『人間C℃測定検査』
やましん(テンパー)
『人間C℃測定検査』
『これは、近未来SF(ショート・フェイク)である。』
よく知られるように、お安い電池測定器は、簡単に、電池の残りの電圧を測定する。
家庭用温度計は、さらに簡単に室温などを測定する。
人間度(C℃)検査装置は、セドリン博士によって開発され、温度といささか紛らわしいが、C℃(セドリん度)と呼ばれる数値を弾き出す。
検査はいたって簡単で、電池測定器と同様に、頭と足などに端末を装着するわけだが、あたらしい機械は身長計みたいな感じになっている。そこに、立つだけである。
その使い方は、国によって異なっている。
新生ニポン政府は、人間C℃50以下は、ただちに消去処分にすると決めている。
ただし、念のため、筆記試験と面接も行うが、どこまで参考にしているのかは、公表されていない。また、例外はあるらしい。秘密リストが配布されているという。
🌡️
ある日、やましーんが在住する地域での、定期検査があった。
『はい。やましーんさん。』
呼ばれると、すぐに、身長を測るみたいにして測定され、簡単な筆記試験があり、面接もある。
全部で2時間くらいだから、運転免許の更新よりも早いくらいだ。
基準以下だと、すぐに、処分場に運ばれる。
それから、分子破壊装置で、煙のように、ばらばらにされるのだ。
もう、ここ、200年くらいは、それが、当たり前の社会なので、なんの混乱も起こらない。
実に平和なのである。
しかし、やましーんは、変わり者と言われていただけに、結果を聴かされると、急に走りだして、脱走を試みた。
会場には、念のために警備兵がいて、やましーんは、重機関銃で、あっという間に、ばらばらにされたのである。
にも拘らず、あたりは、いたって平穏な雰囲気だったのであった。だれも、気にしなかったのだ。まあ、そんな、じっつに、平和な社会なのである。
会場の回りでは、ちょっと気の早い、黒色のとんぼさんが、あまりの暑さに翻弄されてしまい、あっちの壁や、こっちの扉にぶつかりながら、やがて、草むらに消えた。
もう、10月だというのに、今日も、40℃を越えていたからだ。
おわり 🙇
『人間C℃測定検査』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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