第23話 酒盛り女子会

アレから兄さんも就寝して一時間ぐらい経過した…


「ねぇ、姉御。起きてますか?」

「起きてるよ」


冴子さんと直子さんが起きて、何かし始めていた…


「よし、加奈子も美恵、良子も起きてるな」

「ええっと…冴子さん?」

「…何かしら?」

「一体何なの…って、もしかして、何時もの定期のあれ?」


定期のあれ?

E組の女子達で何かしてたっけ?

そこのところは兄さんから聞いてないからなぁ。


「よし…あとは、新参の江崎の姉妹達やデュミエール達…フローゼさんは、あの人は無口な上にこの手の話は難しそうだから止めておこう。後は…、おい、蓮。起きろ」


な、何かされるか分からないから、寝たふり寝たふり…


「おい、寝たふりしてるのは分かっているからな。早く起きないと…。色々とやばい事をしちゃうからな」

「起きます!起きますから!!」


ああ…やっぱり何か巻き込まれてしまった…

仕方ない、適当にはぐらかしておこう…



「…というわけで、集まって頂いたんだが」


本当に、他の女子達も集まったよ。

しかも、全員眠そうな顔をしながら…というより、デュミエールさんなんかは完全に眠ってるじゃないのよ。

どうするんだよ、ああデュラさんが支えてるじゃないのよ…


「よっし、コレからやるのは…親睦会を含めた、ちょっといけない女達の会話をやろうと思ってな。直子、全員に例の物を」

「へい!姉御!!」


そういって、直子ちゃんが全員に配っていったのは…お酒だ。

って、密造酒じゃないのよ!?


「時早めの魔法で、麦芽から醗酵してこっそり作ったビールを全員に進呈ですよ♪姉御♪」

「おお♪やっと酒が飲めるからな♪錦治には酒は駄目だと散々言われてたが、コレが無いとやっぱ楽しめないからね♪」

「ほんっと、冴子ってお酒好きね。…ん?これ、ちょっと香りが甘いわね?」


あっ、これ。

ビールじゃなくてエールだ。

元々製造工程が一緒だったが、ラガーによる手法になってからはビールとなったんだよね。

だから、蒸留してなくて糖分が抜けてないから甘い香りがするんだな。

…って、それは置いといて、僕達未成年だよね?


「さ、冴子さん…僕達、まだ未成年だよね?」

「んなの関係ねぇ♪私らE組女子達は前から飲酒常習犯だ♪」

「というより、冴子さんと直子ちゃんの二人だけだよね…」

「加奈っち、そんな私は清楚ですとか言うアピールは…こうしちゃうからね♪」

「ふひゃぁあ!?」


わーお…加奈子さんの胸を鷲掴みに揉んで…

ていうか、直子さん、もう出来上がってる…

うん、この光景が兄さんが…いや、男の人が見たら鼻血を出すだろうね。

でも、今の僕は女でもあるからね…うん。


大分揉まれて、腰砕けになって涙目の加奈子さんを美恵さんが優しくしながら、

酒の席がどんどん進みだしたみたい…

あのぅ…もうこれ、親睦というより唯の女子会じゃないの?


そして、開口一番に仕切りだしたのは、出来上がった冴子さんだった。


「よぉーし!んじゃ、折角皆出来上がったことだし、なんか話題が欲しい所だねぇ…♪かといって、私ら元学生組みの連中だけが盛り上がっても、面白くならないからなぁ。よし!まずは姫さん!あんたから何か無いかな?例えば…愛しい殿方のいけない恋話とか?ニャは♪♪」


冴子さんの言葉に、デュミエールさんが寝ぼけながら飲んでいたエールを噴出してしまった…

そして、顔真っ赤になってから冴子さんの方へ見つめていたな…


「え、えっと…じ、実は…私そんなことは…」

「ひ、姫様…無理をなさらずに」

「サエコ様…実は、姫様は戦闘以外では箱入り娘と言われるぐらいにオーガの男性とは付き合う所か触れる機会が無かったのです。ですので、そういった話には免疫が無いですので…」

