第141話 待ち合わせ

『…待った?』


??『おそい!』


『…時間通りでしょ?今日どうなるかな?』


??『話しずらすなよ宏介!』


あはは!グーパンぶつけて承と笑い合って駅へ向かう。

…何気に承と出かけるの久しぶり!ちょっとテンション上がるよね?

※今日のデート相手は承じゃありません。


俺は思い返す。

紅緒さんが承を振り向かせたい一心で愛莉先輩に懇願して今日のダブルデートが実現した。

承からも聞いているけど、紅緒さんは承に告白して断られたけどずっとアプローチし続けるメンタルの強いお嬢さん。

体弱くて入院長くて世間知らずらしいけどひたむきに純粋でエネルギッシュな女の子。

承は香椎さんが子供の頃から好き。だから正直厳しいとは思う。

でも、そんなに一生懸命に人を思える子の応援はしてやりたい。

もちろん承の気持ちが1番なんだけど。


承『…今日は楽しくなると良いな?』


『…ああ。』


女性恐怖症もあるし、不安も多いけど承が居るし!

俺はほどほど楽観していた。



最寄りの新川駅からターミナル駅までは3駅。

俺は毎日通う通学ルートだけど承はたまにしか来ないよね。


東光駅で紅緒さん乗るかな?って承が言ったけど乗って来なかった。

この電車じゃ無いのかな?


ターミナル駅に早めに着く。

待ち合わせまでまだ少し時間がある。

どこか寄る?承?


承は真面目な顔して、


承『…宏介、美人だったり可愛かったりする女の子は十中八九ナンパされる…!じゃなきゃ絡まれてる。』


『…お前は何を言ってるんだ?』


そんな訳無いだろ?ナンパってそんなにある?

もちろん魅力的なら多いかも知れないし、確率は上がるかも知れない…。

でも?


承『騙されたと思って待ち合わせ場所行こう?』


まあ?承が言うなら…。

俺は承に言われるまま、流石にまだ早いだろ?って思いつつも待ち合わせ場所へ向かう。

ナンパか絡まれるって…?



待ち合わせ場所の大時計下には何組か待ち合わせで待ってるような男性や女性が居る。


…困った…。

承の言う通りだったんだ。

…絡まれてる…。愛莉先輩が金髪巨乳の二人組に…!

愛莉先輩も嫌がるって言うよりは困り顔。


愛莉『…止めてください?』


??『へっへっへ!良いじゃ無えか!減るもんじゃないし!』


??『もう止めようよ?のぞmゲフンゲフン。』


金髪2人は…明らかに不審者だった。

不自然なおっぱいと変なイントネーション。愛莉先輩は片方をじーっと見つめる。


愛莉『ねえ?貴女会ったこと無いかな?』


??『初対面ですー!姉ちゃん良いおっぱいしてるやないけ!

バインバインやのぉ!』


??『…ねぇ望ちゃん止めようよ…恥ずかしいよ…。』


勢いで押し切ろうとする金髪に対して愛莉先輩は何か思い出した。


愛莉『…望ちゃん…?

こないだ…会ったよね?なんで金髪?立花くんの妹さんだよね?』


??『違いますー!私、ウロヤ ケヌマって言いマス!』


…望じゃないか…!

横で承が頭を抱えている。

でも全然誤魔化せていないわけで。

バレたって自覚した望は、


ウロヤ『芹!どうしよ!バレた!』


芹『芹じゃ無いでしょ!今はセリーだよ!』


ウロヤ『セリー!行くよ!この女の人拉致ってあたしがすり替わる!』


承『ていっ!!』


俺が絡まれてる愛莉『』先輩の壁になり、承は飛び出して自称ウロヤ ケヌマ(14歳)の異常な巨乳にチョップ!

びたーん!って音を立てて極厚胸パッドが地面に叩きつけられる!


ウロヤ『なにをする!』


承『こっちのセリフだ!』


ウロヤ ケヌマ(毛沼)は望の変装。

横の子も望の親友の子だったはず。何してるの?

親友の子は申し訳無さそうに俺に謝った。

…俺は良いけど…?何があったの?なんで望が?

それを親友の子に聞いたけど彼女もわかっていなかった。

望に呼び出されて、付き合わされたんだって。


『…そっか。』


兄の承の鬼追求により目的は尾行とデートの邪魔?と自白する望。

兄ちゃんが取られるのが寂しいのかな?

一応親友の子に確認してみる、



『なんて聞かされてたの?』


芹『…愛を取り戻せって。』


ユーはショックだね…。

もう頭の中あのイントロしか聞こえなくなってしまった。

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