第10話 脇役?わたしが?【side三島皐月】

 半分位部屋の片付けは済んだけど…。

 残り半分は多い方の半分よね?



 これは…ああ、あの時の…?






 中学校に入学して付き合いだしたわたしと宏介くん。

 公立中で同級生は皆んな子供の頃から知ってる仲だから恥ずかしいよ?って事で付き合ってるのは仲の良い人にしか伝えて無かった。


 中学生になり、クラス分けを見ると…?

 私は香椎さんとも宏介くんとも違うクラス。

 …比較的地味なクラスだけど…まあこれはこれで?

 流石に香椎、小幡あたりにはまだ勝てない気がするけど…。


 このクラスでトップは多分香椎さんグループだった一条さん。

 元々香椎さんグループの3位ポジションの子。

 これならこのクラスでも1軍!中でも良いポジションに食い込めそう!



 一条『…うーん、私のともだちが多くて?人数的にグループは難しいなぁ?ごめんね、三島さん?』


 一条さんに打診したらはんなり断られた…!

 あの女!香椎さんの前だとのんびりマイペースだけど断らない女だと思ってたけど…香椎さん以外気にしてなくて横の友好を軽く見てた…。


 でも!わたし、そろそろ自分のグループを持つ時が来たのかも?

 一条さんと敵対してるわけじゃ無いし?力のある2軍のリーダーになれば1軍の一条さんと同じ派閥だしクラス最大与党みたいなものでしょ?



 しかし、それがうまくいかない。

 目につく美人だったりスポーツ優秀だったり、頭良い子を勧誘してみるが、

 皆んな香椎さんが、香椎さんに、香椎さんのって。香椎香椎!

 なんなの!

 結局2軍は伊勢さんってギャル派閥。

 そこは結束が固くてどうにも食い込めない。

 それどころかトップの一条と伊勢さんは久しぶりに同じクラス!とか喜んでるの。伊勢さんと香椎は仲悪いって聞いたけど一条と伊勢は仲良いんだ?

 なんか小幡とも伊勢は仲良いらしい…なんそれ?


 わたしは結局三軍の、しかも不平不満の多い目立つ女子の二番手ってポジだった。一条さんに逆らうから面倒な事ばかり!

わたしは不運だった。

 運動がダメなわたしは体育祭では目立たない、文化祭もちょい役。

 目立たない、脇役オブ脇役だった。

私の立ち位置おかしくない?


 宏介くんはと言うと、違うクラスの親友の立花くんがいじめられてる?とかで大変みたい。心配してたけど後から聞いた。

 学年で男子最大派閥の外町くんに立花くんが目を付けられて?いじめられてるっぽい。

 …まあ、仕方ないよね、神崎くんの派閥だったから許されてた事が彼が居なくなってしまって変わらなかった立花くんの失策でしょ。

 それとなく宏介くんも外町くんのグループと仲良くした方が良いんじゃない?って言ったけど全然聞く気が無かった。立花くんは親友なんだって。

 格好良い!でも大丈夫かな?

 なんか後から襲撃されそうなのを宏介くんが助けたり、色々ピンチだったみたい。そこまでする必要あるかなぁ?

 最後はあのいじめっ子の乱暴な青井って子を立花くんがやっつけて解決どころか学校中のいじめが収まったって噂になった。

 …そう言えば香椎は立花を特別視してたっけ?クリスマスパーティーでも隣でニコニコして物好きだなあって思ってたけどマグレでしょ?

 香椎に見る目があって立花が活躍したわけない。あんなモブな男の子…宏介くんも香椎も過大評価してて笑える!流石に口には出さないけど。





 宏介くんの家は中学校のすぐ隣りって言っても過言じゃ無い立地。

 何度か家に寄せてもらった事がある。

 最新のパソコン、たくさんのゲーム機、家も立派?お金持ちなのかな?


 交際を秘密にしてるけど河川敷公園でデートしたり、ターミナル駅にショッピングに行ったり。定期的に一緒に過ごす。

 でもキスとかえっちい事はまだしてなかった。子供だったしね。

 一緒に居て、皆に知られないようにふたりの時間を持つのが楽しくて仕方無かった。中学生だしあんま派手じゃ無いアクセや髪留めとか買って貰った。宝物だった。



 2年生になる。最後のクラス替え!

 祈るような気持ち!香椎さんか、宏介くんと一緒!

 3年時はクラス替えが無いから!このクラスで2年!


 どうだ!


 2組…?今度は一条さんも香椎さんたちも小幡さんも居ない…?

 良く言えば普通な、悪く言えば無個性?

 さすがにここでは…?



 また三軍の二番手…?

 なんで?わたしが?脇役オブ脇役?

