第81話 一つの結実

そして、ウインターカップの県予選が始まる。

今日勝ち上がれれば2戦。明日も勝てれば2戦、計4回勝てば決勝リーグへ進める。


愛莉『一回戦は多分イケるよ!動き固くならないでね?

ボール回して行こうね!』


監督『監督が誰かわからない!』


あははははは!!

緊張もほぐれた所で監督からスターティングメンバーの発表!

俺!スタメン!


監督『君とキャプテンでゲームメイク、散らしてコートを広く使って行くんだよ!』


『はい!』


公式戦でスタメン!嬉しい!

康司も祝福してくれるけど少し悔しそう、だよね。

でも、うちのバスケは総力で上回る堅実なゲーム運びだから絶対出番は来るでしょ!珍しく『!』が多いよ!


試合開始!ジャンプボールは取られた!

すぐにトライアングルツー(エリア内を3人で守ってボールの出所をガード2人が密着する守り方)で圧をかける。


向こうのボール回しが稚拙な所をキャプテンがカットして速攻で決めた!

速攻は春まで基本戦術だったからうちはまだまだ速攻は武器!

俺に回ったボールを捌いて、チラシて。

ボール離れが早いって思わせればドリブルで抜きやすくなる!


ドライブからの速攻で決めた!やった!


愛莉『宏介くん!練習の結果出せてるよ!』



先輩ありがとう!


第一Qは20-8で押してる!

向こうが固かったからでここまでの差は無い、ファーストゴールがでかい、キャプテン頼りになる!


第二Qはメンバーそのまま、一進一退の攻防、ただうちの方が守りが固いからそこで攻撃チャンスにうまく切り返せてる!

38-22


第三Qで俺は交代、康司や2年のPGが入った。

あとはそのまま、色んな選手を使い、最終的に83-47で勝利!

康司も点取ってて大活躍だった!


愛莉『みんな、午後からもう一戦だよ!』


監督から褒めてもらい、気になった点だけ指摘が入る。

俺は…大丈夫!今のままって!



愛莉『PGは運動量が多くなりがち、絶対無理しないでね?

大丈夫、宏介くんの練習成果出てる!引き出し多さとクレバーな判断力が宏介くんの持ち味!がんば!』


『うっす!』


2回戦も勝ち、2日目。

去年は3回戦で負けたって聞いてる。。



うちと同じく2回勝って来てるんだから勢いだってあるよな。

強そうに見える…!


俺は今回もスタメンで使って貰えた!

ボールを散らしながらも、勝負所ではキャプテンに回す、これがうちの必勝パターン!キャプテンに意識が行けば周りが手薄になる…!それでも接戦!相手も流石に強い!


前なら第三Qで運動量が落ちていた。ドライブだってこんなに通用しなかった。相手はゴール下強く、うちの平均身長の低さが出ている。それでもうちのストロングポイントで殴り合う!

永瀬さんが勧めてくれたフェイクパターン増やしたら?って雑談も役に立ってる。練習が全部出せるわけじゃない。それでも無駄なモノなって無かったんだって、試合終了の笛を聴きながら思った。

うちはベスト8に勝ち残った!本当に接戦、全部出し切ってきた。

もし次勝てば決勝リーグへ進める。



午後の対戦相手はうちの県の覇者、高嶺農業。全国常連の強豪校。


全部手の内晒して午前は辛勝だった。

それすらも録画されて研究しているのかとにかく試合展開が厳しい。

厳しいってレベルじゃない。

点差は段々開いていく、身体は重く、息は苦しい。

でも、皆んな見てる、ベンチのメンバーや、愛莉先輩が声を枯らして応援してる。

強豪校とやるって怖い事なんだ。

まるで今までの事を否定されてるような、そんなんは努力じゃ無いって突きつけられるような。


チームメイトで投げ出そうとする者も出る…。


キャプテンが鼓舞しているけど…絶望している先輩も居る…。

先輩だけど、俺は後ろから引っ叩く。


俺、あんま話すの得意じゃなくって…こうゆう時、俺は親友の言葉を借りるんだ。望が好きな言葉なんだよな。



『試合終了のホイッスル鳴るまでは何点勝ってようが何点負けていようが死ぬ気でただ点を奪い合うもんでしょ!

それまでは点数なんてただの数合わせでしょうが!

気持ちで負けるな!』


キャプテン『そうだ!宏介よく言った!』


最後は北海道バラエティあの人の言葉だね?


俺たちは惨敗した。

44-102

すっごい勉強になった、勉強にしなきゃこんな思いした意味が無い!


悔しくて涙が出るけど、涙が出るほど悔しく思えるほど練習したし、情熱を持ってる自分に安心した。

承の影響なんだろう、俺熱血してる!


学校へ戻り、監督の総評を聞いて今日は解散。

ベスト8まで行けたけど、苦い経験だった。。


皆んな総評の後涙が出た。

うちはそこまで強豪じゃないし、進学校だけど皆んなで力を合わせてやってきた。

だから試合で負けて茶化すような奴は居ないし,同じく涙を流してる二年生たち。今から泣いてたら来年引退時どうするの?でもさ、


愛莉『ええええぇぇん、ふえええええぇぇぇぇぇ。。』


もっと泣いてる人が居たから俺ら涙止まっちゃって。

あんな負け方してさ、もう嫌だってなった部員も居たはずなんだ。

それでも、また頑張ろうって思わせる、うちの女神さま(笑)

部員たちも苦笑しながら口々に、


『マネージャー、次は勝つから?泣き止んで?』

『夏はもっと!力付けますから!』

『次は、きっと!』


愛莉『…ほんと?』

愛莉先輩は我が部の宝物。


☆ ☆ ☆

今日のゆかり

宏介が凄まじい量のカロリーを消費している頃。


パリッ!


ゆかり『…ポテトチップスこんなに美味しかったっけ?

…のり塩…海苔はほぼカロリーゼロだよね…?


…ポテトチップスをコーラで流しこむ…。


…犯罪的だっ…!!』


※ポテトチップスが解禁されました、体重微増。

 コーラが解禁されました、体重微増。



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