第97話 彼女と彼の半年と少し
冬休みが終わり、年が明けて新学期が始まった。
年末年始に都内の大学へ進学した兄に久しぶりに会ったり、承たちとダラダラしたり冬休みはあっという間に終わった。
…兄ちゃんは大泉洋さんのそっくりさん芸人みたいになっていた…。
新学期、一年生もじきにおしまい。
3学期はそこまで忙しい事にはならないと思うんだけど…イベントはそんなに無いし?
次の期末でしくじらなければ進学クラスの中で精鋭クラスの特進に入れる。
油断せず、特進へ進むこと、バスケ上手くなること。
…強いて言うと?なんか映像研究会の作品案を考える事が3学期の課題。
永瀬『無視しないでよー?
またお隣だね?運命かな?』
『くじ交換してたの見えたよ?』
永瀬『ふふふ!バレたか!
永瀬さんの隣楽しいよ?もっと喜んで良いんだよ?』
俺は苦笑しちゃう、永瀬さんの工作により隣はまた永瀬さん。
そう言えば、二学期の終わり12月に生徒会選挙があり、絶対視されてた一ノ瀬先輩が生徒会長に就任した。
永瀬さんは同じ中学の一ノ瀬先輩から指名を受けて事務で生徒会入りする事になった。また忙しくなるんじゃ無い?
そんな学年トップクラスの人気者を俺はあしらう、
『はいはい、楽しいね?』
永瀬『今年もがんばろー?おー?』
『…おー?』
疑問系だった。
☆ ☆
新学期になり数日経った。
もうすっかり普段の日常。
その放課後、部活へ出るけど愛莉先輩のフィジカル強化メニューがキツすぎて笑える。どこが笑えるかと言うと具体的には膝が笑ってる。
フラつく体を引きずりながら家へ帰る。
本当に絶妙に継続できる負荷で、次の日動けないとか無いようになってて俺に合わせた素晴らしいバランスメニューだなって驚く。
愛莉先輩の見る目と指導力に尊敬の念を覚えちゃう。
身体を引きずって思い出した忘れ物を取りに教室へ戻る。
課題忘れるとこだった…危なかった。。
そう思って教室を出ようとすると、廊下から声が近いてくる、
? 『だから、わからないかなあ。正輝と私じゃもう釣り合わないんだって!』
…俺これ聞いた事ある?
…皐月と山本?
山本『待って!待ってくれよ!』
皐月『…またそうやって誤魔化そうとして?もう良いでしょ?!』
山本『…お、俺は、皐月のこと大事に思ってて…。』
(…同じ事を言った記憶がある…。)
※第一話冒頭参照。
皐月『目につくから教室で話そう?』
山本『…それでも、俺は皐月の事…!』
ふたりが教室に入って来た。
いや、まじで関わりたく無い。
山本『…!
宏介くん?』
皐月『!!
宏介…!』
『…二度と話しかけるな?』
ポロって本音が出る。
もう、関わりたく無い、本当の気持ちだよ。
山本『ちょっ?!
聞いて、宏介くん?
皐月が、俺が留年決まったら、俺と距離を置いて、離れるムーブするんだよ…。
絶対別れる気だ薄情女!』
(いやいや、お前が寝取った女でしょ?)
俺は無視して反応しない。
皐月『そりゃそうでしょ!
昔、正輝に留年するような女となんか付き合えないって私言われたの覚えてるからね!
金持ちひけらかして、強引な男だったし!』
(皐月は言われた事は覚えてても言った事は忘れてんだな?)
当然、無視して反応しない。
俺が無視してるのにこの見苦しいふたりは俺にいかに相手が悪いか罵り合いながらアピールしてる。
本当に聞くに耐えないし、聞く義理もないでしょ?
…それなのに、こんな時ばかり息を合わせて俺に言うのだ、
皐月、正輝『『聞いてるの?!』』
『黙れ、どあほう。』
無視するつもりだったけど、声出ちゃった。
反応があったのが嬉しかったのか、
山本『薄情なんだぜ?皐月!
俺が今回の騒動で、色々ピンチになって、留年になっちゃったの支えてくれないんだぜ?』
皐月『そりゃそうでしょ?!
俺高校辞めたらお前も着いてきてくれるか?って?
高校中退なんて笑い話しかなんないでしょー?!』
山本『お前が、勉強に専念した方が良い、まずは落ち着いたら連絡頂戴?
って完全にFOムーブきめてるからだろ?!』
醜いな、実に醜い。
こんな奴らが元カノとそれを奪った男って…。
…関わらないのが1番でしょ?
俺は興味も無いし、関わる気持ち無いから教室をそっと出て行こうとすると、
ふたりに止められる。
山本『どっちが悪いと思う?』
皐月『…正輝が悪いよね?』
俺はため息を吐きながらふたりに言った。
目付きは悪かったと思う、反省はしてないけど。
二度と俺を巻き込むな?
『お前らは頭が悪い。』
ふたり『な?』『え?』
なぜショックを受ける?
俺が好意的に2人の間を取り持つわけが無いし?
どっちも二度と顔見たく無いレベルで大嫌いなわけだし。
よく俺の前に顔出せて、声かけるな?
神経を疑うわ。
山本に向けて、
『…山本はさ、彼氏居て他の男と遊んで寝るような女を寝取ったんだから文句言うな。そんな女が誠実な訳無いだろ?』
山本は納得してるし、皐月はショック受けてるし?
ああ、言わなくて良いのに、言うより無視した方が良いのに…。
皐月に向けて、
『お前が選んだ男だろ?
俺よりこいつがってあんなに絶賛して処女まで捧げたんでしょ。自分の目を信じろよ?』
俺は黙って教室を出て行く。
ああ、話しすぎた。
でも言ってやった感もある…。
俺まだ子供だな…自分の小ささを痛感した。
☆ ☆ ☆
後日、この話を聞いた望の反応。
ニッコニコしながら喜色満面で、はしゃぎながら。
望『クズ同士潰しあえー!』
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