第46話 乱戦

「…面白い」


天風愛宕あまかぜあたごはそう呟いたと同時に、指を鳴らして天狗兵士達に号令をかけ、兵を一斉に動かしていった。

その天狗達の威圧、連携、鉄則といい、まさに天狗という種族の如し。

一辺の隙もなく統率された修験者の僧兵天狗達は、もう一つの古き種族である、鬼に勝る物は無かった。


「我が軍に、栄光あれ!!」


首領の号令と共に愛宕陣あたごじんの天狗達は咆哮を上げ、一斉に銃声を散らし、千方の鬼達へと突撃していった。


それに対し、隠形おんぎょうと呼ばれた黒い鬼の面を被った鬼は、羽織っていた黒い外套マントを頭部以外を全身を隠し、闇に融けるように姿を消して銃撃をかき消し、代わりに大量の剣…暗器を飛び出して天狗兵士達に襲撃しつつ、外套の中に隠してあった透明な双剣を持ちて、兵士達を切り裂きながら、天風に突撃していった。


「無粋な奴だ…しかし、良い腕だ」


天風は不満げながらも何処か満足しており、迫ってきた黒い鬼を手で払った。


そんな黒い鬼と天狗の陣営を見る限り、剣と銃による舞踏会と呼べる戦の光景である一方で、英雄人狼ヴェオヴォルフと金色の鬼の面の男の戦は、対極的であった。


身体的なぶつかり合い、拳と拳といった武術の応酬、武器は己の五体による肉体その物に限定され、速さと威力が異常な領域だという点で言えば、極めて真っ当であり、そこに超常的な理が付随してる他ならなかった。


戦いとしては地味であるが、一番危険も伴っていた。


体長が2m30cmもありそうな金色の面の男の体は、バランスを取れた筋肉をしており、それでも尚且つ俊敏さを保つ為に、弓矢でいうならば弦をギリギリに引っ張られながら、何時でも射抜ける体勢を、常に全身の筋肉で整えていた。


例えるならば、ただの空手の選手が厚さ10cmの鉄板をぶち抜く筋量を、常に引き絞って殴り続けてるような物である。

無論、ただの人間・・・・・がそんなことをすれば、拳どころか腕その物が吹き飛び、唯ではすまないだろう。

しかし、カールさん達の目の前にいる金色の鬼は、それを成し遂げている上に、鬼としての力を振って、地面を殴る度に軽く1mは陥没させる程の拳を何度も振っていた。


その一方で…


「どうした?卿の芸当はお終いか?」


カールさんと黒色毛の人狼は、その鬼の拳を長年の武術の芸当見たいに動きを読み取って回避し、拳の応酬を繰り広げてはカールさんが創生した銃達が火を噴いて応酬した。



「あーあ…英雄ベオウルフ様はいけませんねぇ…あれでは、愛宕陣の抑止をするどころか、千方衆ちかたしゅうの抑止する事すら出来ませんですのに、これは本当に困りましたね…そこの貴方達みたいに」


国塚がそう呟いた瞬間、ヘルガさんの創生魔法の砲撃と、白色毛の人狼による目に見えないぐらいのスピードによる斬撃、千方衆の残り二鬼である緑の鬼の面の女の突風めいた高速突撃と、青の鬼の面の女の雹嵐が国塚を襲っていった。


「…本当、困りましたわ」


先ほどと同じ様に、ボロボロになった国塚は一度黒い灰燼と化して闇に融けて…

そして、再び結合して元の姿に戻った。


「貴方達みたいな猪突猛進なタイプの人達は、相手し辛いんですよね。を隠し見えない連中は、私の一番苦手なタイプだから。これでは、私の力が半分すらも出せはしませんわ…ああ、愛しい救世主メシアよ。どうか私を救いたまえ…」


国塚がそういった瞬間、国塚の女悪魔の体に胸、腹、陰部にまで切り裂かれ、通常だったら絶命しているはずなんだが…

同じ様に黒い灰燼となって闇に融け、再び結合していった。


本当の意味で、こいつは不死身なのか?





