第84話 ピッグモーター騒乱【side三島皐月】

『あ!この娘がピッグモーターの社長の息子の彼女さんですよ!』


放課後、校門を出ると私はマスコミに取り囲まれた!

だれ?誰かに私は正輝と関係をバラされた!

マイクを持った大人が私に殺到する!


『何処からお金が出てるから考えなかったんですか?』

『ピッグモーターは内部告発でガタガタですがオーナーの一族はどんな考えだったんでしょうか?』

『高級クラブや、ナイトプールなどで度々目撃されてましたがお客様や従業員の気持ちを考えた事は…!』


私は、

『撮ってんじゃねーよ!』


口では強く出たけど怖くて怖くて私は必死に走って逃げた!

正輝…なんでこんな時に側に居てくれないの?

私は怒りと悲しみを抱えて家に帰ったんだよ…。




その夜、正輝に呼び出されて、カラオケBOXの個室へ行くと…。

なんで友達や女の子と遊んでんの?


正輝『こうゆう時こそ余裕を持つべきなんだって!』


出会った頃はこの余裕が大人で、格好良く感じたけど…、

ひょっとして…不安が頭をよぎる。



正輝『大丈夫!うち親父は天才だから?

今までパワハラした従業員や、セクハラした女性従業員だって返り討ちにしてきたし?

どんな商売だってどんな手使っても利益だす男だぜ?』


こんな状態で他力本願なんだ…。



正輝『皐月は心配性だな、ピッグモーターの金だって色んな経路でもう移してるし?お金なら十分あるんだ。

ほとぼりが覚めたら…また新たな事業を起こすって親父言ってたし!』



お金はあるんだ?

そのお金でまた新しい商売するんだね?

お父さん人間性はともかく、辣腕って話しだもんね?


『さすが!さすが正輝くんのパパぱねえ!』

『マジで?!私も雇って欲しい☆』

『倒れても立ち上がる…漢DAZE!』


なんかのセミナーなん?ってほど正輝のイエスマンな取り巻き…?

絶対おかしくない?

私だって今日マスコミに売られかけたんだよ?

…もうちょっと気をつけた方が良いよ…。


うん、それを正輝に耳打ちする。


『ねぇ正輝…今、マスコミの人が渦中のピッグモーターの経営者一族を血眼で探してる…ここ危ないよ。

みんな信用出来るかな?』


正輝『…みんないつも奢ったり、いつも着いて来る取り巻きだぜ?

大丈夫だろ?』


…私は今日学校でマスコミに売られかけた事を説明した。


正輝『一応…脱出経路だけ確認した方が良いかな?』


私はそれを薦める。

取り巻きの男の子の語尾がローマ字になってる子なんておかしなテンションで怪しすぎる!



ふたりで話してると入り口が騒がしくなってきた?

さっきの様子おかしい子が、


『ここにピッグモーターの社長の息子が居ますYO!

いっつもパシらせやがって!』


『ほらあ!』

正輝『皐月でかした!こっちから!逃げろ!』



私達はふたりで逃げた。

街の中に紛れればなんとかなる。


『ほら、他人は信用出来ないんだよ…。』


私は先日の一軍陥落から他人が信用出来ない。


長い期間の心の通った付き合いを利益や外聞で裏切る…。

それで恥ずかしいとも思わず、むしろこっちに自分本位な押し付けをしてくるとか人間としてありえないでしょ?

※自己紹介でしょうか?



正輝は私を抱きしめてて、


正輝『最後に信用出来るのはやっぱ皐月だ…。』


正輝…。

ちょっと落ち目かも?と思ったけどお家にお金はあるみたいだし?

また再起を賭けて商売するならまだ社長夫人の目はあるよね?


でも、ちょっと不安もある…一応聞いてみようかな?


『ちなみに…ちなみにどんな商売をするの?』


正輝は考え込んだが、パッと顔を輝かせ、


正輝『皐月は信用出来る、絶対他言無用だぞ?

父さんらしい考えもつかないアイデアだったよ。

その頃には俺も大人だから若社長としてバリバリ働くつもり!』


もったいつけないで!どんな事するの?


ふふ?って正輝は笑いながら説明してくれた。

2種類。どちらか時代の流れを見ながら決めるんだって。

正輝パパはセクハラパワハラクソジジイだけど、

儲ける為なら手段は問わない辣腕でもある。



正輝『ひとつは今の中古車販売を…ほとぼり冷めてから、名前と経営者を入れ替えたフリして?また再スタートする…。』


まあ、ノウハウはあるし?一回成功してるし?

でも同じ手は使えないから経営方法や社員教育、社風など全部刷新する必要がある。そうなると儲かる商売か?でも堅実にやった方が良いよね?


しかし、



正輝『そう考えるよね?普通の人は!

そこが父さんの閃き!全く同じ手法で!また儲けるんだって!

…盲点だったわー!』


『盲点ってより何にも見えて無いじゃ無い!』


思わず突っんじゃうわよ!だってありえない!

捕まるかもってグレーゾーン(真っ黒)を抜けてまたグレーゾーン(真っ黒)を攻めるの?!正気?


正輝『そこが盲点!まさか!同じ手段を取ってくるとは思うまい!って!』


正輝はお父さんを尊敬している…。

正直今回の件…捕まるかも?って話し出てるんだよ?

正輝も捕まっちゃうよ!

でも、



正輝『社名もさ?親父エスプリ効いてるの!』


エスプリって精神とか機知って意味だってこないだ習ったけど…。



正輝『新社名!ビックリモーターだって!』



頭が痛くなって来た…。

どうしよう?小佐田が言ってた、山本くんで大丈夫?が信憑性を増してきた…。

正輝ほんとに大丈夫?



☆ ☆ ☆

斉藤家、夕飯時。


夕方のニュース見ながら宏介は母とご飯を食べてる。

宏介はお母さん似って言われる。

宏介の女顔はお母さんのパーツなのだ。ちなみに進学で家出た兄は父似。

そのお母さんが、


母『ピッグモーター酷いわね?』


まあねえ。宏介は黙って頷く。


母『あれ?ここ宏介の学校じゃ無い?』


入学式で来たから校門、正面玄関辺りはお母さんも知ってるわけで。

テレビのテロップにはピッグモーター関係者に取材って出てて…

北翔高校の校門で女の子がインタビューされてる…皐月?


??『トッテンジャネーヨ!』


※プライバシー保護の為音声を変えてあります。顔にはモザイク。


宏介『ぷふーー!!』


いきなりの元カノに宏介は味噌汁を吹き出した!


母『あらあら、警察24時で捕まっちゃうヤンキー見たいね?』


流石にこれ元カノって母に言えない宏介だった。


☆ ☆ ☆

今日のゆかり


あー!おかしい!ピッグモーターのやり口汚い!ほんと経営者一族ブタ野郎だね!騙される奴の顔見たい!どんな奴が養分になってるのかな?

あー、ブタのロゴ見てたらラーメン食べたくなって来ちゃった…?






『まいどー?お届けに来ましたー!チャーシューメンとチャーハンセットお待ち!』


ゆかり『どっちもめっちゃ美味しい!』


※ラーメンにチャーハンの炭水化物セット解禁。体重増加。


そしてピッグモーターの悪質さを面白おかしく家族に語るゆかり。


『ゆかり…実は母さんの先日買った車はね…実はピッグモーターで買ったの…このままだと保証が…。父さんの去年買った中古車もなのよ?』


ゆかり『ええー?!』


※悲報!友永家ピッグモーターのヘビーユーザー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る