「ああ、そうだったの?ごめんねぇガサツな女でぇ~♪そう言うジュラさんやデュラさんは恋愛経験はあるかなぁ?」


今度は二人にターゲットされた冴子さんは、詰め寄るようににじり寄って来てお二人をたじろがせていた…


「え、えっと…わ、私達も族長から姫様の護衛と教育に就いてからは、一度も殿方とは…その…」

「な、ないんですよねぇ…」

「えー!?もったいないじゃないの!?こーんな、ナイスバディなのにぃ♪」


あっ、ついにセクハラモードに入りましたね。

すっかり酒気に包まれている冴子さんに、お二人は色々と揉まれながら、冴子さんのセクハラ親父モードに耐えてました…南無。


そんな中、今度のターゲットは僕と同じアラクネのシャルトーゼさん…

うん、最初の人間の女騎士での彼女を見たときよりかは、遥かに綺麗になった彼女であるけど、大丈夫かな…

というより、顔青くなっているね…

ちょっと声を掛けておくか…


「大丈夫ですか?シャルトーゼさん」

「だ、大丈夫です。レン様…あと、私の事はシャルと呼んで下さい」

「そ、そう…シャルさん、もしかして、お酒は苦手ですか?」

「…はい。実は、お城でよくある貴族の晩餐会で何時も出席されましたが…、あの時の美味しくないエールを大量に飲まされて以来、駄目なのです…」

「あー…エールは濁酒どぶろく並みに酒毒が混入しやすいからね。それで顔が出るぐらい内臓がやられていたのね」

「やっぱり、あの時の顔はそうだったんですか?うぅ…やはり父上や叔父上の貴族の贅沢は間違っていたのですね…」

「まぁ、大体権力者がある方向で間違うと、そんな食生活になるからね…。でも、今のシャルさんは、アラクネとはいえ結構可愛い方ですよ」

「えっ?ほ、本当ですか…?」

「うん。今度、僕と一緒に洋服でも作って着飾ってみよう」


僕がそう言うと、シャルさんは頬を赤らめながら僕の方へと体を寄せ、体を密着するように寄り合わせていた…


「今度から…お姉様と呼んでも良いですか?」

「うっ…い、良いけど、一応…僕は兄さんの…」

「ええ、それは存じております…レンお姉様…♪」


ああ、うん。

兄さんごめん。

どうやら僕にも、あの父親の血が流れているみたい。

というより、なんで僕がアラクネにした子は、全員擦り寄ってくるのかな…

村のアラクネになった女性達も、僕をお姉様と言ってくるし…


「あー、蓮っちたら、またアラクネの女性をたらしてるー」

「流石、錦治君の元弟ね」

「…今は女の子でもあるけどね」

「ちょっと!?三人とも!!?」


うん、兄さん…僕にも分かったよ。

兄さんが直子さん達に弄られる事に…


ていうか、そんな三人も大分出来上がっており…江崎さん達四姉妹全員に、無理やり絡んでますね…


「所で、幸恵…貴方達って本当に愛されているわね。こんなに豊かな体になっちゃって」

「ちょ、ちょっと、良子さん…揉まないでくださいよ…ただでさえミルクが出るのが止まらないのにぃ…」

「ねぇ?直幸君と一日何回してるの?教えて頂戴よ」

「そ、それは教えられないわ…だって、直幸君は…私達全員を均等に愛してくれてるんだし…」

「羨ましいわぁ…。私も錦治君の相手をたっぷりしなきゃ…」


その割には、何時も兄さんが寝てる時はさり気に搾ってるじゃないですか…

良子さん。

むしろ、その辺の管理はしっかりと覚えてるんですからね。


「それにしても、貴方達が人間だった時、彼が一切手を出してなかったのは驚いたわ」

「だ、だって…そ、その…男女の関係に直ぐになれないんだし…そ、それに、その…」

「要するに、学生として人目が気になって付き合いきれなかったという訳?」

「う、うん…」


むしろ、それが普通の反応なんです。

良子さん…

それ以前に、僕が兄さんの観察してる時に、全員が結構べったりしていたの。

あれ全部見てましたから!

