第126話 一年が終わる。
こうして3学期期末試験も10位で終えた俺は多分、二年生に進級時進学特化の特進クラスに行けるはず。
わかっているだけで、田中くん、永瀬さん、小佐田さん、高橋さん(永瀬友人)あたりが確定で浩、二宮さん(永瀬友人)辺りがギリギリ入りそう。
康司はギリギリアウトっぽい。
明日は終業式。
今日は球技大会で、バスケかサッカーにエントリーなんだけどバスケ部の俺はサッカーに振られた。
基本専門家は別競技にって最低ルールがある。
そして始まる試合。
他クラスとのゲーム中でいいところで俺にパス来た?!
康司『宏介!』
康司もバスケ部でこっちなんだけど…。
来たボールを小さく振り抜く!
あ。
ボールは明後日の方へ…!
康司『…宏介、球技なんでも出来ると思ったけど…サッカーだけはダメなのな?』
『…面目無い。』
これだ…これがあるからサッカーだけは嫌い。
俺の親友承と厚樹がサッカー部だったのにサッカー選ばなかった理由がコレ。
ボールを足で蹴飛ばすと全く思ったところへ飛ばない。
俺、ボール蹴るの昔から全然ダメなの。
自分で恥ずかしくなるくらいダメ。他の球技ならそれなりなんだけど…。
相手チームの爽やかなイケメンにボールが渡る!
やば!動きすごい良い!
それもそのはずスポーツ科の10組だもん。
フィジカル的にはすんごいモノ持ってる。
俺は遅ればせながらチェックに行くけど、
爽やかイケメンは歯をキラッて輝かせて、
?『ドライブシュートだ!』
…まじ?スポーツ科ってそこまでスポーツ天才なの?
ドライブシュートってあの?キャプテンが打つ伝説の?
ボールはすごい勢いでゴール方へ飛んでいく!
早く強い弾道!
このままならゴール遥かに上を通り過ぎてゴールキックになってしまう。
あのドライブシュートなら強烈な縦回転で有り得ない角度でボールが落ちてゴールしちゃう!
ギュルルルルルル!!
ボールはゴールの遥か上を超えてアウトした。
こっちのゴールキック…。
?『はは!落ちないねぇ、どうやって落とすのかなあ?わかる?』
その爽やかな男は恥ずかしそうに俺に聞いてきた。
『縦回転かける?らしい?』
?『わからないな。知ってる技名がそれだけだった!そもそも足でボールが上手く扱えないよ。』
『…わかるよ。俺もそう思う。』
俺、結局その爽やかイケメンともぎゅもぎゅ小競り合いを繰り返してサッカーの試合は終わった。
ボール来るまで結構話した。
スポーツ科のあれこれすっごい面白い。
結局スコアレスドローでPK戦にもつれ込み10組の勝ちだった。
試合が終わり、負けた俺たちはもうクラスでダラダラするだけ。
次の試合までに撤収しなきゃってとこで、イケメンに別れを告げる。
すると、
小佐田『涼くん!おつかれさま!
…あれ斉藤くん?』
小佐田さん?小佐田さんの噂の彼氏ってこの爽やかイケメン?
びっくりした…。
小佐田さんが乙女の顔して、声もいつもと全然違うくて…いつもそうならすっごいモテるでしょ?ってキュートな笑顔で…。
涼『はは!斉藤くん?レンはそうゆう女の子なの。
そっか、レンと知り合いかぁ。レンはあまり男子に知り合い居ないからびっくりした!
俺のことは涼って呼んで?』
握手を求められて俺は手を握る。
昔の厚樹を思い出すような爽やかなイケメン。
涼『野球のスカウトで来てるから頭は悪いけどよろしくな!斉藤くん!』
『…同じクラスに斉藤三人居るから、宏介でいいよ?』
涼『じゃ、宏介。よろしくー!レン性格キツくて?危なっかしいから何かあれば見てやって?じゃあまた!』
『…じゃあね、涼くん。』
涼『涼で良いって!』
『じゃあ、涼』
小佐田さん慌てて涼の後を追う!
永瀬さんから聞いては居たけど、一途に真面目にお互いだけを見てるカップル。
…俺はそれが何より眩しい。涼…良い奴そうだな。
もう終業式しか残っていない一年生最後に新たな友人が出来たんだ。
☆ ☆ ☆
小佐田恋は釘を刺す。 side小佐田恋
目の前の斉藤くんは無表情に…いやちょっと笑ってるでしょ?
『斉藤くん、さっきの忘れて?』
斉藤『…え?なんの事?』
斉藤くんは目をぱちくり。わざとらしい!
『惚けないで?涼に会う私がニッコニコで、声が高くて、口調が…』
斉藤くんが薄く微笑みながら、
『口調が可愛かったこと?』
私は真っ赤になりながらしまったな?って後悔する。
斉藤くんは多分二年生になったら特進で一緒学ぶ仲間でもあるがライバル。
3学期は辛くも勝ったが差は無い。
友永の件でやや借りはあるけど進級したらイーブンの間柄。
斉藤くんは球技大会で涼と馬が合うのか友達になったって知らされた。
涼はああ見えて、勘が良いから斉藤くんに何か感じたんでしょ?
…私も斉藤くんには真面目でストイックな光るモノを感じる。
もちろん異性としては見ていない。
そんな事を考えていると、
斉藤『…涼はさ?会ったばかりだけど人の懐にスッと入ってくる自然な遠慮の無さと天性の人懐っこさあるよね?
爽やかで、真っ直ぐで、明るくて。』
『そうなの!中学生の頃からね?涼は…!』
2分後我に帰った…!
斉藤くんはニコニコして私を見てる。
『涼の事話す小佐田さんが1番良い笑顔だったね?』
斉藤くんは嬉しそうに歩いていった。
…やられた。
私は涼の目を信じてる。
勉強はダメだけどよく人を見ているし勘も良い。
そんな涼がすぐ意気投合するんだから斉藤くんは良い人なんだろう。
…じゃ何故その斉藤くんはあんなに酷い目にあったのか?
人を見る目が無かった?…それはそうかも。だけど大人だってそうそう人は見抜けないし付き合ってみないとわからない事もある。わかんないね。
…涼と斉藤くんはどんな友人関係になるのだろうか?
そんな事に思いを馳せる冬の終わりの日だったよ。
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