そんな異常な光景を、俺はひたすら静観をしていた…



阿鼻叫喚あびきょうかん



一言で例えるならば、この戦場の光景を見た日本の連中は、そう答えてもいい。

ここは、凡人を通り越した化け物達の宴の場だ。


「ふざけんなよ…」


後ろにいた冴子がそう呟きながら…この人外魔境な争いに恐怖し、怯えていた。

それは、他の皆も同じであった。


こんな戦い、あってはならないものだ。

もし、これがパソコン等のネット対戦ゲームでいうならば、レートが低い連中に高レートである奴がワザと喧嘩を吹っ掛け、一方的な暴力の差で相手を苛め抜く新人殺しルーキーブレイカーと呼ばざるを得ない。


要するに、これらの状況が全て理解出来ないし、認識は出来ないながらも一方に見せられ、動けなかった。

理解の範疇を超えている。

展開しているのが、ただの殺し合いであったならば、ここまで呆ける事はないであろう。

だが、これは違う…

この世界では相応しくなく、まさに地獄絵図の悪夢と言わざるを得ない。


だが…目の前の連中はそうではない。

こんな事は当たり前だと言うかの如く、荒唐無稽を思い描く様に渇望を具現化、実現させながら暴れている。

まるで、連中こそがこの光景を現実だと信じ込んで楽しんでるかのように。


現場から離れていても、叩きつけられてくる連中の精神が恐ろしいものであり、今まで自分達が見てきた世界が秒刻みで叩き壊されていく気分になりそうだ…



もはや、何が本当かどうか分からなくなるぐらいに…

だが…


「チャンスだ…」


そんな考えをしながら、俺は後ろを振り向いて皆に指示を出す事にした。


「俺達最前線組が時間稼ぎをするから、お前達は生存者を連れて…」


と、俺がそう言いかけて、言葉を続けようとしたが…

その先を言う事は出来なかった。


「うわっ!?」

「きゃあ!?」


俺達の目の前に、額を掠める形で…人の拳ぐらいの雹が立て続けに落ちてきて、地面がめり込んでいたその威力にぞっとしながら、俺達全員反射的に上を見上げていった。


「じっとしときな…キー坊。先に死にたいのか?お前ら」


四鬼の頭領である、千博兄貴に全ての行動読まれていた事に戦慄しながら、俺はある事に気付いた。


「兄貴、何故…?」


先ほどの雹、今の言葉も、意図を読み取るならば兄貴からの警告であった。

その気になれば、俺達を殺すのも意とも容易くやれるであろうに、なぜしないか?

俺には理解できなかった。


口振りからするには、ただの知人・・・・・の関係のはず。

絶対的な味方でもないはずなのに、何故か?


そんな疑問疑念を持ちながら、兄貴は他の皆を挑発する勢いで、嵐の豪雨の中にて欠伸をしながら言葉を続けてきた。

以前から図太い神経だと思っていたが、豪胆を通り越して神経がどうかしてるかと言わざるを得なかった。

…だが、俺と蓮は兄貴の本気を知っている為、警戒を解かなかった。


「外劣畜生道どもは手が多い。あそこらで暴れてる奴らは小隊規模如きが、愛宕の全軍だと思ってるか?ボンクラども。まだそこらじゅうにうじゃうじゃいるし、お前ら如きを八つ裂きするのは容易い事よ。分かったなら場を弁えて亀になって、ずっとじっとしときな。亜人連合のひよっ子ども。ここは、この藤原の鬼である、藤原千博様が守ってやるわい」


兄貴が俺達を守る…?

いや、昔の兄貴なら、ありえるかもしれないが…

だが、今の兄貴は違うかも知れん…


「な、お前…私らを守るというのか?」

「おぅ。まぁ、これも…お嬢には義理があるからなぁ。その為にも俺は点数稼ぎをしたいんだ。というわけで、お前達は運が良かったな。感謝しとけよ」


また”お嬢”…

やはり、兄貴の組織の上に何かがいる。

今回は守ってくれるとか言ってくれたが…何時掌を返すか分からん。

それに、兄貴の余裕は何処から来るのだ?

