第98話 皐月と正輝【side三島皐月】

私に追いすがる正輝に注目が集まる…!

こんな注目は本意じゃ無いし、私の価値を下げちゃうよ!


空き教室に避難すると、そこには宏介が居て…。


もう宏介で良いや?正輝に客観的に自分の立場をわかってもらお?


宏介『お前らは頭が悪い。』


私が言って欲しかったのは、私の正しさと正輝が悪いって事。

それなのに宏介は私たちふたりにダメ出しして呆れて帰って行った…。

私元カノでしょ?庇ってくれないの?

…だから見放されるんだよ…?


正輝は宏介の言葉に納得した様に私が1番腹立ったポイントを呟く、




正輝『…彼氏居る女寝取ったんだから文句言うなか…確かに。

そんな女が誠実な?訳ないよな…。』


別れるって展開には賛成かもだけど何宏介の言うこと、間に受けてるの?


正輝は、泣きそうな顔で、


正輝『俺、永瀬さんが好きでずっとちょっかい出して、アプローチしてたけど全然相手にされなくて…だけど宏介…あいつは見てわかるほど無口で無表情なんだけど、永瀬さんが気にしてて…。

皐月が宏介の彼女だってわかって、奪ってやった時は気持ち良かった。』


『…どうしたの急に…?』


正輝『でも、こないだの文化祭で永瀬さんはまた宏介!って指名してクラス文化祭委員やって?企画や進行完璧にやって?ハンバーガーショップも優秀賞獲った。

部活も一年でレギュラー獲って、ベスト8まで勝ち上がって強豪校に惨敗…。』


なんだ惨敗したんじゃん。


正輝『惨敗したのに、バスケ部折れて無いし。

それどころかきっついフィジカル鍛錬繰り返してるって評判なんだぜ?

『あの』友永ゆかりだって宏介プロデュースなんだってな?』


ミスコンなんて思い出したくも無い…!


正輝『…それでこないだの期末で8位だろ?

まじですごいよ、皐月の元カレ…。』


私は苛立ちながら、


『そんな宏介を手酷くフったんだから…

私がどれだけ良い女かわかるってもんでしょ?』


まあ宏介が活躍する分には相対的には私の価値が上がるでしょ?

※皐月の存在が宏介のマイナスです。



正輝『…そうだよな、宏介に勝つにはこの皐月はキープしとかなきゃいけない…。』


は?キープ?


お互い感情的になって埒があかない…。

どうしたいのか一度確認しよう?


お互いに主張してばかり、口論になりがちな私たちの話し合いを一度落ち着かせよう?って提案した…。

昔、たわいも無いことで口論になった時に宏介が優しく笑いながら…これ宏介が提案した方法だった…。




正輝は、興奮状態で、夢、理想を語る、熱く、無駄に。


正輝『俺、将来的には家の資産で事業を起こす。

それまではYouTuberとして活動して資金と知名度を上げていく!』

※資産がまだあると勘違いしています。


まじか。

一応突っ込んでおく。


『それはひとりで出来るんじゃない?』


正輝は熱い瞳で私を見つめて、手を取る。


正輝『撮影や編集、企画立案や構成。周知活動や、プロデュース関連はお前に任せたい!』

※本気です。



絶対泥舟!

素人がコネも技術も資金も特殊性も無いのに売れるわけ無いじゃん!

知識無い私でもわかるわっ!

しかも撮影、編集以下略全部私って…YouTuberさんたちだって撮影後の編集やプロデュースが大変ってなんかで聞いてた。



『そんな時間も技術も無いよ。まじで。』


正輝『大丈夫!俺には父さん譲りの商才とアイデアがある!

…時間はかかるだろうし、拘束時間も長くはなる。。』


メチャクチャな計画でしょ!


皐月『だから!学校通いながらじゃ無理だし、そうゆうのはプロじゃなきゃうまくいかないと思うし!』


正輝『DA!KA!RA!俺、高校辞めるから、お前も辞めて着いて来てくれ。』


正輝は自信満々な少しチャラいイケメン。でもその自信満々さに強引さに男としての魅力と強さを感じたんだけど…財力と肩書きって裏付けが無くなると途端にうすっぺらくって胡散臭いペラペラな男に見えてくる…。

…宏介なら…?


皐月『本当は自分が高校留年が嫌で、中退するけど彼女がそのまま通い続けるのが気に入らないの?』


『だって絶対皐月は見下すだろ?!学歴無い男なんて!

皐月は絶対!』


皐月『だって!そんな男の人と付き合ってるって恥ずかしいし…!』


正輝『…そんな?!』


本音出ちゃった…。

世間では交際相手の変化に寄り添って生きないとダメみたいな風潮がある。

売れない頃生活を助けた彼女を捨てて批判を受けるミュージシャンだったり、

交際相手の実業家が、試しで彼女に事業が失敗して借金がある、別れてくれ!って言葉に了承し批判される美人の話しとか。


…私は地位やポジションが変われば人は変わると思ってるから、正直今の正輝じゃ物足りないし、不満がある。

ただそれをそのままダイレクトに伝えるとめっちゃ批判されるから、オブラートに包んで?伝えなければならないのだ。


私がどうしたいか?


『私は…今の正輝は…自分の事に集中するべきだと思う。

…勉強に集中して?もっと良い学校入り直すとか?大検とってもっと良い大学に合格するとか?

…実家も大変だろうし?男女交際に集中する暇ないだろうし?』


正輝のため!って主張する。

間違ってはいないでしょ?


それどころじゃ無いだろうし、私に注ぎ込む財も気も力も無いでしょ?

だったら付き合うべきじゃ無い。

私に相応しい男になってから出直して欲しい…。

それをオブラートぐるぐるに。



『だからね?また相応しい男の人になって?私を迎えに来て?

もっと上の学校に行くとか、すごい大学へ合格してからとか、事業を成功させてからとか?』


正輝『…そんな薄情な事言わないでくれよ…!

あんなに愛し合った仲じゃないか…!』



結局、言葉を尽くして語り合ったが、もう少しお互いに様子を見ることになった。

正輝は今の地位から向上する努力、結果を出す!

私は少し正輝に寄り添フォローするって事になった。


少し後に思う。

別れるのも、付き合うのも勢いって大事。

ここで様子を見た事で私たちの関係は惰性というか付き合ってる意味を考える必要がある位チグハグになっていったんだ。


私たちは言葉を尽くす際にそれぞれの本音を知ってしまった。

私は正輝が留年して、実家がコケたら正輝と距離を置きたい。

正輝は永瀬綾が好きでずっとアプローチしてる、永瀬が気に入ってる宏介を意識して私に近ずいたってこと。

言葉を尽くして話し合い、しこりが出来てしまっったんだ…。



☆ ☆ ☆


別れ話をグダグダにしてしこりだけ残してしまいました。



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