1-1〈もう一度配信者になってみた〉

第6話「新しい仲間」

 あれから約三年たち、俺は18歳になった。

 春の風が僕の頬に当たり、空は嫌なくらいに快晴。日光すら嫌になってくる。


 僕は嫌々外を歩き、とある大きな建物の中に入って顔認証をしてから突き当りのドアを開ける。


「おーいHaru~!時間すぎてんだよ~!はよしろ~!」

「いつも通りだよ。慣れるでしょ流石に。」

「はいはいわかったよ。相変わらず朝からでもとレイアと瑠璃るりは時間厳守で偉いですねー(棒)」

「今日は初配信ですよ。早く集めて正解でしたね...」


 この肩を組んでくる馴れ馴れしい金髪野郎は【レイア】。20歳で誰とでも仲良く話す「ザ・陽キャ」だがゲームの腕前は一流、日本7位で去年の世界大会ではトップ30に入った実力者だ。

 こっちの真面目にエイム調整しているのが青みがかった髪の女性は【瑠璃るり】。現役高校生でちょっぴりお口が悪いところがあるが、冷静な判断力や洞察力、状況把握能力は多分日本一といえるほどの実力だ。しかし大会経験がほぼないためあまり知名度はあまりない。

 そして最後にメガネをかけてノートを見る彼女は『和泉 雪(いずみ ゆき)』。僕たちが所属する《AGLAR(アグラー)》という事務所のマネージャーをやっていて、俺たち〖孤高の戦士〗の担当だ。スケジュール管理はしっかりとしてくれて助かるし、いつもメモを欠かせない、マネージャーだが一番チームを支えてくれる頼れる人だ。


 俺は今日から配信活動を再開する。別に配信をまたやりたいと思ったわけではない。


「——花恋をあーしたやつらに絶対復讐する。」

「なんか言ったか~?」

「いや、何でもない。」


 危ないレイアに聞こえかけた。

 と言うのも、花恋の個人用のスマホに入っていた連絡先はどれもお仕事関連の人が多かった。アイドル仲間や俺関連で仲良くなった配信者もいる。


 その中の一人にいたのがここの事務所所属の女性。彼女を調べてみると約2年前、つまり花恋が亡くなってから約1年後に、自殺で死んでしまっていることがわかった。もしかしたら何かあるのではないかと思い、俺はこの事務所に入った。


「みなさんそろそろですよ!」

「いっちょやりますかぁー!」

「がんばろ。」

「Haruさんも急いで!」

「めんどくせー」


 和泉さんの声かけで俺たちは配信準備をする。レイアはすごくワクワクしていて、楽しそう。瑠璃は少し緊張しているのかマイク設定を何度も確認をしている。


 俺は配信開始ボタンを押す。

 今度は「AGLARのHaru」という形で、もう一度配信者としての生活が幕を開けた。|


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