第32話 アラクネ:雲井蓮

翌日…

やっぱり、兄さんと本気で殴り合ったのか、一度死んでも痛いものは痛かった…


「随分鈍ったなぁ…昔は殴り合いでも平然だったのに」

「それ以前に、一体どういう生活をしていたのですか…レン師匠」


そんな疑問を投げかける妹分で弟子であるフェイシャがそう話してきた…

そういえば、今回僕の地の姿は初めてだったんだよなぁ。


「気になる?」

「ええ。人型時でも美人であるレン師匠が、あんな風に男言葉になる原点って、何ですか?」

「そうだねぇ…やっぱ、兄さんと一緒にヤンキーをやっていたからかな」

「ヤンキーって、一体なんですか…?」


そんな風に呆れるフェイシャに、思わず僕は我に返って説明した。


「あっ、そういえばフェイシャは殆ど知らなかったんだよね」

「そうですよ。僕は生粋の妖精国のダークエルフでしたんだから」

「んー…そうだ。昔の写真持っていたんだった」


そう言って、僕が何時も持ち歩いている鞄の中から、一冊のアルバムを出して、フェイシャに見せていった。

あの時の村長に、鞄取られなくてよかったよ…


「ああ、それが写真というリアルに近い絵で映し出される紙でしたね」

「うん。大体僕が五歳から異世界に来る前までの写真はコレに入ってるからね」


そういって、僕はフェイシャに写真を見せていった。


「うわぁ…やっぱり小さい頃から女の子に見えたんですね」

「爺様は母さんに『女の子の格好をさせるな』と怒っていたけど、なんだかんだ言って母さんは女の子が欲しかったからね」

「へぇ…10歳の頃まではそんな感じだったんですね」


そして、14歳の写真を見せた時、フェイシャは顔を引きつった。


「ねぇ、レン師匠…」

「何?」

「なんで…ダボダボの作業着みたいな服と布巻いて厳つい顔してるんですか?」

「うん。それがヤンキー時代の僕。平たく言うなら、暴走族だね。して、後ろに二つの車輪をつけた機械がバイクで、それに兄さんと一緒に乗って走ってた」

「というより、なんでキンジさんが言う学生服と言う服を着ている時との差が、激しいんですか…」


そりゃあそうだもんね。

中学時でも学ラン着なくても美人だと言われるぐらいに学校一美少女が、暴走族やっていたなんて誰も信じないからね。

おかげで兄さんとの息抜きが楽だったよ。

ちなみに、学校内の不良は僕が全員絞めていた上に舎弟にしていたからね。

…あいつ等全員元気かな?


