クズその2【転生女神現る】
まずは髪型から。さらさらストレートタイプのショートヘアで金髪だ。
続いて顔だが、耳大きめで、ピアス穴有り。小顔で結構童顔だが、『目が目ぇー!』と、主張するくらい大きい。
鼻はほどほどに高く、小鼻も小さめで、唇のポッテリ具合も良い感じ。全体の顔立ちは猫みたいな印象だ。
「……ゴクリ」
わざとらしく喉を鳴らして、次は上半身の確認だ。
何はともあれ、まずは胸、されど胸。生まれて初めて触る女の子のおっ……おっ……おっ…………ぱひ。
これは流石に興奮する。荒ぶる鼻息と共に、全神経を掌に集中させて、そっと胸に手を当てた。
……あ。……あっ。ああああああぁぁぁあああんんん……?
つるぺただった。
超がつくほどの見事な貧乳……もはや少年と形象してもいい。
入れ替わりあるあるの、『胸をポインポインと触り、悦に浸る』というのを期待していたが、見事に裏切られた。
まぁいい、これはまだ前菜に過ぎない。俺は気を取り直した。メインディッシュはなんといっても下半身、かはーんすぅいーん! だろう。
トイレは何となく薄暗いので、いそいそと個室へ戻る。そして、素早く病衣のズボンを下ろして下着を露出させた。
まずは外観から確認に入る。下着は薄いピンクで小さなリボン付き。そして、当然ながら男性のシンボルタワーの影も形も無い。
否が応でもテンションは爆上がる。二十五年間、画面上や写真でしか見た事がなかった部位と、遂に対面の時だ。
「……あれ?」
周囲の景色が灰色になった。
おもむろに天井を見上げてみると、眩いばかりの神々しい光が溢れてきて、その光の中から銀髪ロングヘアの美しい女の子が顔を覗かせた。
「初めましてぇ~、葛谷遼くんだよねっ?」
女の子は光同様に眩いばかりの笑顔を見せて、ふわりと降り立った。
「は……はい? あ、貴女は一体……」
「私は女神ルナ。君を異世界にお連れする為に参りましたぁ、エヘ♪」
純白のローブに身を包んだ女神ルナと名乗る激烈にカワイイ女の子は、目元ピースを決め、ドヤ顔全開でウインクをかましてくる。
女神? は? 女神? これってもしかして、もしかすると、
「……て、転生? もしかして異世界転生……ってやつですか?」
マジかっ! ちょ! マジでかっ! 死に際に願った俺の願いが叶ったって事か!
「そーゆー事ぉ。でもね、ちょっとした手違いが発生しちゃったの~」
女神ルナは困り顔で首を傾げる。
「……手違い? 女神が手違いですか?」
「うん。ホントなら、遼くんはぁ、もうゴブリンに転生してるはずなんだけどぉ……」
「え? ゴブ……リン? ゴブリンってあれですか? あの経験値を稼ぐ為だけに存在しているであろう、冒険の序盤に出てくる、いわゆる最弱モンスター代表格のゴブリンですか?」
「そ。そのゴブリンで~す♪」
「……あの、俺死ぬ前に、チートなイケメン勇者に生まれ変わりたいって願ったんですけど、何故ゴブリン?」
そう尋ねると、女神ルナは、「アハハハハハハ!」と腹を抱えて笑い始めた。
「……ハァ。笑ったわ~、久しぶりにおなか痛いわ~。冗談キツいよ遼くぅ~ん。あのね、冷静に考えてみなよ。散々自由奔放なクズ人生を歩んできてさ、結果、怠惰を極めて餓死だよ? 努力の一つも積み重ねず、部屋にゴミを積み重ねてきた君がチートなイケメン勇者に転生? ウハハハハハハ! 無理無理、絶対に無理だよ!」
出会って数分の人間に容赦ないディスの波状攻撃を炸裂させる女神ルナ。
流石に殺意が沸いてくる。どれだけこのルナと名乗る女神がカワイイとしても、どれだけ俺がクズだったとしてもだ。
だが──
一応俺も大人だ。昂る感情を抑えて話の続きを聞く事にした。
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