その上に、カールさん率いる英雄人狼すらも日本の敵だと言ってたし…


そんな考えをしていた時、江崎幸恵が一言言ってきた。


「じゃ、じゃあ…貴方はあの人達を倒せるというのですか?」


そんな江崎の一言に、千博の兄貴は目が点にさせて俺達を見つめた後…

いきなり腹を抱えながら笑い出してきた。


「くくっ…ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!おまえ、面白い事を言うわ!あひゃひゃひゃひゃひゃ笑わせてくれるなぁ!!あんな連中に勝てるかって!?ひひひひひ、かかかかかかかかか!!!こりゃいいわ!!」

「なっ…!?」


質問はした江崎どころか、残りの江崎姉妹達、直幸、上島、上村はおろか、他の村人達全員、そして、ギルバートさん達亜人全員と、俺の側にいた何時もの面子各人が怒り心頭になっていた。


「貴様!質問に対して笑うとはどういう事だ!!自分で言った事ではないか!」


ギルバートさんが怒声を放って、全員の怒りを代弁していた。

確かに、兄貴は部下達に”捻り殺せ”と命じた。

そして実際に、俺達が理解出来る範囲で見る限り、互角に戦っているぐらいに、演じているのは大体分かる。

それならば、普通に考えるなら勝利を確信して答えるはずだろう。

普通ならばな…

だというのに、笑うとなると…違った意味になるな。

恐らく、兄貴は全員捻り殺して勝てないと理解してる。


しかし、俺と蓮以外の皆はそれを理解できずに、兄貴を睨んでいる。

そして、兄貴は口を開いて答えた


「おお。そりゃあ勿論殺す気よ。その気も無しで、あんな糞ったれな連中に、喧嘩なんか売れるか。だがなぁ、出くわして直ぐその場で勝ったの負けたの、死んだの死なせたの言うのは、娑婆での理屈であって、ここでの理屈じゃねえ。特に、大淫婦バビロン国塚萌堕落聖母。あんなの俺からすれば化け物に等しいわい。元から茶々入れていた愛宕陣なら、何時も想定はしていたし、英雄人狼も大体は想定していたが…まさか、”光の改革”の連中から魔王軍までもがこの地に来るとは、想定してなかったわ…おかげで、纏めて俺の計略に嵌めるのは難しいわ。だから、お前らの問いに対して答えるならばこういう事だ。ここで全員を殺せるかというと、絶対にそれは無理だわ」


つまりは、現状のでは手に余り、お手上げの状態ということか。

色んな言い回しが多くて分かりづらいかも知れないが、要約するならばそういう事になる。

しかし、兄貴には焦りも無く、危機感が全く無い。

それに付いては、俺がよく知ってる。

兄貴は・・・常に勝ちを狙っている・・・・・・・・・・


そう考察する合間、兄貴は時代外れのキセルを懐から取り出し、煙草を一服し、再び口を開いてきた。


「だがな…言ってやるわ。最後に笑うのは、この俺だ。例え何がどうなろうと、俺の策に嵌らん奴などおらんわ。覚えておけ」

「はぁ?」

「でもあなた、これは想定外だったって…」

「言ってる事が無茶苦茶過ぎだよ!!」


良子、美恵、直子の三人が兄貴の言葉に反論してきたのだが…


「何処がじゃボケども!!」


指摘されたのが心外だと言わんばかりに、鼻息を荒くしてキセルの灰を捨てた。

兄貴はああ見えて、絵に描いた様な振る舞いをしつつも、計算高く謀略的であるとは思えないは目に見えてる。

むしろ、今の鬼らしく何も考えずに行動をする。


「俺は頭で考えるよりも、反射神経を使って生きる男よ。先の読み合いなんぞは苦手だし、興味もない。普通は萎えるだろう、そう言うのは。漢の生き様として風情に悪いわ。だから、対して何も考えんし、その場の臨機応変、その時の様よ。お前ら凡人には、俺みたいな奴は風来坊みたいにアホに見えるだろうけど、だが、それでも喧嘩に負けたことは無い。そして、これからも俺は負けんよ。もう一度言ってやろう。最後に笑うのは、この俺だ…例え神だろうが悪魔だろうが、この俺の裏を取って、勝ちは絶対取れんよ!」