「まぁ、流石に16歳過ぎて兄さんと同じ学校に来てからは、足を洗ったけどね」

「は、はぁ…」

「久しぶりにバイクでも乗りたいなぁ…」


そういって、上半身を蜘蛛体で寝そべらせた僕であったが…


「そういえば…この前、英雄人狼ヴェオヴォルフの隊員の人が整備してるの見ましたよ」

「マジで!?」

「え、ええ…確か、今王城の工場こうばで整備していると話がありましたし」

「ちょっと、行って来ても良いかな?」


流石にうずうず感が止まらない僕にフェイシャは諦め顔しながら答えてきた。


「…良いですよ。僕は今から王女様に報告しなければなりませんし」

「ありがとう!んじゃ、兄さんには宜しく言っておいて!」


そう言って、僕は鞄を纏めて王城の工場まで向かっていった。




工場まで向かう途中にて、蜘蛛体でありながら騎士姿をしていたシャルトーゼが歩いていた。


「あっ、レンお姉様。どうかなさいました?」

「ああ、シャル。丁度良かった…コレからちょっと僕の趣味に出るけど、一緒に来るかい?」


僕の返事にシャルはキョトンとした顔をしていたけど、一瞬クスっと笑って頷き答えてきた。


「良いですわよ。皆から、たまには二人っきりでどこか行ってこいて言われて、暇を出されましたので」

「よし!んじゃ、一緒に行こう!」


そういって、僕はシャルの手を繋いで向かっていった。






王城の工場には、上島さんと上村君と共に米兵であった英雄人狼の人達も居て、戦車から実弾兵器を整備していた。


その中に、僕の目当ての物が目の前にあった。


「うわぁ…!米国産のハーレーだ!!」


そう言って、僕はきちんと整備されていた大型バイクであるハーレーに興味を持って色々見て回った。


「こ、これがお姉様の趣味のものですか?」

「うん!昔はコレよりも小さいバイクを乗って走り回っていたけど、この子は良い感じに整備されているなぁ…いいなぁ…」

「おお。これは蜘蛛の姫君じゃないか。どうしたんだ?」


そう言って、近付いてきた一人の人狼の男性が僕に声を掛けてきた。


「アーネストさん。こんにちは」

「おぅ。それよりも、そのハーレーに食いついてる様に見ていたんだが…?」

「はい!とてもよく整備されていて感激しました!エンジン周りからマフラー部分まで細かく磨かれて、その上オイルもしっかりと入ってて…ああ、乗って爆走させてみたいです…」

「…嬢ちゃん。日本人は未成年だと大型バイク乗れなかったんじゃないか?」

「昔、やんちゃしてました♪」


僕のはっきりした答えにアーネストさんは「お、おぅ」と呟いていて、シャルに到っては空笑いしながら目が点になっていた…


「はっ!?ご、ごめんシャル。ほったらかしにして…」

「い、いえ!?大丈夫ですわ…それにしても、お姉様って…やっぱりアラクネになる前は本当に男の子でしたのね…まるで馬を見て喜ぶ王子様みたいに」

「うーん…昔の写真、シャルに見せた方が良いかな?」


そう言って、僕は鞄の中にあるアルバムを取り出して、皆に見せていった。

うん、やっぱりヤンキーやっていた頃の姿に皆「ギャップありすぎだろ!」と、突っ込まれていたな…




それはさておき、手入れされてたハーレーだけど…持ち主は誰のだろうか?


「ねぇ、アーネストさん。このバイクの持ち主は誰なんですか?」

「あ、ああ…そいつは俺の戦友でな。隊長と同期だった奴がお気に入り用に乗り回していた軍用ハーレーなんだ」

「その親友さんは…もしかして」

「去年、先に旅立ってしまったな。嬢ちゃん達が来る前に愛宕陣あたごじんとの、大規模な戦闘があってな。そん時の傷で逝ってしまったんだよ…」


そう言いながら、アーネストさんはハーレーの鍵を僕の手に渡してきた…


「嬢ちゃん。よかったら、そいつを使ってくれないか?何時までも遺品で置いていると、あいつが蹴り飛ばしにやってくるかもな。それに、使ってくれた方が…あいつも喜ぶだろうよ」

「あ、ありがとうございます!」

「うむ。それと…そこの騎士娘さんも乗せたいんだろ?なら、サイドカーも取り付けてやるから、ちょっと待ってくれや」

「いえ、手伝わせて貰います。ごめん、シャル。ちょっと待って貰って良い?」

「あっ、大丈夫ですわ。むしろ、レンお姉様が生き生きした姿を見ている方が、凄く楽しくなってきましたので♪」


そう言ってニッコリと笑ったシャルを見て、僕はちょっと驚いた。

…そういえば、最近一緒に笑ってないな。

よし、そうなれば、デートの為にもこのハーレーを乗せてやろう。

僕はそう決意をしてアーネストさんと共に、ハーレーの最終整備とサイドカーの取り付けに勤しんだ。


うん、暴走族やっていた時も自力でバイク整備していた技術が冴えていた…

あとは、自分の物にする為の努力をするんだ。




大体三十分ぐらいの整備格闘して、完全なサイドカー付きハーレーの姿が現し、僕は感激して拳を入れて喜んだ。


「よし!これで…!!」

「その前に、嬢ちゃん。これを被れ。こいつがないと転倒した時が危ないだろ?」

「あっ、すいません」


アーネストさんがそう言いながら、僕に二つのヘルメットとゴーグルを渡した。

大型車なら、フルフェイスメットか、通常のヘルメットとゴーグルのセットが、必ず必要だからね。

というわけで、待たせたシャルにもヘルメットとゴーグルを装着させてやった。


「騎士団の鉄の兜では駄目なのですか?」

「そのヘルメットは、馬から落馬して頭を打っても怪我しないぐらいに、頑丈に出来てるからね。その代わり、一回壊れたら使い物にならないけど。ゴーグルは風除けだから。さぁ、乗って乗って」


