第90話 2歳差【side 立花望】
@to18さんの体重当て大会企画賞リクエスト作品。
宏介と望のお話はじまりはじまりー。
☆ ☆ ☆
私、立花望はこれでも
県内ではそこそこのテニスプレイヤーなんだ。
中2だけど夏の大会で県でベスト4、地方大会でもベスト8まで残った。
来年は全国へ行く為に今はフィジカルから強化中。
…寒冷地あるあるで冬はコートが使えないからフィジカル中心になるだけなんだけどね?
こないだ兄ちゃんにテニスラケット諸々買って貰って?
本編 委員長に恋した自分の話 256話兄とクレープとラケットと 参照。
宏介くんに褒めて貰って?
71話変わらないもの 参照
気合いは入りっぱなし。
来年の夏が中学最後の大会になるし、集大成。それまでに色々完成させたいよ!
ところで、宏介くん家はあたしの中学校の目の前にある。
ちょっとお茶目で宏介くん呼ぶのにテニスボール窓にぶつけたらこの間めっちゃ怒られた。
そんなの怒らなくても良いじゃん!って思う。
あたしを子どもあつかいするし、いつまでも猛獣扱いするんだよね。
あたしこれでも?県内中学テニス界では有名選手で?昔の香椎先輩みたいに?…先輩ほどじゃ無いけど…可愛いって評判になったんだよ?
※香椎玲奈は受験時夕方ニュースに映って学校前に不審者が群れをなして来ましたw
さすが先輩!あたしも可愛いから?そうゆう事あるかも?
とか思ってたらさ?
最近変な男の人が出待ちしてる事があるんだよ…。
ほら。
男『来たね?望ちゃん?待ってたよ?』
あたしは無視して通り過ぎる。
男は執拗に大人の魅力と財力を語ってて、正直気持ち悪い。
男は20歳の大学生らしい。
あたしが14歳。20歳は大人だけど…正直怖い。
なんでこの大人は中2女子を口説こうとしてるのか?
親友の委員長ちゃんは、
委員長『そんなの世間知らずの中学生を本気で口説く大学生なんてどう考えても騙してヤリたいだけのクズでしょ?』
『…殺っちゃう?』
友達『『やっちゃダメー!』』
友達みんなで止めてくる。
冗談だよ、過去にやらかしてるから皆んなの目がバキバキで怖い。
そんな日曜日の午前、期末テスト前で部活は無いけどあたしは無性に身体動かしたくって中学校へ来ちゃった。
勝手知ったる部室の鍵を開けて、走り込んで、素振りをして、バレないように鍵を戻して、家に帰ろうって11時頃校門を出ると腕を掴まれる。
『…!!』
驚きすぎて声が出ない!
私はハイソックスに手を伸ばす…!
男『望ちゃんデートしない?』
は?またこいつか!
怖い半分!腹立つ半分!
『しない!なんでよ?』
男『子どもだからわからないんだろうけど、大人のデート教えてあげるよ!』
ほんっとこんなんにモテても意味ない!
私はハイソックスから…。
宏介『そこまで。はいはい。
猛獣ですよー。触らないでください。』
口調は優しいけど、宏介くんは乱暴に私の腕を掴む男の腕を捻り上げた。
宏介くん!
家すぐそこだから気付いてくれたんだ!
男『痛い!痛い!何するんだガキ!』
宏介『はいはい、そんなガキよりガキを口説いてる奴に言われたく無いね。』
宏介くんは男を突き飛ばすと男に言った、
『あんたの為だよ?こいつ猛獣だからね?
望?ステイ!』
うう、ぶん殴りたいよぉ。宏介くんは止めるけど…。
委員長ちゃんから借りたままのあたしのハイソックスに隠してた武器はスラッパーちゃん!
30cmほどの黒いレザーに板バネが挟んであって、ぱっと見靴ベラに見える護身用具。これスナップ効かせて強打するとすっごいの!
私のテニス仕込みのスウィングの轟音を聞いた男はマジビビりしてた。
あたしだって怖かったんだから?強打する権利あるよね?
男は悔しそうにあたしと宏介くんを見比べてる…。
!!
宏介くん!耳貸して?
お願い!今日だけ!この変な男の人を幻滅させる為に彼氏役してください!
宏介くんはしぶしぶ頷く、
『怖かったよー?ありがと♪頼りになる彼氏さん♪』
宏介『…。』
『…ほら、芝居して?』
宏介『…彼女なんだから当たり前だろ?』
言わせて何だけど…すごくいい!
男が驚愕の表情であたしたちをみてる。
いいや!やっちゃえ!
『じゃ?行こう?宏介くん♪』
私は狂言のカレカノごっこを心底楽しみながら、腕にしがみつく!
宏介くんの腕におっぱいが当たっちゃうけど…ご褒美だよね?宏介くん役得!
宏介『…?おっぱいなんて無いだろ?』
『おんどりゃあ。』
乙女の!いくら貧乳だからって!それは無いでしょお!
私は腕にしがみつきながら悪態をつく。
このまま家まで送ってもらう。
宏介くんは薄情。
どうせ彼女じゃ無きゃ助けてくれないんでしょ?
あたしを男の子と勘違いしてるんだ!
グチグチ責めるあたし。
…こどもだなぁ、あたしは。
宏介くんに女の子として見て貰えないことを本人に八つ当たりしてるがきんちょなんだよ。
でもね、
宏介『…流石に男の子とは思って無いよ。
髪も伸ばして、女の子らしくなった。
(まあ猛獣だけどな。)』
※()はよく聞こえ無かったよ。
またそうやってからかって。
ぽかぽか腕組みながら宏介くんを叩くあたし。
嬉しいよぉ。
嬉しくて追求しちゃう。
『でも、彼女じゃ無きゃ助けてくれないんでしょ?』
宏介『…助けるよ。
彼女じゃ無くっても望だもん。
こーんなちっちゃい頃から知ってるんだぞ?』
遠く見ながら宏介くんは言う。
頬が熱く、身体が火照る。
私は宏介くんを直視出来ない、きっと宏介くんはわかって無い。
私が髪を伸ばし始めたのは、宏介くんが黒髪ロングが好みだって知ったから。
きっと知らないんだろう。
子供の頃から兄ちゃんについていくと可愛がってくれるもう1人の兄のような男の人に憧れる妹みたいな女の子の気持ちなんて。
『うちのね、お父さんとお母さんって2つ違いなんだよ。』
宏介『えっ?それがどうしたん?』
『ふふー!どうもしない!』
恋愛ゲームやマンガで主人公とヒロインの同級生率のなんて高いことだろう?
前後一歳までがヒロインってどうなってるの?
たった2歳。それが私と宏介くんの間の壁。
26歳と24歳ならなんの問題もない。
でも16歳と14歳では高校生と中学生。3歳差だと目も当てられないよね…。
いつまで経っても妹なのか?真ヒロインとして名乗りをあげるのか?
(まずは…意識してもらわないと勝負にもならないぞ?)
私は宏介くんの腕に全力でギュッてしがみついた。
いつかこの嘘を本当にする為に。
☆ ☆ ☆
@to18さんリクエストより、
宏介と望。期末テスト直前の冬の日でした。
いつもコメントありがとうございます!
承の妹の望は元気娘ですがかなりのお兄ちゃん子です。
兄の親友の宏介と距離が近い反面、異性として見られていない娘です。
今後どう成長して行くのでしょうか?
望の暴れっぷりは本編をどうぞ?
※宣伝です。
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