第120話 留年したくない!【side三島皐月】

…ゆかりはすごい。

私とあんなに仲悪い小佐田恋とを取り持ってみせて、私たちの勉強を見る事を約束させた…。


私は正直小佐田なんかに頭下げたくなかった。

事の発端なんてちょっと小佐田彼氏をディスっただけ。

それでめっちゃキレて?そこから険悪だったんだけど…まさか少し謝っただけで勉強見てくれる?小佐田って学年10位くらいじゃなかったっけ?

…ひとつ気に入らないのはこいつも宏介を高く評価して?なんか借りがあるのか?宏介迷惑かけるなみたいな事を私とゆかりに念押ししていた。

別に宏介に迷惑かけたって良くない?


ゆかり『…それは良くない。

…それをするなら皐月はもう知らない。』


私にはゆかりが必要。

大丈夫そんな事しないよ?


こうして、小佐田ノートのコピーを貰い、家で一通り目を通す…。

確かに綺麗でわかりやすい。

…昔、香椎玲奈のノート見た時も綺麗でわかりやすくって感動した覚えがある。これも一つのセンスなんだよね。

…進級出来たらノートの取り方…これ参考にして改善しよう。


そして翌日から?近所のファミレスで?

ドリンクバーとつまめるモノ頼みながら勉強会をする。


ゆかり『…フライドポテトは油で揚げる時にカロリーも揚がってしまうから…ZEROカロリー…!』


この癖だけはゆかりを理解出来ない…。



自分でやってどうしてもわからない所を小佐田かその取り巻きの優等生とかが見てくれる。

小佐田が話しを通してるのか嫌がらずに愛想は良くないけど教えてくれる。

ゆかりとふたりで教え合いだとどっちかの手が止まる。

…ゆかりのこのままだと共倒れもあるって判断は的確だった…!


2時間勉強会した。まあ30分は雑談。

…ここで小佐田が自分派閥中で中心で、好かれ、頼りにされ、小佐田もそれに甘んじないで気を使っているし、甘えるとこは甘えてる様を見せつけられる…。

私は…自分の派閥のみんなを友情って名目の上下関係だと思ってた…。

小佐田になにかあってもこいつらはきっと小佐田と一緒に行くのがわかる。




小佐田『家でも続きやってきな?わからなきゃ明日聞きに来な?』


『…ありがとう…。』


ゆかりと帰る時、東光駅で別れる時にゆかりが優しい笑顔で私に言った。



ゆかり『…皐月、一緒に二年生になろう?』


私はコクコク頷く、

ゆかりと一緒に進級したい!留年格好悪すぎ!

絶対留年したくないよ!


翌日からもそのペースで進んで行く。

放課後2時間の勉強会、家で勉強、翌日わからない所を聞く、放課後勉強会ってループを繰り返す。


ゆかりは九頭に勉強会してるって話したけど興味なさそうに流されていた…。

このクズ…!お前にゆかりはふさわしく無いってハッキリ思った。

この、期末試験を超えて進級が決まったら一回この話はゆかりとしなきゃいけないでしょ?



時期も良かった。

試験半月からずっと緊張感ある勉強会、テスト対策を行ったおかげで今までに無い手応えを感じる!


試験直前!日曜日のamいつものファミレスで勉強会をするこれが最後の追い込み!

もちろん帰ってからテスト対策復習はするけどわからないとこ聞けるのはここまで!


私とゆかりもここ2週間でだいぶ力をつけた。

これなら…!


そんな手応えにも慢心しない…いやちょっと不安そうなゆかりを見て、ここで調子に乗ったから落ちたんだってわかる。

…本当にゆかりはすごい女の子だ…!


私たちの勉強会が半分を過ぎた頃、新しいお客が入って来た…!

なんか男女で?ファミレスは遊び場じゃなくない?

※勉強の場所でも無いです、食事する場所です。



あ!永瀬綾!

あの永瀬綾が入店して来た!

私と目が合うけど、石ころを見るような自然な無視ムーブ!

あいつ…!


しかし、その後目を疑う。


宏介…!

宏介は私に気付かない?

なんで?私を無視してる?


がた!椅子から立ち上がりかけた私を横のゆかりが抑える。


ゆかり『…宏介くんの邪魔しちゃダメ。』


小佐田『…三島さ?それしたらお前マジで出禁な?』


『宏介なんて?別にそんな気を使う必要無いでしょ?

無口で無表情で?中学時代はハイスペックだったけど?

今はそれほど?』


小佐田は私を呆れた様に見て言った。


小佐田『三島さ。

その斉藤くん評価はいつの頃?誰の評価?

…最低でも彼は2回期末試験で10位以内取って?

部活だって未経験で入ったバスケ部で一年でほぼレギュラーで冬の大会で県ベスト8の立役者だよ?』


『…それは…。』


たまたま?偶然が味方したんじゃ無い?

言いかけるが言える雰囲気じゃ無い。


小佐田『その斉藤くんの評価下したのって山本くんか三島でしょ?

片や留年決まって、色々やらかした男の目と?

片や留年のピンチで?一軍から追放された。そんな優秀な彼氏居て先の男に乗り換えたような女の目だよ?アテになるかな?ならないっしょ?』


小佐田は笑ったあと、



小佐田『私、斉藤くんに僅差で2回負けてる。

顔見たら悔しくてたまらなくなってきた!』


…私、勉強で悔しいって思うこと無くなったんだなぁ。


この期間、私は色んな事を学んだと思う。

もうじき、一年生最後の期末試験が始まる…!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る