そう言って、僕とシャルは人型になって、八つの足も胴体に収納した状態にし、シャルにサイドカーに乗せて、僕がハーレーに跨ってエンジンを掛けていった。


うん、実に良いエンジン音だ。

マニュアルエンジンで、ガソリンを軽快に喰らう良いエンジン音に舌を唸らせた僕は、早速発進させてみた。


「では、行って来ます!」

「おぅ!燃料はたっぷり入れてるから、気にせず行って来い!!」

「んじゃ、行くよ。シャル」

「何時でも良いですわ♪」


シャルの元気の良い返事と共に、僕はハーレーのギアクラッチを踏んでエンジン吹かせ、前進させていった。





城下町に機械のエンジン音で走る車を始めてみた住民達からは、驚きの顔をして見られていたが、今の僕にとっては嬉しい限りであった。


「本当、お姉様の世界ではこんな乗り物があるのですね」

「うん。まぁ、今はそんなにスピードを出してないけどね」

「えっ?これ、どれくらいの速さで走れますか?」

「エンジン全開させたら、速い馬の約三倍ぐらいの速さで走れるよ♪」

「…大丈夫ですか?そんなスピードを出したら」

「まぁ、異世界での運転はまだ慣れてないから、普通の馬のスピードで走るから安心して」

「それなら大丈夫ですわね。あら?あそこに要るのはキンジ様達では?」


シャルの指摘通りに、大通りを歩く兄さん達の姿があった。

丁度いいから、挨拶していこう。

というわけで、兄さんの目の前でブレーキを掛けて止まった。


「兄さん!」

「おお、蓮。そのバイクはどうしたんだ?」

「うん、米兵のアーネストさんから頂いたんだ」

「そうか…良いハーレーだな。これからシャルトーゼとお出かけか?」

「うん、気分がいいからね。僕も気分転換してくるよ」

「そうだな…良い旅して来いよ!」

「うん!ありがとう!兄さん!!」


そう言って、僕はエンジンを吹かせて進めようとした。


「…シャルトーゼ!蓮を頼んだぞ!!」

「…お言葉に感謝します!!」


シャルもまた、兄さんの返事に答えて手を振ってくれた…

とりあえず、何処に向かおうかな…?






城下町を出て、街道に出た僕達は…ハーレーの本来のスピードで走行をしながらぶらりと移動していた。


「本当に速いですね…!!」

「でしょ!昔は兄さんの背中にしがみ付いて、運転してもらってたからね!!」


本当、昔は大型車を二人乗りする時は僕がしがみ付いて、兄さんがハンドル握りながら運転していたからね…


だけど、あの時の僕達は楽しかったな…

何も縛られず、腹違いの沢山の兄弟とかの柵も捨てて、本物の兄弟として暴れ、遊んで明け暮れていたからな…

まぁ、時には敵対する”ゾク”と乱闘騒ぎも起こしたっけっか?

