第147話 紅緒さんは味方が欲しい
本屋さんへ到着して、各自で色々見て周る?って事になった。
本屋さん好きな立花兄妹はすぐに絵本コーナーへ移動していった。
ひーちゃんの絵本だな…。
今日2人一緒に出かけたって知ったら末の弟ひーちゃんげきおこなんじゃ無い?
ほっぺ膨らませて怒るらしいよ?
その光景を想像してふふってなっているとこに後ろから話しかけられる。
慌てて表情を戻す俺。
なにかな?
紅緒『承くんと望ちゃん何処行ったのかな?宏介くん知っている?』
『…ひーちゃんの絵本だと思うな。』
俺はあっち行ったよ?ってジェスチャーで指し示す。
紅緒さんはあ!それね!って顔して納得したみたい。
あと追うのかな?って思ってたけど移動せずに話を続ける、
紅緒『今日はダブルデート受けてくれてありがとう。』
『…うん、愛莉先輩も楽しそうだよ。』
ふふ!はは!笑い合うんだけど…紅緒さん?何か言いたい事あるらしい。
目の前の清楚な黒髪美少女を改めてまじまじ見てみる。
黒い艶々なロングヘア、信じられないほどの整った顔に強く美しく輝く瞳に日に当たった事無いような白さ。細くて華奢で本来すっごい好みのタイプ…。
でもこの娘かなりのトラブルメーカーで世間知らずの自爆少女。
承から聞いててなんて面倒な娘なんだろうって思ってた。
その娘が少し緊張しながら俺に言う、
紅緒『ね?宏介くん。
宏介くんはさ?承くんの彼女って誰が相応しいと思う?』
誰がって表現だけど、どっちが?って聞こえた。
…承は子供の頃から香椎玲奈が好き。
俺たちの代で完璧女子なんて呼ばれた才色兼備のお嬢様。
承と色々あってお互いに惹かれあい高校進学を機に付き合うかと思ったふたりだけど…。
※本編の委員長に恋した自分の話 参照
高校に入り承がこの紅緒さんを助けて一緒にアレやこれやしているうちにこの娘がすっかり承に絆されて承に告白して、猛アタック中らしいんだけど…。
…俺の意見は決まってる。
『…承が決める事でしょ?』
紅緒さんは不満そうに、
紅緒『…そうなんだけどね?
…玲奈は強い。綺麗だわ可愛いわセクシーだわ!
しかも健康!賢い!多才に多芸!なんなのあれ!』
文句言いつつ嬉しそう。
面識あるのかな?
紅緒『玲奈の家にこないだ泊まり行って言いたい事言ってやったの!
玲奈は目を白黒してたよ!
…あの子は何でも持ってる。』
意外、香椎玲奈にそこまで踏み込む人はそうは居ない。
そう思いながら紅緒さんの話を聞いている。
嬉しそうに楽しそうに玲奈はライバルなの!って宣言する紅緒さん!
承はこんな美人にそこまで思われて?
…比べて俺は…まだ女性の裏切りが怖くて女性自体が苦手なありさま。
承の器って言うのか?俺には無い懐の深さと厚みがある。
それが親友として誇らしい。
紅緒さんの話は承との馴れ初め、どう助けられたかを熱く語り出す。
俺は話に引き込まれてうんうん聞いてる。
気づけば話は盛り上がりすっかり意気投合!
紅緒『やっぱり宏介くんは承くんの親友!
承くん好きすぎ!』
『…紅緒さんも承をわかってるね…!
承の上っ面だけ見て?わかってるつもりで居たら?説教したかもしれない。』
紅緒さんはハッと思い出した!って顔して、
紅緒『それで!それで冒頭の話!
…宏介くん。私が宏介くんと愛莉さんの仲を取り持って見せるから!
だから!私と承くんの間を取り持ってくれないかな?』
胸前で両手をきゅ!って握ってお願いしてくる紅緒さん…。
黒髪美少女のおねがいは絵になるのだが…。
『…承が好きな人と付き合えば良いと思う。
承が紅緒さんと付き合いたいなら喜んで応援するよ?
…あと俺と愛莉先輩はそういうんじゃ無いよ?』
紅緒さんはくるくる表情の変わる女の子。
またぷんすこしながら、
紅緒『だ!か!ら!玲奈が相手じゃ不利なの!
親友の宏介くん推奨なら承くんだって選びやすいじゃない?』
『…トップブリーダー推奨みたいに言うな。』
紅緒『承まっしぐら!って行かないかなぁ?』
とにかく、俺は承が好きな子と結ばれるのを願っている。って伝えた。
だから紅緒さん恋路を邪魔する気は無いし上手く行くと良いね?って伝えると目をまんまるくして、
紅緒『…意外。宏介くんは玲奈推しなのかと思った。』
『…別に。承が好きだから聞かれたらアドバイスや忠告するけど…。
別に誰と付き合っても承は承だし。』
紅緒『承くん好きすぎ!負けないよ!』
俺は紅緒さんと笑いあった。
…他の男性が好きなのがわかっているからなのかな?
中学時代の友人の小幡さんと同じで紅緒さんに女性恐怖症の症状は出なかった。なんせ承好きに悪い奴が居るはずが無い!
紅緒『…前に聞いたアドレスで連絡するね!
味方してくれなくても良い!玲奈側に付かなければ十分!
承くんの事また教えてね!』
『…いいよ。』
…紅緒さんのことは成績良くて学習能力高いって聞いてた。
でも思ってたよりすごい娘だ。
ライバルの家に泊まりに行き、宣戦布告して。
承の親友の俺を味方に付けようとしてダメでも中立を約束させる手腕。
…失礼だけどおばかっぽいのに打つ手が的確。
実行力と行動力がある不思議なヒロインに承は完全に狙われている。
最後にさっきのカフェで何であんなに望と揉めていたのか聞いて俺は腹を抱えて笑った!
何それ!しょうもない!
承が紅緒劇場と評するこの娘の笑い話しの1ページを垣間見たんだ。
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