第119話 呉越同舟【side友永ゆかり】

昼休み、皐月を連れて小佐田さんに指定された家庭科室へ向かう。

皐月は気が乗らない様子でしきりに、


皐月『…ね?ゆかり、小佐田は絶対私たち嫌いだって?無理でしょ?』


って言う、私はもう一回一年生したいの?って言うと黙る。

私だって不安だよぉ!

でも、教え合いじゃギリギリな気がする…ひょっとしたらギリギリアウトの方…。

成績だけじゃ無い、私停学あったし、皐月だって年末ごろのピッグモーター騒動で休み多めで皆勤にはほど遠いでしょ。


そうこうしてるうちに家庭科室に着いた。

皐月も緊張してる。

意を決してノックして入る…!


室内には三人。

小佐田さんと優等生の娘とギャルだね…。


ギャル『…本当に三島来たんだ?』

優等生『…意外でした…。』


小佐田さんは不思議そうに私たちを見ながら、


小佐田『話しの前に?三島さんさあ?

賭けで負けて口も聞かないのにお願いってちょっと虫が良すぎない?』


横の皐月が体を強張らせる。

…賭けで負けて皐月は新年度まで小佐田さんに敬語なんだけど…それが嫌で皐月は小佐田さんの前では一言も喋らないって徹底してるの。

…そうだったね…。


皐月悔しそうに、軽く会釈して、


皐月『…ごめん、なさい。』


そう言うとプイって顔を背ける。

三人は驚いた顔で、三島が?!って驚愕してた。

その上で、


小佐田『…それで?なに?』


小佐田さんは話しが早い。

私は今の状況、私と皐月のギリギリの状況、成績次第で留年もあり得るピンチ具合を説明する。

皐月は気に要らない様子。

自分の弱い所見せるのが抵抗あるんだよね、この娘。

…私は平気。だって何とかならないから人を頼るんだもん。

私ひとりではどうにもならないってわかったなら素直にお願いするしか…いやすがるしか無いよね!


小佐田さんは黙って聞いた後、


小佐田『何であたしが面倒見なきゃいけない?』


私は愛想笑いを浮かべながら、


『はは、そうですよね。

そうなんですけど、頼れる人が小佐田さんしか居なくって?

あと、頭良い人だと宏介くんしか居ないけど…もう迷惑かけれ無いですし…。』


皐月『…私は宏介に教えさせれば良いって言ったんだけど…

ゆかりが小佐田が良いって言うし?

私が嫌いなら?…ゆかりだけでも見てあげて下さい…。』


思い出したように最後だけ敬語の皐月。


小佐田さんはため息ついて、


小佐田『…まだ斉藤くん(宏介)に迷惑かける気なんだ?

呆れた…。友永は留まってくれて良かった。…しかし三島がねぇ?』


小佐田さんはミスコンの件で映像研究会にお詫びして、その時に約束した事で、

私を監視して、宏介くんに迷惑かけないって約束してた事を教えてくれた。


小佐田『だから?斉藤くんに迷惑だけは絶対ダメ。』


小佐田さんは威圧的に言う。こわ。

取り巻き2人もうんうん頷く。


小佐田さんは私と皐月に、


小佐田『じゃあ?その代わり?約束してね?』



小佐田さんは一応勉強会?元々小佐田グループでやるつもりだった勉強会に入れてくれる。

ノートをコピーさせてくれる。

小佐田派閥私と皐月が嫌いな人も多いから、謙虚に下手に振る舞えと。

絶対に宏介くんに迷惑かけるな。

皐月は小佐田にかつての暴言撤回、謝罪しろ。


それが聞けるなら?保証はしないけどバックアップしてあげる。

そう小佐田さんは言ってくれた!やった!


ところで?皐月?

小佐田さんに何暴言吐いたの?


皐月『…彼氏こき下ろした…。』


『あちゃあ…それ最悪だよ…謝って。』


皐月『謝らなきゃダメ?』


『ダメ。』


ため息ついて、皐月は小佐田さんに、



皐月『1学期の終わりに小佐田とちょっと揉めて?

彼氏の涼くん?の事。

『脳筋!』『爽やか脳筋!』って罵りました。

撤回します。本当にゴメンナサイ。』


仕方ないって様子。でも頭を下げる様子に驚く小佐田さんたち。

小声で、


小佐田『…友永さぁ…どうやって三島に言う事聞かせてんの?』


『私にも?よくわかんない…?』


小佐田『なんで仲間になってんの?』


『なかまになりたそうにこっちを見ていた?』


小佐田『それでなかまになるのモンスターじゃ無い?』


小佐田さんは2週間後の期末試験へ予定を組んでくれた。

そして話も終わったころ、小佐田さんが真面目顔で、



小佐田『…期末が無事終わって?心配事が減ったなら?

ちょっと九頭くんの事とか話そう?』


『…はい…。』


まずは期末試験だよね。

なんとか私も皐月進級するための戦いが始まった。



☆ ☆ ☆

※三島皐月と小佐田恋の諍いは皐月の涼くんディスった事が原因でしたw

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