第4話 逆 夢
月曜日の朝だった。
夢を見ていた。 手術を終えた医師が私に向かって一言言って去って行く夢だった。
「良くなりますよ!」
その日は朝から意味もなくムカついていた。 小馬鹿にされたような、軽くあしらわれたような気分だった。
「いい加減なことを言いやがって!」 そんな不愉快な気分で出勤した。
最近、くだらない夢ばかり見るようになった。 以前は霊夢が多かったのだが・・・。
中でも極めつけの霊夢は、亡くなった母親からのお告げの夢だった。
かなり前の話だが、あまりの恐ろしさに全身が汗びっしょりになって飛び起きたことがある。 階段の踊り場に美しい全裸の美女が四つん這いになって、私のほうを悲しそうな顔で見つめていた。 すると私の右隣に母が姿を現し、テレパシーのような感じで私に告げた。
「お前の人生がうまくいかないのは全てこの女のせいだ!」 と・・・。
そして女のほうを振り返ると、それはもはや人間ではなく恐ろしい化け物となり、私に襲い掛かってきたところで目が覚めた。
その後この話を友人だった霊能者に話してみると、前世の彼女が怨霊となって私が生まれた瞬間から憑りついているのだそうだ。 彼女は病気か何かで、私はもとより自分の身内からも遠ざけられて一人寂しく亡くなったのだそうである。 詳細は不明だが、私に対する怨念は並大抵のものではないらしい。
その彼女と前世の私は幕末の時代だったそうである。 そんな話を聞いた後で、彼女は奇麗だった時の姿で私の霊夢に出てきた。その姿は、昔の女優さんの若い頃に瓜二つだった。 ネットで画像検索すると、そっくりな白黒の写真があったので、後日その写真を友人だった霊能者に見せると、
「えッ、何処でこの写真を・・・。」と息を飲んで驚愕していた。
友人の驚愕する姿を見たとき、あきらかに怨霊の姿が見えていたのだと確信したのだった。(友人だった霊能者は令和を待たずに他界している。)
最近は霊夢を見ることも少なくなり、正夢や逆夢ばかりだ。
9月の末頃に精密検査する予定になった。 私が今一番頭を悩ませているのは、今後の諸々の費用と自身の後始末のことだけだ。金があれば、後始末を全て任せられる業者もあるらしい。良い時代になったものだ!
さて、この先はどうなるか全くわからないが、出来る限り報告も兼ねて5話以降を書きたいと思う。
鬼が出るか蛇が出るか、5話以降をお楽しみに!
令和5年 9月 高草木 辰也
霊 夢 高草木 辰也(たかくさき たつや) @crinum
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