第83話 彼氏の凋落【side三島皐月】
その日の夜、ニュースであの大手中古車販売業の不正が発覚したのよね。全国的に有名な企業。
中古車取扱店…私は彼氏の正輝の実家の商売だなぁって思う。
だってもし?将来結婚とかなったら?他人事じゃ無いわよね…?
まあ他社の話で?県内で大手の正輝の家業には影響出ないでしょ?
そう思ってたら思わぬ形で飛び火してきたって正輝が次の日呟いてたのね。
意味がわからなくって、
『だって他社じゃ無い?同じ仕事だからってマイナスになる?
まぁ、
『お前のとこも不正な請求してんじゃ無いか?』とか皮肉くらい言われるかもしれないけど?』
あ、正輝の顔色が悪くなった…?
周りを見渡し、正輝は小さい声で言った、
正輝『絶対言うなよ、うちも似た事やってる…!』
最低じゃない!
正輝『うち、結構そうゆうとこ厳しく攻めてて?
ゼロから仕事を作ろう!みたいな?
保険でおりるんだからなおしちゃえみたいな?
うちの一族は結構役員報酬とか多めに取ってて…俺もその金で色々。。』
はあ?でもビッグ⚪︎ーターの不祥事でしょ?直接は関係無いでしょ?
正輝『うちの会社はさ…。』
正輝は語り始めた。
俺の実家は県内有数の中古車取扱店…。
県内に10店舗位経営する大きな企業なんだけどさ?
社名知ってる?
ピッグモーターって言うんだ。
うん、ビ⚪︎グじゃ無い、ピッグ。ピッグモーター。
ロゴも
BI⚪︎→PIGで寄せててさ?
ぱっと見ビッグに見えるように細工して…まさかこんな事なるなんて思わなかったらしいんだよ!
それでさ、仕事もそのbi⚪︎さんを参考にしてて?
修理費のノルマを店に強いてて?
修理代水増しして?
無料見積もり工賃取ったり?
傷を大きくしたり増やしたりして工賃増やしたり?
会社のロゴも仕事の体制もビッ⚪︎に寄せてたせいで色々発覚しちまったんだよ!
親父も
親父『あんな大企業がこんなに儲けてるんだからうちも取り入れろ!』
って真似したら会社がすげえ儲かって店増やしたら昨日の件だよ…。
え?バレないのかって?
うちは密告制を敷いてるから、会社の事を口外したら即降格、減給、サービス残業、休日出勤の刑だから告発したくても出来ないはず…。
対策?店舗の前に木を植えようって親父は言ってたけど…そこじゃ無いんだよな?でもお金は絶対返せないはずなんだ。どうしよう?なあ皐月…。
皐月?皐月?
正輝の実家マジヤバいじゃん。
絶対羽振り良いのはそこから、ピッグモーター(笑)から出たお金じゃない!
高校生の私でもわかる。
これは良く無い。お金の流れ調べたらきっと正輝まで来るし、私まで捜査の手が来るかも?
まあ奢って貰った、プレゼント貰ったとかその程度ではあるけど怖い!
怖いし、先が思いやられるし、明らかに彼氏のピンチで先行き真っ暗な展開なんだけど…
…ピッグモーター…ぷぷっ!
チープでパチモン臭くてなんて絶妙な安物感ある名前なんだろう?
騙されたと思ってピッグモーターって口に出してみて?ちょっとニヤってなるわよね?
翌日。
登校するとやや騒がしい。正輝は来てないみたい?
小佐田『皐月ちゃん余裕じゃない?』
小佐田が話しかけて来た、無視しよ。
小佐田『無視しないでよー?
マジピッグモーターヤバいよ?結構この学校では知ってる人多いんだから気をつけて。ぷっw』
小佐田までピッグモーターで笑ってる。他人に笑われるとイラッとする。
いつか社長夫人になるかも?って思ってたから私以外が笑うとムカつく!
スマホで見たら…本当にピッグモーターも告発されて大変な事になってるらしい。
ビッ⚪︎と同等いやそれ以上の悪質さ!
豚のように貪欲な経営陣!
創業者一族の職権濫用と贅沢な暮らし!
みたいな記事が踊ってる。
私は人の居ない特殊教室棟へ移動してスマホを見る、詳しく調べてながら歩く、角から人が!
…宏介…。
宏介は相変わらず、無表情で今私がピッグモーター事件の件で焦ってるのにムカつく程落ち着いてて不愉快だった。
宏介『…皐月…山本もお前も、この学校で目立つ存在だからさ。
落ち着くまで学校来ない方が良いと思う…。』
宏介の本当に心配してる様子に苛立つ。
『別に私が悪い事した訳じゃないでしょ!
あんたに口出される意味がわかんない。』
私の口調に宏介は無表情に、
宏介『…別に良いよ。
忠告聞いてくれれば後味悪くならない。
聞かないようなら忠告したって義理は果たしたって思えるし、
酷い目にあったって俺はそれ以上喰らってるしって思うから。』
宏介は宏介じゃ無いような感じで私の横を通り抜けて歩いて行った。
まるで宏介は私に興味も無いような感じだった。無表情に見えても感情は有ったのに…。
放課後、校門を出ると私はマスコミに取り囲まれた!
『あ!この娘がピッグモーターの社長の息子の彼女さんですよ!』
誰かが私を売ったらしい。
☆ ☆ ☆
今日のゆかり
テレビでピッグモーターの不祥事が特集組まれてる?!
これ、山本くんの実家でしょ?三島皐月の彼氏の?!
ゆかり『ぷっ♪三島皐月、今頃困ってるんだろうなぁ!テンション上がる!
このニュースでご飯3杯イケるよ!』
本当にイッた!
※他人の不幸で飯が美味い解禁。体重増加。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます