第2話  煙 草


 私は一日「セブンスター」を30本くらい吸っている愛煙家だ!


 ヘビースモーカー??  愛煙家と言ってほしいな。


 職業「愛煙家」をやってます高草木辰也と申します。 (笑)




 一か月以上前から咳が出て止まらない。 いつもは春先の花粉の時期に出るアレルギー喘息だが、パンデミックになった2020年から今年の初夏までピタッと嘘のように収まっていた。 なのに何で夏のくそ暑い時期に喘息が出るんだろう?


 このため8月の初めに病院に行ってみた。


 喘息やアレルギーの薬と咳止めを処方してもらい処方箋薬局に行くと、指定された薬が欠品中で代替品を処方された。


 念のため一か月分の薬を貰ったのだが、いつもなら二週間もたてば治ってしまう。しかし今回は一か月たって薬が終わっても治まらない。


「代替品のジェネリックって効かねぇな!」と不満を漏らしながら9月に入ってまた病院に行った。 診察室に入ると前回と別の医師だったが・・


「う~~ん、喘息じゃないかもしれないですよ、煙草吸うんですか? 肺の細胞が少し壊れてきたのかもしれませんね、それに肺がんの心配もあるので・・。 ct撮ってみましょう。」



 医師にそう言われct室へ。 


 ctを撮り終えてからしばらく待たされて診察室へ入る。




 しばし沈黙したのちに医師が口を開いた。


「う~ん、肺が少し傷んでますね、それよりもこれです。」 と言って画像を見せる。

「これ肺がんの疑いがありますので、血液採取と痰を採ってもらって病理検査に出します。二週間くらいで結果が出ますのでその時また来てください、呼吸器専門の医師が診察しますから・・。」



 深刻な面持ちで医師が伝えたが、彼の心の声が私の耳に力強く響いてきた。

『これ、肺癌だよ! これだけデカいと末期だよ! あ~あ、どーしょもねえな』 と。



 こんなの素人の俺が見たってハッキリとわかる。 癌が転移して肺に飛んだのか元が肺癌なのかで全く違ってくるが、いずれにしてもこの大きさじゃ末期もいいところだ。


 採血を終え椅子に座って会計を待ちながら、先日の夢がふと頭をよぎった。


「この前の夢は正夢だったのか? なんか爽やかな夢だったなぁ~! 何かをやり遂げた後の、責任を果たした後のスッキリした感じだったなぁ~」


 そんなことを思いながら会計を済ませて病院を後にした。


 

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