第122話 永瀬と田中【side三島皐月】

一応助けられた私は少し緊張しながら宏介にお礼を言おうと近づいたんだ…。


『…。』


宏介はこっちを全く気にせずシューズボックスへ向かう。

自分が人を助けたなんて素振りも見せず、淡々と帰ろうとしてる?

私は後を追いかけ靴を履き替える宏介に声を掛けようとする、


『こうs『わからないかなぁ…。』』


声を掛けようとした私を横からどかして永瀬綾が宏介との間に割って入る、

宏介はこちらに気づかない。

もう一度同じセリフを言われた…!


永瀬『わからないかなぁ、宏介くんと売女じゃもう釣り合わないんだって。』


ちょっと笑いながら永瀬綾は私に言う。

…奇しくも私が宏介に言った言葉によく似てる…。

※第一話 冒頭参照


そして、目が笑って無い。


永瀬『だってそうでしょ?貴女に宏介くんの側に近づける理由すら無いでしょ。』


…そうだとしても、宏介と私の話しでしょ。あんたなんかに言われる筋合いは無いわ。


永瀬『貴女には宏介くんはもう傷付けさせない。

変な女は宏介くんに近づいちゃいけないよ。』


田中『その通り!宏介くんに変な女は不要!』


田中がさらに永瀬と宏介の間に立って永瀬を威嚇する。


永瀬『君とは決着を付ける必要があるよね…!』

田中『期末勝負する?10位の永瀬さん?』


田中って期末3位だったらしいけど…?

同中のよしみで?味方してよ?そのいけ好かない女やっちゃって!


私がワクテカして田中vs永瀬を観戦してると、

キッとこちらを睨みつけてきた!


田中『三島さんさぁ…。まじ宏介くんに近づくなよ?

宏介くんに恥かかせたく無いからさぁ?

僕は新川中の同級生に言わないだけで本当はお前の仕打ちやクソ女ムーブ全部知ってるし?留年寸前の成績、ピッグモーター騒動、一軍陥落の秋野さん達とのやり取り全部録画してんだよ。』



え?田中っていじめられっ子で?気弱なガリ勉って男子だったけど…?

私の知ってる田中と全然違う表情で目をバッキバキにして殺意すら滲ませて私を凝視してる…?

それに?私の醜態のうち録画してるものがある?まさか?


ゆかり『…田中くん、ごめんなさい。

…皐月は絶対に宏介くんに近づけません…。』


ゆかりが後からすごい勢いで飛び出してきて、田中に頭を下げた。

は?ゆかり?こんな奴にそんな事する必要…?

田中は荒れ狂いながら、




田中『あんなに世話になったり一緒に居た宏介くんを…

そりゃ恋愛だから気持ちが離れる事もあるだろうさ…。

でも、あんな仕打ちは無いだろ!

友永さんも三島さんも!

てめ…

永瀬『てめぇらの血は何色だーっ!!』』


永瀬が最後を持って行った?

田中は渋い表情。最後が言えないの気持ち悪いよね…さっき私も永瀬にやられた。


永瀬『…ばいばい売女。』


手をひらひらさせて永瀬は私たちに行け!ってジェスチャー。


田中『ばいばいばい売女。』


田中はさらに永瀬も含めて行けってジェスチャー。


永瀬『…。』


わざと田中ぶつかって永瀬は宏介を追った。

田中は強かにシューズボックスにぶつかった。

…フィジカルでは永瀬の方がだいぶ上みたい。




ゆかりがため息をつきながら側にやって来る。

なんで?


ゆかり『…宏介くんには宏介くんの世界がある。

…裏切った私や皐月は近づいちゃダメだよ。』


『…そこまで気にする必要ある?』


ゆかり『…あるんだよ。』


ゆかりが真面目な顔して言うから私はもう、それ以上は言えなかった。

…宏介そんなに評価されてるの?



ゆかり『…私たち今はそれどころじゃ無い。

…帰って勉強しよう。』


『そうだった!明日はゆかりが苦手な…!』


私は一旦この事は胸に仕舞う。

宏介とどうであれ、進級出来ればこその話なわけで。

…もし進級出来たら、二年生になったらもう一度宏介を良く見定め無ければならないって思った。


宏介が私を一瞥もしなかった事、思ったより引っかかった。


☆ ☆ ☆


裕太『姉さん、期末どう?』


家に帰ると弟の裕太が嬉しそうに話しかけてくる。

裕太は今中2。

男前で成績優秀、スポーツ万能、自慢の弟。


『まあまあかな?』


裕太『高校生は大変そうだね、頑張ってね!』


私は裕太の頭をくしゃくしゃって撫でる。

姉思いの良い弟なんだよね。

裕太は目をキラキラさせて、


裕太『俺も姉ちゃんと同じ北翔行きたいな。』


私はちょっと苦い顔して、


『…そんなにオススメしないかな?』


裕太『…また姉ちゃんと一緒に通学したいな。』


『北翔サッカー部強く無いし、自由だけどその分自分で自分を律しないと難しい学校だよ。』


裕太『…そうなのか…。』


裕太が同じ高校に来ちゃったら…家で取り繕ってた成績や正輝との事。

一軍陥落から今クラスでぼっちな事まで私を尊敬する弟にバレてしまう…。

私は漠然とした不安を感じる。


…そもそも留年するようだと…それ以前の問題だ。

なにより自分で口に出した、


『自分で自分を律しないと大変だよ。』


って、何者かが私の口を使って言わせたような心に突き刺さる自分の言葉に寒気を覚えた。



☆ ☆ ☆

昨日のある。


一昨日、NTR宏介を間違えて本編アップしてしまったある。

昨日19:00。


『…あふぉすぎる…!今日は気をつけるぞ!』


仕事終わって、家に帰り、寒いな…布団でちょっと横になりながら…さいしん…わ…。



気付くと朝7:00。


『12時間寝てた?!』


昨日そんな訳でサボってしまいました。

ごめんね!

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