…とにかく、母さんが死んで女化する僕に見かねて、元気にする為に色々としてくれてた兄さんだからこそ、先日”俺”として啖呵を切ったんだ。

だから、兄さんが答えてくれたから、僕は安心したんだ…


そして、今度は僕が…俺が変わる番だ。

…とりあえず、”俺”になると運転荒くなるから、今は”僕”として運転しよう。


「シャル!川まで走ったら一旦休憩しようか!!」

「ええ!そうしましょう!!」


二人で笑いながら、僕達は街道をハーレーで走らせていた…





少ししてから…あの時の大きい川に架かる橋のところまで僕達はやってきた。

うん、以前の旅団の時の戦いから、大分復興をしているみたいだ。

魔王軍に傷つけられた石橋は随分と修復され、綺麗に研磨されていた。


勿論、これから人通りが多くなると予測され、現在は橋をもう一本建設中だ。

水棲亜人であるスキュラやサハギンたちのおかげで川底の整備が楽になって、土台もしっかりとした橋が出来上がる事になるだろうね…


そんな工事現場を前に僕達二人はバイクから降りて、河川敷の草むらに座り、川の流れを見ていた。


「綺麗だね…」

「そうですわね…」


本当に、久しぶりに二人っきりの時間…

以前は、旅団の竜車内で二人っきりなることもあったが、誰かに見られてる事に気が付いて気になり、王城で生活してからも他人の事で気にする事が多くてね…


こんな時間がもらえたのは本当に久しぶりだ…

そう思って、僕は隣にいるシャルにそっと抱きしめた…


「ねぇ。お姉様…いえ、レン様」

「どうした?シャル」

「私で…宜しかったのですか?」

「…君じゃなかったら、たぶん僕は…いや、俺は他人の女を好きになれなかった」


ああ、彼女の前では…俺となろう…

俺の本音を、彼女に言おう…


「正直に言うとな…シャル。お前が羨ましい…」

「わ、私が…?」

「ああ。確かにお前は貴族の娘として生まれ、騎士となって働いていた…だが、お前は親に愛されてなかった。だから、見限る事が出来た…。逆に…俺は親に愛されすぎてたんだ…特に母さんからな…」


そう言いながら、俺は彼女を抱きしめながら語り始めた…


「小さい頃の写真見ただろ?女みたいな俺のガキの頃の姿を。あれは、母さんの趣味で着替えさせられ、母さんの望み通りになっていたんだ…母さんはさぁ…、爺様の剣を教えさせられる為に”女”を捨てさせられたんだ。だから、母さんは心を壊し…”鬼”となって剣を握ったんだ」

「…っ」

「だけど…母さんもまた、この異世界に来ていたんだ。20年前の異世界転送で勇者組でな。無論、これは兄貴にも知らないことだけどな。…そこで、母さんは愛を知ってしまった。俺達の親父、西園寺勇次郎にな…」

「それ…あの勇者サイオンジの…」

「ああ。アイツの親父で、俺達の親父だ…そうだ。兄貴が、ハーレムを消極的になる原因が…あの親父もまた異世界でハーレムを作って、そのまま俺達の世界で帰ってきたんだよ。俺の母さんや、横山真理恵、他にも沢山の女を連れてな…。なんで、あんな男に好きになったのか…俺にも分からないよ…」


そんな風に、泣き言を言う俺にシャルはアラクネの手で俺の頭を撫でていた…

西園寺みたいな男を生み出す親父と、ぶっ壊れて”愛され”続けた俺を慰めて…


「そして…母さんは本気で愛したいと親父を爺様に紹介したんだ。勿論、爺様は承諾して、母さんは親父の妻の一人になったんだ…だが、親父は本気で母さんを愛してなかったんだ…他の女も勿論、あの親父が愛していたのは…兄貴のお袋である横山真理恵ただ一人だったんだ…」

「そう…でしたの…」

「それを知った母さんは、完全に壊れた。親父が横山真理恵と共に…当時、付き合っていた女全員に離婚を突きつけてきて、それをトドメに母さんは首を吊って死んでいたんだ…”愛する娘を残して御免なさい”と書き残してな。結局、俺は男として見られず、女としてしか見られてなかったんだ…。それから…俺の心の中も何処か壊れ初めてな…女としての”僕”と、男としての”俺”が出来た…」

「な、何も壊れる必要ないではありませんか…!?私みたいに割り切って…」

「それだよ。シャル…お前が羨ましいといってるのは、それだ。親から愛されていないお前だから割り切れるんだ。だが、俺は首を吊って死んだ母さんに縛られ続けていたんだ。母さんに愛され続け、”娘”として育てようとした女に…!」

