第153話 特進クラス!

いよいよ新学期が始まる!

昨日の練習試合で春休みを終えていよいよ俺も2年生!

今日が始業式、明日が新一年生の入学式で明後日対面式って流れで三日間ほどはイベントばかりで授業が無い。


親友の田中くんと新川駅で待ち合わせていつもの通学路。

自然に話題はクラス分けの話し、


田中『…問題無ければ僕も宏介くんも1組の特進クラスになってるはず?』


俺も平均で学年10位、田中くんは学年3位あたりだからね。

例年上位30位くらいの進学希望者を2年時に集めた特別進学クラス、略して特進と呼ばれる選抜クラスにいける。

学食や購買部、学校イベントの優先権から自習室や各種教室の優先使用権、塾の人気講師出身の特別授業など特典も多く、特進クラスの進学先は国立大や医大など誰もが知っている所へ進学する生徒が多くて北翔高校の象徴的システムのひとつ。


『…多分大丈だと思うんだけどね?』


田中くんと笑いながら学校へ向かう。

春休みの話しや承や小幡青井カップルといった中学時代の親友の話しをしながらターミナル駅へ向かう。

学校へ着くと新クラス発表の看板に人だかりが出来ていた。

皆んな一喜一憂の表情。

…そうだよね?このクラスで一年過ごすんだからめっちゃ大事。


さて…目を凝らして自分名前を探す…1組から…。

…!あった!

1組!となりの田中くんの名前も俺の3つ下にあった斉藤と田中ありふれた苗字!また斉藤がクラスに3人居る…必ず同じ苗字が居るから毎回、宏介って呼んで?って言う羽目になる。


北翔入学時から目標にしていた特進に入れた!

また三年時に1組の特進をキープ出来るか?2組の準特進に落ちるか?って試練もありつつ新たな切磋琢磨が始まる!


それはそれとして!まずは目標達成!

俺は田中くんと手を挙げてハイタッチ!

…って瞬間!



永瀬『どーん!』


どん!


田中くんが横に吹っ飛んだ?!

永瀬さんが横から田中くんに体当たり!ハイタッチに割り込み!


パンっ!!


小気味の良い音を立てて俺と永瀬さんは綺麗にハイタッチ!


永瀬『宏介くん!特進おめでとう!』



永瀬さんは輝くような笑顔で私にも?私にもおめでとして?って催促するような表情でニッコニコ。


『…永瀬さんも特進おめでとう。』


永瀬『ありがと!また一年よろしくね♪一緒に教室行こう?ふたりで?』


田中『宏介くんは俺とふたりで教室行くんだよ?』


?!


いつのまにか反対側に居る田中くんはメガネポジを直しながら俺に行こうってハンドジェスチャー。


永瀬さんも驚いていて、


永瀬『思いっきり突き飛ばしたのに?!』

※女子バスケ部で鍛えたフィジカルで力いっぱい押しました。


突き飛ばした先には…丸太?丸太って…?


永瀬さんは少しビビりながら…


永瀬『え?え?変わり身の術?!』


田中くんはクールな笑顔で、


田中『思いっきり突き飛ばされたよ!

…めっちゃ肩痛い…。

なんであんなとこに丸太あるんだよ!

宏介くん!こんな暴力女なんて放っておいていこうよ!

暴力ヒロインんなんて今時流行らないんだよ!』


永瀬『は?暴力ヒロインって誰に言ってるの?』


突き飛ばされた田中くんは丸太にぶつかってすぐ反対に回り込んだだけみたいだったけど…最近田中くんもちょっと信じられない動きを見せるからなんとも言えないよね…。

とにかく田中くんと永瀬さんは仲が悪くって俺を挟んで罵りあうのは勘弁して欲しい…。


☆ ☆ ☆

2年1組ってプレートの教室へ着く。

今日から一年、ここで過ごすんだ。


がら!扉を開けて中へ入る。

教室の生徒の大半がこっちを見てる…。

中には見知った顔もある。



二宮『あやー!なんとかイケた!』

高橋『永瀬さん!今年もよろしく!』


旧4組の一軍女子トリオはそのまま1組へ!


浩『宏介くん!良かった!』


俺の友達の浩も1組!

康司は残念ながら1組に名前が無かった…。


五十音順に並ぶ男子女子の列。

俺の斜め前の女子は…。



『小佐田さん、同じクラスだね。よろしく。』


小佐田『…斉藤くんよろしく。…涼くんが昨日バスケ部練習試合すごく面白かったって言ってた。』


涼はスポーツ科の野球部の生徒で小佐田さんの彼氏。野球少年が爽やかに強く成長したような男で良い男なんだよ。


『…涼ってさ?考えて無いように見えてめっちゃ見てるし勘が良いよね?』


共通の知人の話しを振ってみる。

小佐田さんとそんな仲良く無いんだけど小佐田さんは彼氏に一途でそういう子は信頼出来るしこの娘は頼りになるタイプだから仲良くしたいと思う。


小佐田『わかる?涼はね?脳筋とか言われることがあるんだけど…実はそんな事ないの!勘って実際定義として?過去の実績や経験に基づく未来予測ってことでしょ?』



思ったより食いついて少し驚いていると、俺の視線に気付いた小佐田さんは少し赤くなりながら、



小佐田『ま、まあ涼もよろしく言ってたし?一年よろしくね?斉藤くん?』


その後小佐田さんは同じクラスだった優等生っぽい女子と話し込んでいた。

全体的に学年上位なだけあって試験結果で見た事ある名前の生徒ばかりでこんな子だったんだ!って驚きがたくさんあった。


男子は大人しそうな勉強に力入れてる!って人が多い印象。

女子は多分永瀬さんのトリオがトップになりそうな雰囲気。小佐田さんとも同じ中学だし同じグループになるのかな?


気づくと田中くんが小佐田さんと話していた。

仲良かったんだ?少し意外だった。

特進クラスって勉強中心で面白みの無いクラスの可能性も高いって思ってたけど知り合いも多く思ったよりも楽しくなりそうな気がする。


俺は今年は穏やかに勉学に部活に励めたら良いな!って思ったんだ。

…まあ当然色々起こるんだけどね…。



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