば考えるほど思考は迷宮入りするばかり。
俺はため息をついて身体測定へ向かった。
手紙は捨てたり、適当に置いておくわけにもいかずにずっと持っていたんだ。
☆ ☆ ☆
身長166cm…。
もう少し、例えば169cmなら大丈夫170cmは超えるって安心出来るのに…!
冬ごろ保健室で測った165cmから微増してはいるけど…。
承は175位はある。もう少し欲しい…。
身長の事で一瞬手紙を忘れたけど身体測定中も思うのはこの手紙の事ばかり。
…誰かに相談するか?
校内なら…田中くんか?
一応、この学校で俺が親しいなって思う女生徒トップ3が名指しで手紙に書かれていた訳で。
まして愛莉先輩に至っては留意されたし。何かあるのか?
永瀬さんと小佐田さんに気をつけて?注意?これだって本当のところはどっちだ?
俺に対する忠告なのか、彼女らに疑心を持たせる策なのか?
☆ ☆ ☆
昔、承と三国志のゲームしててさ?(小学6年生)
承『偽書(偽の手紙)の計でみるみる武将の忠誠下がっていく。』
宏介『…信頼が無いと偽の手紙でも信じちゃうんだね?』
承『こっわ!軍師こわ!人間性うたがう!』
宏介『…こんなんで惑わされる奴が悪い。』
承『さすが軍師になりたい男!』
宏介『…それ言うなって!』
☆ ☆ ☆
(承、偽書の計略は効果あるんだよ?)
俺は子供の頃の自分のコメントを訂正したい気持ちでいっぱいになった。
身体測定を終えてクラスは賑わってる。
身長伸びた!体重増えた!そんな声があちこちから聞こえる。
成績上位だろうと高校生そんなに変わらないんだね。
少し考え込んでいると、
小佐田『斉藤くん?どうしたん?具合でも悪い?』
優木『なんか顔色良く無いですね?保健室行きます?』
小佐田さんと優木さんが通りかかって優しい言葉をかけてくれるけど…。
そうだ、ちょうど先ほど永瀬さんにも使ったばかりだよね、
『…いや、ちょっとね?体調が悪いかも?
…大丈夫。』
小佐田さんも優木さんも真面目な顔で、
小佐田『アスリートは鍛えてる分、そっちエネルギー持ってかれるから病気や体調不良は大敵だよ?早めに休むなりケアした方が良いよ?』
優木『ですです。』
ふたりに礼を言い、受け取った教科書をカバンに詰めて俺は今日は帰る事にする。キャプテンに体調不良のロインを入れて、
田中くん映像研究会出るかな?いや、ここはわがまま言おう!
田中くんに秘密で相談したいってロイン。即了解返事が来た。
永瀬さんも帰り際、
永瀬『やっぱ具合悪いんだ?無理しないで早く休んでね?
…明日も無理しないでね?』
心配そうに小さく手を振って見送ってくれた。
クラス男子がやっかむ視線を俺に突き刺す。
…この中に居るのかな?
いや、考えても仕方ない!
俺は田中くんと連れ立って帰る事にした。
田中くんは珍しい俺のお願いに緊張と嬉しさを滲ませる。
…田中くんだけは信頼出来るだろ?中学からの付き合いだ。
電車の中で愛莉先輩から長文で俺の心配が滲み出るような優しいロインが届く。
…3人とも俺にとって親しい、優しい良い娘たちなのになんで?誰が?どうして?やっぱり考えちゃう。
新川駅に到着して俺は田中くんにやっと今日の要件を伝える。
俺の家に一緒に向かい、現物を見せて俺は今日の手紙の事を出来るだけ私見交えず説明する。
…きっと田中くんだってこれじゃ推理は不可能。
でも俺と違う視点で見た印象を知りたいのと、この状況を知ってて欲しい。
田中くんを信頼してるから知ってて欲しかった。
全部聞いて、全部見て田中くんは少し考えて口を開いた…。
☆ ☆ ☆
登場人物一覧に宏介の子供の頃の夢と望が聞き出した愛莉先輩のスリーサイズを追記しましたw
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