第3話「夏の夢見草」
木製の壁と床、落ち着いたデザインだが可愛いクッションやぬいぐるみも置いてあるかっこかわいいお店。
私は可愛いパフェを頼むが、パフェよりも晴の落ち着いた顔に目を引き付けられる。
「そーいや晴はコーヒーしか頼んでないんだね。いいの?せっかく来てもらったし奢るけど。」
「カフェインしか勝たん。」
「職業病じゃん...」
晴ってちょっとだけ天然なところあるんだよな。この間もスマホがないって言って電話かけてきたし、今みたいに夕方で配信もしてないのにカフェイン取ろうとしてるし。可愛い。私は貰ったぬいぐるみとパフェを並べて数枚写真を撮る。
「ってか写真、今すぐ上げるのはやめろよ。」
「え、何で?」
「何でって...自分の今いる場所が特定されるだろ?一応人気アイドルなんだから。」
「人気アイドルって...そんな..(照)」
「照れてるんじゃねぇちゃんと話聞け。危機感を持て。」
「むぅ...」
私がないんじゃなくて晴がありすぎるだけだもん。私は頬杖をつきながらほっぺを膨らませて晴を見る。それにしても晴は顔が整っているな。普通にモテそうなのに。
「花恋もう食べ終わったでしょ?ちょっと席外す。」
「え、いいけどどうしたの?」
晴は無言で席を立って歩いていく。目で追ってみると、なにやら出口付近で店員と話している。目を凝らしてみると...え、会計してる!?
私は急いで席を立って晴を追う。
「晴!会計するなら言ってよ!全然出すのに!」
「別に俺大会で優勝したから金はあるし。」
「でもさぁ...」
ほんと、そーいうとこずるい。思わずその少し目つきの悪い目をかっこいいと思ってしまう。私は貰ったぬいぐるみを抱きしめ、ルンルン気分で外に出る。
「今日はありがとね!晴のおかげで助かったぁー!」
ほんとはこのぬいぐるみよりも、晴と一緒にいる時間が欲しかったなんて言えない。私は晴の事が好きなんて、もっと言えない。いつか言えたらいいな。
――気が付くと、私は服を赤く染めながら倒れていた。
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