第143話 姉ポジション【side天堂愛莉】
私たちは県内最大級のショッピングエリアに来ている。オシャレから定番、高級ブランドからディスカウントなストアまで何でも揃っちゃう地区なのよね。
宏介くんと事前に話しててまたスポーツショップでバスケの用品を見に行く予定だったのね?立花くんもバスケしているらしくて今日何か聞かれるかも?って言ってた。
スポーツショップへ行く事を宏介くんが親友の立花くんに伝えると俺も行く!って。
そしたら宏介くん、見たこと無いほどの笑顔でこっちこっち!って!
…いつも宏介くんの無表情の中に実は表情があって私はそれがわかると自負していた。
なのに宏介くん…今日はずーっとニコニコしているのよね…。
承くんもスポーツショップへ来たから皆んなでゾロゾロスポーツショップ。
このお店は県内最大規模でちょっとテンション上がっちゃう!
宏介『…承、このバッシュが…!』
立花『おお?!めっちゃ格好良い!』
宏介くん?私忘れてない?
って思った瞬間、
宏介『承、こういう事は愛莉先輩が詳しいんだ。
ね?愛莉先輩!』
目をキラキラさせて立花くんに説明してた宏介くんが私に急に話を振ってくる!
『あ、そのニケのバッシュはクッション性とグリップ力に優れてるシリーズだね…。デザインも格好いいよね!』
宏介『アシュックススはどんなバッシュなんです?
『日本人の足の形に合った設計が特徴だね。安定感とクッション性に優れてるよ。
慣らしやすいって評判良いよね。』
一通りバッシュの豆知識を聞かれるがまま答えると立花くんは感心しきりに、
立花『…さすが。
宏介がいつも話ししてくれるんです、愛莉先輩!愛莉先輩って!』
宏介『…。』
そうなの?宏介くんは赤くなって目を逸らしている…。
ちょっと放っておかれた?って思ったのに私も現金で頼られると嬉しくなっちゃう!
宏介くん、立花くんにどんな話しをしているのかな?…そんなに私のこと話すのかしら?
ふふ!まあ良いよね?聞かれたらなんでも答えちゃうよ!
お姉さんに任せて!何でも聞いて?知ってる事なら答えちゃう!
そうしたらね?皆んなと色々スポーツ談義に花が咲いちゃう!
立花『3on3なんですけど、試合を支配されちゃう時に…』
『感情的になってしまわないように感情をコントロールして…』
宏介『…パワー欲しいけど筋肉付けると重くなって動き出しの…』
『速筋、遅筋のバランスで宏介くんの場合はバランス良く…』
セリー『あたしはテニスなんですけど、バスケと同じで瞬発力もスタミナも必要なんですケドどんな筋トレがおすすめデスカ?』
『…テニスは専門外ではあるけどスピードスタミナ瞬発力パワー満遍なく必要だからコーチと相談しながら…?おすすめはサーキットトレーニングかな?
有酸素運動と無酸素運動を交互に繰り返し…』
望『愛莉さんのスリーサイズ教えてください!』
『うん?上から92、60、86…。』
紅緒『愛莉さん!ダメ!望ちゃんの誘導尋問!』
『え?あああ!』
私は自分のうかつさに顔真っ赤!!
男子ふたりも顔を赤らめて、
立花『…すごいの?』
宏介『…すごいよ。』
JCコンビは神妙な顔しながら…私の身体を触りまくるの!
ちょっと?ダメだよ!あっ!
セリー『…失礼します、あやかりたいデス。』
望『失礼します。これがメイドインジャパン!』
男子2人は我に帰ったのか慌てて私に謝って頭を下げる。
…望ちゃんは…立花くんに首根っこ掴まれてた…。
立花『…妹が本当に申し訳ないです。よく言って聞かせます…。』
宏介『…すいません、こいつ猛獣なんです…。』
私は大丈夫だよ!って伝える。
スリーサイズ公表しちゃって恥ずかしいけど…。
でもね、なんか不思議な相性の良さを感じる。
立花くんと宏介くんは昔からの親友同士って息の合った漫才みたいな楽しい会話。
紅緒さんはスポーツの話しの時は静かだったけど陽気で楽しいムードメーカー。
望ちゃん(ウロヤちゃん?)とセリーちゃんも息の合ったコントみたいなじゃれあいが可愛い。
この雰囲気がすごく楽しくって私は笑っちゃう。
承くんと宏介くんが肩を叩き合いながらあはは!って顔をくしゃくしゃにして笑い合う!
紅緒さんが望ちゃんを揶揄ってセリーちゃんがクスクス笑ってる。
なんか楽しいよね。
ダブルデート!って言われた時は身構えちゃったけどこう言った形も楽しいし疲れないからとても良いんじゃないかな?って思ったのよね。
…私はすぐに男の人に声かけられたり、口説かれる。
差堀先輩と別れてからも結構な数の男子に口説かれたり色々誘われるけど…正直気が乗らない。
…あーあ、皆んな宏介くんのようにゆっくりマイペースに女性と接してくれて。
ストイックにスポーツや勉学など自分の道を追求していたら良いのにな。
承くんにじゃれつく宏介くんは年相応の男の子で。
普段私の前では出さない表情を引き出す親友くんに少しジェラシーを感じちゃうよ。
まだまだ修行が足りないね?お姉さんへの道は険しく遠い!
☆ ☆ ☆
細かなモノを買った立花くんと宏介くんはそれぞれお会計を済ませる。
それぞれお手洗いやすぐそこのお店を覗いたり今は散開しているの。
次はどこ行くのかな?宏介くんが真っ直ぐに私のところへやって来る。
あれ?皆んなはどうしたの?
宏介くんは笑いながら、
宏介『今日は一応?ダブルデートです…。
こっからふたりきりで歩きましょうか?』
『ふぁっ?!』
宏介くんは爽やかに微笑むとこっち!って私の手を引っ張って先を歩く…!
うん?違う、私の袖を軽く引っ張っている?
軽く引っ張られるから私は慌てて足早について行くけど。
(…さっきまでわんぱく少年の顔してたのに!…急にお姉さんをリードし出すなんて反則でしょ!)
私の頬が熱い!宏介くん!女の子怖いんでしょ!
なんで?
手を繋げ無くって袖を引っ張る女の子を少女マンガで見たことあるかも。
…でも引っ張られるのは不快どころかキュンキュンしちゃって…!
宏介『あ!すいません…。』
宏介くんは慌てて手を離す、宏介くん真っ赤!真っ赤っか!
『う、う、うん!』
宏介くんのお姉さんが私のポジションって思い定めたのに心臓は言う事を聞かずにドキンドキンと早鐘のようにこの状況が嬉しい!楽しい!って私に知らせていた。
どうしよう?デートっぽくなってきたかも…?
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