第80話 秋から冬に
バスケ部の目標、冬のウインターカップ予選まで後10日。
もう日は無いし、ここから新たに増やせる技やパターンはもうほとんど無い。
でも、愛莉先輩が俺の事を考えて厳しいメニューを組んでくれる。
少しでも強く、精度を上げる為、これまで取り組んで来た事の仕上げ為のキツイ練習。古風に言うなら特訓だよね。それをしてくれる。
これは俺の為、愛莉先輩は今までと違い厳しいし、距離を開けてるけど俺の為にしてくれてる事はわかるし伝わる。
今、俺はキツイ方が良い。何も考えずに夢中になって努力する事が1番充実してる。
一年だけどレギュラー獲りたいし、強くなりたい。
女子も別会場で同日の予定だけど永瀬さんも気合い入ってる。
ハードな練習を止めるよう言われたし、ちょっと愛莉先輩やり過ぎじゃ?って言われたけど俺が頼んだようなものだからって伝えた。
最近、やっと思ってたようにドライブからのシュートがキレるようになった。
フットワークを鍛え直した事でドライブの姿勢を低く保って体重移動を可能になったおかげなんだ。
愛莉先輩はすごい。
☆ ☆ ☆
生徒会室にて
友永ゆかりの停学が決まり、担任が友永ゆかりに停学処分を伝えた。
その以前に生徒会と学校側で話し合いが有った。
北翔高校は私立の新設校で様々な試みを行なってる学校である。
例えば文化祭で模擬店で表彰で学食や購買部で使用可能なプリペイドカードが支給されたり、実際の商売をする様な感覚を養うような模擬店の企画プレゼンをしたり。
中でも生徒会は実際さながら選挙活動で当選した生徒で運営され、権限は高校生にしては多く高い。
中でも生徒の表彰、処分に関しては生徒会に相談して決めるという方式を取っていて、一方的に学校側から処分される不利を生徒会が弁護、擁護するという生徒の自由を守ったり代弁する組織として役割も持つ。
もちろん、悪質なものや再犯に関しては生徒会は弁護せず、退学が全く無しになるなど荒唐無稽な処分撤回などは行われない。
今回のケースもそうだった。
当初学校側は停学二週間の予定だったが交渉で停学10日になった。
たかが4日であるが、停学が二週間14日で休日の土日は含まない事を考えると約18日の不登校期間は当の生徒にも周りの生徒に与える影響も強く、処分明けに登校しずらく、更生にならないと生徒会が申し入れて弁護した為、ミス北翔を受賞した有名生徒という点も加味して実際の二週間に収まる停学10日になったのだ。期末テストへの影響も考慮したらしい。
それを担当したのは先のミスコンでも実行委員だった2年の書記一ノ瀬だった。
生徒会室にはその、2年の一ノ瀬と庶務の1年永瀬が居た。
永瀬は一ノ瀬に文句を言っていた、
永瀬『処分が甘いと思います。不純異性交友?不潔じゃ無いですか?
生徒会は退学を主張しても良かったんじゃ無いでしょうか?』
永瀬の表情は固い。
一ノ瀬『…過去の処分と照らし合わせても、昨今の高校生の交際の仕方を考えてもこれ位が妥当だと思うよ。』
一ノ瀬は優しい声で、でも少し緊張感を持ちながら言う、
永瀬『そもそも、ミスコンのミス北翔も取り消しじゃなくて剥奪でよく無いですか?』
一ノ瀬『…レギュレーションが5年前のままでSNSの利用や、今回みたいなケースを考慮してなかったんだ。取り消しで良い。
でも剥奪だって生徒たちは捉えてる者が多いみたいだし。』
永瀬はヒートアップするが一ノ瀬はクールに返す。
永瀬『ミス一年だっていらなくないですか?不純異性交友するような生徒!』
一ノ瀬『ミスコンに反則が有ったわけでも、ミスコン中に有ったっていう証拠も無いし。まあ日付はミスコン前日ってのが一枚?いや1組か?投書されたと。誰が投函したのか。』
永瀬『私もそこが気になってる…。
でも、ちょうど良いから売女は処分した方が後々の為だと思います。』
永瀬は一瞬考え込んだあと、怒りを露わに一ノ瀬にねじ込む。
一ノ瀬『これから起こすだろうで処分は出来ないんだよ。』
ふう、ふたりはため息を吐く。
一ノ瀬はさっきまでのクールさが薄れた懇願するような表情で、
一ノ瀬『永瀬さん…いや、綾ちゃん、そろそろ…さ?』
永瀬『失礼します。私部活があるので!』
永瀬綾はピシャリと言い切り生徒会を退室した。
永瀬綾は生徒会にミスコンの裁定はミス北翔の剥奪、不純異性交友は退学を主張していたのだった。
一ノ瀬『…流石に処分が重すぎるって…。』
一ノ瀬書記は困り顔。
冷静沈着で品行方正、貴公子といった風情の彼が取り乱すのは永瀬綾がらみと生徒会役員たちは知っている。しかも同中。
その為、彼と彼女の噂は定期的に流れるのだ。
☆ ☆ ☆
その頃のゆかり
ゆかり『…。私ばっかりいじめられる…。なんで停学?
可愛くなったから?人気があるから?酷いよ…』
不貞寝して、自分は不幸だって酔っていた。
※
※家から出ない為運動量減、体重ややプラス。
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