そう言って、兄貴は再び煙草を吸いながら俺達と戦場となった中心地を見ながらにやけていた…


その兄貴の大言壮語には、妄言にも分類出来るほど理が通用しない。

しかし、冴子達はおろか、旅団の全員と残っていた英雄人狼の隊員は全員恐怖をした。

己をここまで信じるという一点において、この鬼の男には正気じゃない。

あの場所で争っている連中と変わらん。

そしてそれは、渇望が源となってる創生の力として、何よりも凶悪な力となる。


「まぁ、具体的にどうなるかは分からん。それでも結果として都合の良いところのあたりに収まれば良いし、俺が何もせんでも、仮に俺の舎弟が皆殺しにされたとしても、それは全て俺の為の伏線であって、そうなる以外はありえんよ」


幅広く、最終的な戦略としての優位性を信じ続ける。

一言で言うならば天運であろうが、この男…兄貴にはそういう加護が憑いてるとでも言うかもしれない。

ゆえに、たとえ自分含めた勢力が壊滅になろうが、眉一つも動かさないだろう。

つまりは、最終的に辿り着く先が間違ってなければ、過程は興味ない。

その一言だけである。


簡単に言えば、将棋で言うなら盲打ち、麻雀で言うならば盲牌で打ってる様な、男である。


そして、その事を踏まえて言うならば、俺と蓮以外の連中も悟ったであろう。


「兄さん、もう分かってるよね?」

「ああ、最初っから想定をしていた」


過程は適当、局所的な結末は全く興味がない。

それでいて意にも介さないと言うならば…


「千博兄貴は味方なんかじゃない」


守るという言葉も、場合によっては見捨てる。

盲打ち盲牌とならば、何も考えずに駒を切り捨てる。

先ほどの天風みたいに狙われるならばともかく、こんな直ぐ近場で構えられて、見られていると考えるならば、これほど恐ろしいものはない。


全く理解が及ばず、分かり合えもしない存在の奴が味方の陣地にて傍におって、そいつが自分達を一瞬で殺せる拳を持っている。

下手に刺激を与えたら最後だが、何がそれの引き金になるかは分からない。


今は、それに怯えながら、耐えるしかなかったのだ。


…下手に刺激を与えなければ、大丈夫だ。


「直子」

「な、何…錦治っち」

「お前、さり気に分析魔法で測定したか?」


その俺の言葉に、直子は震えた声で答えてきた…


「分かんないよ…」

「………」

「あいつ等全員、さり気に調べたけど…測定不能だったわ」


今にでも、泣きそうな声で怯えながら答えてきた。

…恐らく、知ってしまったのだろう。

一般の天狗兵士達の力量ならば、俺が総合的な力で大体換算するなら…

大体が体力魔力を合せて15000ぐらいと想定すると、奴ら一匹は5000。

それが大規模な数で言うならば、その数は1000以上。

一匹ならばともかく、10匹以上ならばまず全滅する。

その上で、あの魔縁まえんとか言う巨大天狗はその十倍ぐらい。

そして…あの天風愛宕は、レベル上限を振り切って成長してると想定するなら、

間違いなく100万台を軽く突破している。


その上で、愛称さもありながらも互角に渡り合っている四鬼達もまた、大体計算するならば、鬼一体が西園寺以上の50万と想定できる。


国塚の場合もまた、こいつもレベル上限を振り切ってはいるが…

総合力は50000程度だろう。

ただ、あの不死身のような特性があり続ける限り、突破は不可能だ。


それを踏まえるならば、カールさん達も総合力は低い。

カールさんが俺と同じ大体15000から20000ぐらいであり、ヘルガさん含めた三人の人狼も10000ぐらいだろう。

だが、こちらは下からある戦闘スキルと経験を踏まえ、創生の力での相性さで、他の勢力を押し返せるレベルだといえるだろう。