「何故、振り切れないのですか?」

「何度も振り切ろうとしたさ…だが、振り切ろうとした瞬間、母さんとの絆が消えそうになって、そこで怖くなるんだ…お前と出会うまでは」

「…何故私が?」

「…俺もまた、この世界に来て…兄貴にアラクネ女にしてくれてから、考え直したんだ。もしかしたら、やり直せるんだと…その一方でお前を一回魔物としてのアラクネに変えた後に、もう一度亜人のアラクネになりたいと願った時に、惚れたんだよ。一度化け物になっても、心が死んでないから、やり直せた女に…!」


そう言って、俺はシャルの抱きしめる力を強めた。

勿論、本人を苦しめない程度で…


「…元の世界ではな。”女”になろうとして、色々やった。男のアレを潰そうとしたり、女の格好して男にヤられようとしたりな。だけど、それは兄貴が全部…」

「押さえてくれたと言うのですね。キンジ様に…」

「ああ。時には、兄貴が身を張って俺に体を許したんだ…”男”にさせる為にな」

「あの話ですね…」

「それでも…母さんの亡霊は頭の中にあったんだ。だが、お前の姿を見てからは何処かに消えたんだ。お前の本当の姿を見てから…」

「私の…?」

「最初の内臓やられた顔から美しい顔に戻ったお前の姿に…俺は本気で”男”として、お前を見る事が出来た…それが、母さんからの呪縛が解けたんだ」

「ああ…そうでしたの…」

「そして、そんなお前の綺麗な姿に実の父親から”醜い”と言われ続ける事に、俺は頭に来て覚悟したんだ。”こんな綺麗で美しい女を罵るな!この女は、俺の女にしてやる!!”ってな…。そこからが、”俺”が完全に出来上がって、今の俺になってお前を愛するようになったんだ。シャル…、お前が俺を”男”にしてくれた羨ましい女だ。だから、愛させてくれ…」

「他の子達は駄目なのですか?」

「…駄目だ。俺にはお前以外の女は抱くのは、まだキツい…それに、親父以外の西園寺一族の女を弄ぶ宴を思い出して、吐き気を起こす事だってある。だから、お前以外の女を”男”として抱くのは怖いんだ…」


俺がそう言うと、シャルは黙って俺に唇を奪って、俺を引き寄せてきた寝転んで来た…


「宜しいですわ…なら、私が貴方の”男”を鍛えて差し上げますわ。貴方の中にいる”お母様”を消して、私が母であり、女であり、そして妻となって、貴方を全力で愛してあげます。それが、私の愛し方です」

「…うん。流石、俺が惚れた女だ。今から泣いても知らんからな?」

「やってみてくださいな♪その代わり、貴方が他の女が抱ける様になるまでは、私で幾らでもやってください…」

「馬鹿野郎…例え他の女が好きになっても、一番好きな女はお前だけだ」

「それと…私としてはレン様のお母様は羨ましいと思います。たった一人だけの男の為に全力で愛し、我が子を育てようとする異常な愛は羨ましいです…。私の母と呼ばれた女は、あの父と同じく卑しい貴族の女でした。娘が居るのに父とは別の男を引き込んで、豚みたいに越えた体を震わせてまぐわい女が、母とは思いたくないぐらいに…」

「ハハッ…そんな母親だったら…俺だったら殴り飛ばして家出てるな。シャル、愛してる」

「愛してますわ。レン様…お姉様…。人間の”男”として、アラクネの”女”としての両方の貴方を、全力で愛してあげます…」

「ありがとう…そして、俺は誓う。お前を母さんみたいに絶対に壊さないと…」


俺はそう言って、シャルの口を舌で犯しながら…騎士鎧を脱がしていった…







夕暮れ時…

僕達は再びハーレーに乗って王都へ帰ろうとしていた。

流石に、服を脱いで激しく営んでしまったから、ついでに川で水浴びしてから、アラクネの糸で作った即席タオルで拭いて着替えなおしていた。


「シャル!今日はどんな気分かな!!?」

「最高に良い思い出でしたわ!!また二人で何処か行きましょう!!」

「ああ!何処か行こうね!!」


シャルと僕はお互いそう言いながら、ハーレーのエンジンを加速させた…





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