第82話 上がってるの?下がってるの?【side三島皐月】

プププ!聞いた?

友永ゆかりのミス北翔…取り消しだって!テンション上がる!

やっぱりそうよね?映像研究会が余計な事するからあの勘違い女が圧倒的得票差でミス北翔なんておかしいと思ってた。


ミスコン表彰式後に直で、生徒会の意見箱に今回のミスコンの不公平さとルールの不備を羅列して投書したもの!

あんなの美を競うじゃ無くって人気者を選ぶ大会でしょ?

これが大学のミスコンとかなら、女子アナへの登竜門って位置付けで、サークル、人脈、謀略なんでもありありな政治的な催しってのはわかるけど校内のイベントだからね?

確かに友永ゆかりは可愛くなってた、でも外見で負けたとは思って無いし。


それだけに不満だったけど…生徒会思ったよりわかってるわぁ。

ミス北翔剥奪って話しもあったらしいけどそっちが良かったな。

まあ、一度受賞したのに取り上げられる方が痛いから良いかな?

…でも、失格じゃないからミス一年が友永ゆかり、ミス北翔は該当者無しって裁定になった…。


もし友永ゆかりが失格だったらまず次点は私だったはず…そうしたらミス一年はきっと私だった…。

そしたら少しは状況が変わったかもしれない…。


というのも。

私No.2の影野と二軍の秋野に追い落とされて一軍トップから陥落してしまった…。

あんなに熱望した地位で、そこまでの失点はしてないのに、2人がつるんで私の粗探しをして、私を攻撃した。


最終的に多数決っていう意味無い方法で私は負けて、秋野を影野が補佐するって形でこのクラスの女子の序列が決まった。

一軍女子は影野に付いて秋野と合流して?

皆んなの声聞いて決めよ?って日和った形。こんなんじゃ何も決まらないよ?私は声をあげたけど冷たい目で見られるだけ。

…テンション下がる…。


取り巻き『皐月どうすんの?』

    『影野ちゃんに謝ったら?仲直りしてさ?』

どうすんの?って?どうしようも無いでしょ?

私の周りには一軍女子の頃の補欠みたいな頭悪いギャルふたりしか着いて来なかった。

※このふたりは赤点ありませんw



些細な決め事でも発言力無い私は意見すら無視される。

その現状に愚痴を言っても、


取り巻き『あたしたちも人数弱い派閥無視したかも。』

    『みんな賛成してるから余計な事言わない方が良いよ?』


『余計な事って何よ!!』


こいつらがもう少し使えればまた違ってくるのに…。


あんまり良く無い方法だけど…背に腹は変えられないよね?

こっちの加点が見込めないなら?あっちが減点すれば?

どう?


『文化祭の優秀賞のさ、カード…どんな手でも紛失させてさ?

手段は問わない、あいつらの責任でしょ?それで…。』


私は一応録音や裏切りを恐れて決定的なワードは避けてふたりに示唆っぽい事を言った。

だってこいつら一軍の頃、特に役に立つわけでも無い。ここで役に立てば…。


2人は立ち上がって悲しい顔をした。


取り巻き1『あの優秀賞は皆んなで頑張って獲った賞なんだよ、皐月。

あんた知らないでしょうけど、毎日皆んなで残って、内装やメニューや接客や全員の力なんだよ。

こんな下らない勢力争いの、しかも人を下げる為だけにって…。』


取り巻き2『皐月のミスコンのおかげもあるかもだけど…それは人としてやっちゃいけない。

ねえ、皐月、私もこいつも皐月が1番綺麗だと思う。あたしは皐月に憧れてた。』


相方を指差して気持ち良いこと言ってくれる…うん、まああなたたちはわかってるね。憧れる…まあわかるよ。頷く私。


取り巻き2『皐月は馬鹿だし、調子乗ってるし、長い付き合いの彼氏ポイ捨てしたのに被害者ムーブかまして頭おかしいって思ってたし、今も思ってる。』


なに?!なんて言った!?

この不細工!


取り巻き1『それでも、格好良いって勘違いしちゃう位自分の美貌に自信持ってて、常に相手を下に見て、謎の迫力があったよ。それは自信満々な負い目の無いあんただから出てたオーラだったんだ。

…今のあんただっせえ。』


取り巻き2『皐月は私がトップ!って自信と格好良さが魅力だった!

ここまで一緒だったあたしらを鉄砲玉みたいに使おうとするなんて…。

だっさ。流石にもう一緒に居れない。

あんただって今までつるんできた女子にそんな扱いされた事ないでしょ?』


ふたり『じゃあね、バイバイ!』


ふたりは去って言った。

しばし呆然としてると、



小佐田『三島さん?大丈夫?』


『…。』


多分見てたんだ、小佐田はそうゆう女。

私は騙された賭けで二年生になるまでこいつに敬語を使わなきゃいけない。

でも?私は黙ってる。これでこいつに敬語を使わなくって済む!

悔しいけどせめてもの抵抗!


小佐田『クラスの皆んなと仲良くした方が良いよ?

きっと届かないだろうけどね?』


『…。』


小佐田『あ、こないだ斉藤くんに初めて会ったけど、彼は頭も良いし?部活もレギュラーで大会出てベスト8まで勝ち残ってすごいね!

山本くんで大丈夫ー?』


『…。』


小佐田はニッコリ笑って宏介を褒めて、彼氏の正輝を大丈夫か?って言い残して出て行った。


声が聞こえる。

『小佐田さんが敬語で話してるのに…。』

『潔く無いよね…。』

『だっさ。』

『小佐田さんは優しいね。』


うちのクラスは賭けで負けたのに、賭けの内容をなあなあにした小佐田を持ち上げて勝手に賭け受けたって私を戦犯扱いして…!



私はクラスに味方が居ない、別に良いよ。

…正輝が居るもん。



その日の夜、ニュースで大手中古車販売業の不正が発覚した。

まぁ県内で大手とはいえ正輝の家業には影響出ないでしょ?


って思ってたら思わぬ形で飛び火してきたって正輝が次の日呟いてたのね。


続く。




☆ ☆ ☆

今日のゆかり


『まあ。ダイエット漬けの数ヶ月だったんだから?骨休めしろって事なのかも?』

※不純異性交友での停学です。休暇ではありません。


『デリバリーピザ美味い!

外出ちゃいけないから仕方ないよっ♪』


※ピザが解禁されました。体重増加。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る