しかし、あくまでも押し返せるレベルだ。

殺せるレベルではない。


逆に言うならば、カールさんはワザと前に出て、部隊の被害を最小限にしたい。

それだけの理由で死地に立っているのだ。


その点を考えるならば、そこに転がっている瀕死の西園寺達と俺達は…


「錦治…」

「キンジさん…」


冴子とフェイシャは、気付いてしまった。

今、俺達は狙われているんだと。


そして、その予感は嫌な方へ流れてしまった…


「飽きたな」


天風が一言を呟き…


「やってられませんわね…」


国塚もまた一言呟いた…


「むっ…やらかしたか…」


カールさんもまた、気付いてしまった…


「あーあ…キー坊、気付いてしまったか」


千博の兄貴は、悪びれた子どもの様に呟いた。

まるで、学校で先生チクられた反省のしない子どもの様に…


そう、兄貴は悪戯が過ぎてしまったのだ。


「こりゃあ、お嬢にどやされるが…まぁ、良いか」


それぞれの勢力に喧嘩売っていた四鬼達が一斉に集まりだし、俺達の方へ飛んで来たのだ。

攻撃対象を俺達へと変えてきたのだ。

たとえ適当であっても、将来的に自分達に不利になる人材だと分かったのだ。

兄貴は、それを理解した上で、標的を俺達に切り替えた。

特に、分析情報を得て戦略的に理解していた俺を狙いながら…


それと同時に、天風、国塚と合成人形フレッシュゴーレムの二体もまた続き…

最後に残ったカールさん達は、追いかける形で各陣営の頭に向かっていった。


だが、カールさん達が間に合う前に悟った…


「皆…すまない…」


俺達全員、死期への覚悟をした…


だが、同時に…俺はあの時の同じドス黒い渇望を下にした創生の力を解放した…


「ひっ!?」


フェイシャは、その俺の胎動に気付き、俺に対し恐怖しながらも…

俺の着ていた服に精一杯になってしがみ付いていた。

今この場に離れれば、自分はこの男を確実に見殺ししまう…

そんな俺の命を削るような創生が、今始まった…


「”頭には大雷おほいかづち居り、胸には火雷ほのいかづち居り、腹には黒雷くろいかづち居り、陰には柝雷さくいかづち居り、左の手には若雷わかいかづち居り、右の手には土雷つちいかづち居り、左の足には鳴雷なるいかづち居り、右の足には伏雷ふすいかづち居り、あわせて八雷やくさのいかづち神成り居りき…このおぞましき魔物を生み出した天地の母よ。どうか御魂の力を持ちて、どうかこの地にいる不届く者達に罰を与える様、かしこみ畏み申す…”」


その瞬間、進軍していた三大勢力全員が一斉に足を止め、空を見上げた…

ただの嵐ではない…

暗雲に鳴り光っていた雷達が、黒き光となって蠢き始めていた。


「キー坊…お前、やはりとんでもない奴だったな…」


兄貴からそう呟かれていたが…今の俺にはその声が聞こえなった。


「これは…なるほど、私とした事が見誤ったか」


天風はそう呟きながら、天狗達の進撃を止めさせた…


「ああ…ついに、私達は割ってはいけない鏡を割ってしまった…」


国塚はそう言いながら、悪魔らしからぬ神への祈りを捧げ始め…


「そうか…そういうことか。ヘルガ、覚悟は出来てるな」

「は、はっ!?」


辿り着いたカールさんもまた、俺の創生に気付いてしまったようだ…



そして…



「錦治!?それは駄目だ!!?」


冴子が俺にしがみ付き、抱きしめていたが…

二つの勢力から守るという欲が掻き立て、発動してしまった…



「”創生…!!黄泉津大神いざなみのみこと祟神夜行やくさのいかずち!」



俺の体から、八つの厄神が飛び出していった…







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