 もうバッチリまとまったグループが2つ出来てて、人数とまとまりの良さ、その上位2組は仲良しでもう数の暴力!

 しかもメンバー同士の結束は固いというどうにもならない布陣。



おかしいよ!わたしはこんなもんじゃ無い!

可愛いし、人を観察する力はあるし!なんで?


 香椎玲奈とまではいかなくても!


 しかし、この2組はイベント事でも弱く。

 2年時もぱっとせず、最後の3年時には学校中が注目するようなバトル、

 1組が香椎、外町に一条や二村など華のある面子に対して

 3組が小幡に青井、宏介くんといった面々が対抗して学校で軽く伝説になる程秋のイベントをバチバチにやり合って青春!って感じだった。


 うちのクラスは体育祭で3位、文化祭では課題発表のみ優勝って地味な結果。皆んな泣いてたけどわたしは大した事してないからなんの感慨もない。


 中2、中3と宏介くんとの仲はあまり変わらない。

 もちろん仲良くしてるし?誕生日やクリスマスにはプレゼント交換して?

 ファーのマフラーや?可愛い小物とか?色々もらったりした。


 でも相変わらず立花くんの話ばっかり。

 三年時には立花妹が入学してきて?テニス部の一年ではエースで可愛いとか評判になってて?ちょっとイライラした。

可愛い?クソガキでしょ?あんなの?

 宏介くんにもう一度彼女持ちが他の女の子と仲良くしないように釘を刺した。



 目標を北翔高校へ行く事に設定した私たちは一緒に同じ高校へ行くべく一緒に勉強する。

 悔しいけど宏介くんの方が頭が良い。

 新川中でも結構上の部類だ。私も国語、社会系は良いんだけど英数がちょっと苦手だった。

 宏介くんの教え方は丁寧で優しい。言葉は少ないけど私を思ってくれてるのは伝わる。

 私は甘えてしまって、自分の今の現状、ポジションに不満を言っちゃう。

 ただ聞いて欲しかったんだ。でも、宏介くんは丁寧に諭してくれる。

 今のままの皐月で良いよ。陽キャになる事が幸せじゃ無いでしょ?って。

 それはわかる。でも女の子に生まれた以上可愛くありたいし、他の子に負けたく無い。


 確かに宏介くんは良い彼氏と言われる。

 友達に愚痴ると背が低めで無口な事以外弱点が無く、万能って言って良いほど弱点は無い。

 精神的には大人で優しく、友達の為に無茶する義侠心と秋のイベントで見せた行動力に惹かれた女子は実は多いらしい。


『でも、全部宏介くん迷いなく断ったんだって?

 小幡さんが二人三脚組む?って聞いた時も彼女居るって即断り!

 愛されてるねー!』


 確かに愛されてる自覚はある。




 北翔に2人で合格して、手を繋いで中学校へ戻った。

 知り合いがいたからパッと手を離す。

 赤くなる宏介くんを見て、大人に思った宏介くんも同い年の男の子でしか無いって思った。


 卒業式、終わったあとに図書室で初めてキスをした。

 大事にされてるって思ってたけど何もしてこないから不安があったんだって自覚した。感動して涙が出た。

 キスする時震えてた…あの宏介くんが…。

 初めて自分が優位に立った気がした。


 今までは私からアプローチしたって意識があって大人で無口な宏介くんを尊敬していた。

 勉強を教えてもらって、自分の考えを話して諭されて宏介くんがやはり上なんだって思ってた。

 …でも、は私が好き、愛してると言って良い。

わたしにキスするのに?震えていた?

なーんだ主導権はわたしにあるんじゃない…?

いつも大人ぶる宏介に仕返してやりたいそんな気分。


なんで今までこんな遠慮してきたんだろ?

中学校が全部悪い。

私を評価せず、適正なカーストに居れることも出来ずに。


高校生になったらこうはいかない!

変えよう!居る位置を!

変えよう!私に相応しいポジションに!


宏介は大人ぶって私に何か言うけどそんなもの聞く必要は無いよね。

しっかり仕上げて、香椎玲奈位にはすぐになってやる!








まあそんな頃もあったよね?つい数ヶ月前のことだけど高校入学から目まぐるしく変化があったからなんかすっごい過去の事みたい。

クスッと笑う。少女だったね?



宏介から貰った派手じゃ無いアクセや髪留め、ファーのマフラーや可愛い小物を数点、ポンポンゴミ袋に投げ込む。

そういえば今してるテハニーのシルバーアクセ。

ネックレスは…ブランド物に罪は無いか?最悪売っても良いし?


掃除する際の片付いていく気持ちよさにゴミ袋に投げ込むプレゼントもテンポ良く入っていく。

掃除は快調!


ゴミ掃除は終盤にさしかかる♪


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