第89話 戦術的勉強会

土曜日の午後。ファミレスにて勉強会。

このファミレスは穴場で、ちょっと長い時間勉強してて注文さえしてくれれば許してくれる心の広いお店。

もちろん混んでたらそうはいかないけど今日はそんなに混んでない。


康司『おおぅ、私服…いや至福…。』

浩『すごいね。華やか。』

『…。』


委員長の高橋さんはニットのセットアップって言うの?上はブラウンの下は白でモコモコの可愛い上下。

一軍女子の二宮さんは黒のワンピースにブーツを合わせてお姉様っぽい。

永瀬さんはベージュのニットにデニムピタっとしたパンツスタイルで、トレンチコートを羽織ってる。


女子たちの私服に歓声が漏れる。

俺は大丈夫。


   壁

 宏介 浩 康司    


窓  テーブル    通路


 高橋 二宮 永瀬


※わかりにくいけどこんな配置です。窓側からは出れません。


テーブルに入る順番で俺は1番奥に入った。

女子たちもそんな感じ。

委員長の高橋さんがまじまじと見てくるから居心地悪くて隣の浩に話しかける。

康司は向かいの永瀬さんに話しかけてる。

二宮さんは両隣の女子と話す。


永瀬『席変えしよう!』


康司『このままでよく無い?』


高橋、二宮『賛成!』




   壁

 高橋 浩  康司


窓  テーブル    通路


 宏介 永瀬 二宮


※女子の謀略通り宏介の隣に永瀬綾、向かいに高橋、永瀬綾の隣は二宮と布陣的に完璧です。高橋横に浩で康司以外は希望通りの配置w



『永瀬さん、英語のここさ…?』


永瀬『あっ!ここね?ここは…。

あとね?他クラス情報だけど…。』


『さすが永瀬さん…よく知ってるね…?』


俺は隣の永瀬さんと英語をメインで勉強する。


☆ ☆

高橋『浩くんは数学得意?教えてー!』


浩『…も、もちろん!じゃ社会教えて?』


ここは意外と穏やかに良い雰囲気。


☆ ☆

二宮『ねーあやー!科学のさー!』


康司『ねー二宮さん?ここ教えて頂けないでしょうか?』


二宮『わたしもその辺あやしいの。

浩くん!康司くんに教えてあげて?』


康司『男同士で教えあうのはもうやったんじゃ…。』


康司は苦戦していた。


康司のカットインからのペネトレイトは鉄壁!二宮さんが全部ブロック!

浩と連携を試みるも浩は完全に高橋さんに抑え込まれててアイコンタクトすら届かない!

永瀬さんにマンツーマンどころか永瀬さんはどフリーで宏介をかまい放題!

仕切り直しだ!タイムアウトを申請する康司!


康司『そろそろまた?席変えしない?』


二宮『あ、康司くんドリンクバーお願い!』


康司『おっけ!』

(二宮さんも通路側なのに何故俺ばかり…?)


しかし、女子に頼られると康司は喜んで動いてしまうのだw


試合は女子達が一方的に蹂躙する展開!


☆ ☆

永瀬『宏介くん、国語のさ?ここなんだけど…。』


『ここは…』


英語のお返しにわかる所は教えあう。

永瀬さんは露出の低い、パンツスタイルで女性を感じさせない格好で、今日は話しやすい気がする。

でも、ピタってしてるから脚が綺麗なのはわかるから見ないように心がける。


有意義な勉強会で、わからなかった所がだいぶわかって。

特に英語。流石永瀬さんって感心したんだ。


☆ ☆

康司『永瀬さん!』


康司はエリア内の侵入は諦め遠距離からのシュートを試みる。

決まればでかい!ただ成功率は低いわけで…。


二宮『あやー!ここわかんない。』


マンツーマンの弱点…それは実力差があると一対一なだけに勝てないのだ。

しかも他のチームメイトもマンマークしている為フォローは難しい。


愕然とする康司に二宮さんは告げる。


二宮『そこからだと…勇み足オフサイドじゃない?』


康司は女子との駆け引きはルールや反則が多いことを身をもって知ったw


☆ ☆

からん!

新しいお客さんが入店する、小佐田さんと仲間たち。

多分同じく勉強会なんだろう。


小佐田『おっすー。あ、永瀬。』


永瀬『あ、アイちゃん?』


『…アイちゃん?』


小佐田『別に良いでしょ?じゃ。』


小佐田さんは奥の席へ向かった。


『小佐田さんも頭良いよね?一緒に勉強会してもよかったね?』


俺は特別意味があるわけでは無いが、効率を上げる為こうゆう手もあったね?って意味で言った。

永瀬さんはムッとした表情で、


永瀬『むう!アイちゃんは彼氏命だから!絶対誤解されるような事はしないんだよ!アイちゃんと彼氏の涼くんは中学からラブラブでね…。』


宏介『…彼氏に誤解って…でもそうだね、彼女が別の男と勉強会してたらイヤだね。確かに言う通り。』


納得しかない。

中学からラブラブな彼女…。

永瀬さんは慌てて、


永瀬『ごめん、宏介くんに思い出させるつもりじゃ無くって…ごめん…。』


しょんぼりする永瀬さん…いやこっちが勝手に地雷が多いだけw

ごめんってお互いに言い合う。


隣の席の永瀬さんとは結構話す機会は多い。

それでもこうして学校以外でじっくり話すのは珍しい。


少し会話が途切れる。

集中して問題を解いてると視線を感じて横を向くと永瀬さんが頬杖ついてぼんやりこっちを見てる。


喧騒でざわめく店内、向かいでは浩と高橋さんもふたりの世界。

通路側の康司も二宮さんは黙々と問題集をソロで解いてる。


永瀬さんは飽きずに俺をじっと見ている。

俺は恥ずかしくなって思わず言っちゃう。



『…そんなにマジマジ見ないでよ…。』



永瀬『ぴっ!気付いてたのー?!』



奇声を発して椅子から少し浮き上がる永瀬さんはコミカルで可愛かった。


『ははは!』


永瀬『もうー!』


永瀬さんに肩をバシバシ叩かれた。

…地味に痛い。


来週はいよいよテスト。

明日の日曜日で仕上げて期末に臨む、ここで上位なら特進はほぼ確定!

気合いが入る!




☆ ☆ ☆

今日のゆかり


休日、母不在の為姉妹は出前を取る。

ひとり二品。



ゆかり『お米って太らないらしいよ?

お米は白いからカロリーを白紙に戻すからカロリーZEROらしいよ?』


かおり『お姉ちゃん、良い加減にして!

せっっかく痩せたのに!一瞬で戻って!台無し!』


そう食ってかかるのは二つ下の妹かおり。

妹はちゃんとしていて至極真っ当なお嬢さんだ。


ゆかり『でも糖分取らないと頭回らないんだよ。

西洋では米は野菜にカテゴライズされてて…。』


かおり『だからって、二品どっちも米系は無いでしょ?

おかしいよ!』


姉妹は中華を頼んだ。

妹はラーメンと餃子。

姉はチャーハンとカレーライスを頼んだのだ。どっちも中々の盛り具合w


『かおりこそ?ライスも頼めば?

ラーメン,餃子、ライスはラーメンセットだからもう一品頼めたのに?』


※ラーメンセットは合わせて一品としてカウントする事になりました。


かおり『ダメだ…こいつ早くなんとかしないと…。』


多少太っていたが大らかな優しい姉だった…痩せてびっくりするほど綺麗になってすっごく歪んで、歪んだまま再び太った姉を妹はヒヤヒヤしながら見ている。




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