クズその8【ロボピー】

 これで何をしろと……? 

 箱の中には、小型のロボットらしき物体が一体入っていた。その外観は某有名スペースオペラ映画のポリバケツ型ロボに酷似している。

 造形はあまり精巧ではなく、むしろ雑。一昔前に中国のアミューズメントパークを闊歩していた某有名ネズミキャラクターの偽物を彷彿とさせるクオリティの低さだ。

 胡散臭さ満載だが、とりあえず同梱されている説明書を開いた。


■ロボピーの頭を押すと、いい事があるかも……?


「……怪しすぎる。まさか、これが仮転生記念のプレゼントってやつ?」

 何はともあれチャレンジあるのみ。俺は何の躊躇もなくロボピーとやらの頭を押してみた。


 ピロロ……ピロロロロロ……ピロ、ピロ、ピロ、ピロッピロッピー♪


 ロボピーから妙な機械音のメロディが奏でられると、前面のレンズが赤く発光した。

 その直後──


 ティントン♪ 


 スマホからメールの受信音が鳴った。俺はメールフォルダを開いてみた。


【仮転生登録ありがとうございます。お届けしたプレゼントは、一日一回、魔法クジが引ける魔法クジ専用ガチャ『ロボピー』です。引いた魔法はスマホのアプリに送信されますので、ダウンロードしてご使用ください】


 は? 魔法ガチャ? 

 スマホをいじると、ホーム画面に【魔】というロゴのショートカットが貼り付けられている事に気付いた。

「魔法か……なんかワクワクしてきたな」

 アプリを起動させると、【魔法フォルダ】が表示された。そのリストには、【魔法:豚カツ】と書かれている。

「何? 豚カツ?」

【詳細】をクリックした。


【この魔法を使用すると、八時間以内に豚カツが食べられます。※時間と場所は指定出来ません】


 おいおいおい。これは魔法と呼べるのか? てゆーか、スマホを使って魔法をダウンロードするなら、ガチャもアプリでよくね? わざわざ物理的に変なロボット使わなくてよくね? 

 まぁ良き――とりあえず【魔法:豚カツ】をクリックし、魔法を使用した。これで八時間以内に豚カツが食べられれば、本物の魔法だと証明されるだろう。


「……とは言っても、多分無理だろうけど」


 なぜなら、今日の夕飯は仮転生祝いとして、絶対に食べようと決めていたモノがあるから

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