…半分は兄さんのむっつりスケベとして喜んでいましたが、あれでも兄さんはモラルの塊ですから…ハーレム等の不順異性交遊には抵抗ありましたからね。


と、考えると…自分も自暴自棄に成りそうなぐらい、あの父親の女たらしには憎悪のレベルで見ていたからね…

正直、初めから女として兄さんに接して居たら良いなと思うぐらいだ。

でも、女だったら…たぶんあの男の妾にされていただろう。

あの父親と男は、女を道具としか見ない連中だ。

僕はそんな男達を見て、男を捨てて女の振りをする様になったのだから…

まぁ、今では女の半人蜘蛛種族のアラクネに成ったことで、本当の女となった。

だが、それでも僕は兄さんの”弟”として、男の娘であり続けるけどね。


「そういえば、蓮…お前の色恋話は聞いてないな…?」


げっ、冴子さんがついに僕にターゲットされた。

その勢いで、他の女子達全員が一斉に視線を向けてきた。

しかも、シャルさん!僕の側でそんな期待の眼差しで見ないでください!!



「ぼ、僕の色恋話…ですか?」

「そう!お前、男だったくせに、学年で美少女メンバーに入るぐらいの美貌であったじゃないか?結構羨ましかったんだぜ?」

「さ、冴子さんの方が美人じゃないですか…今は女ですけど、あんな女紛いの男に、何処に魅力が…?」

「そこだよ!お前が選ばれるのは!!なんかこう…悲壮感を漂わせててさぁ…男の皆が守ってやりたいという欲にからせるようなオーラを纏ってさぁ…そんな成りとは違って、剣道部に入らない剣道少女的な強さもあってか…女達からもすっげ魅力だったんだぜ。お前」

「うっ…やっぱり…」


通りで…学園祭での美少女コンテストで勝手にエントリーされてる時があったのは…

無論、当日は兄さんとバッくれて、下宿先でご飯を食べていたんだけどね…


「そんなお前だったんだ、女の一人か男の一人ぐらい、好きになった奴とか居るんだろ?錦治以外でいないのか?」

「い、いないですよ…僕はずっと、兄さん一筋だったんだし…」


その言葉に、皆はガッカリした感じでつまんなさそうな顔をしていた…

そんなに僕の兄さん愛は異常なのかね?


「あー…なんかさぁ…一歩間違った妹のブラコン愛という物が感じるわ」

「言うなれば…まだ病んでいないヤンデレと化した妹の一歩前って感じね」

「ていうか、加奈っち。錦治っちと蓮っちがたまに一緒に暮らしてたのは、知ってたんだよね?大体どんな感じなの?」


あっ、そういえば…加奈子さんとは同じ下宿だったからね。

結構知られてるな…


「えっと…何か、あの時の錦治君達は…仲の良い兄妹に見えるぐらいに、一緒に歩く所しか見た事が無いの。ごめんなさい」

「あー、プライベートはあまり語れないわけか…」

「う、うん…ごめんなさい、冴子さん」

「あっいやっ、直子の無茶振りだからな。気にすんな。んでさぁ、あの下宿でどんな生活をして居たんだ?教えて頂戴な…?」


あっ、冴子さん、完全に酒が回って目が据わっている…

…仕方ない、正直に答えるか。


「んー…兄さんの部屋に寝泊りする時は、僕がご飯を造ってやって…お風呂も一緒に入って…その後は一緒に布団の中に入って寝てた…かな?」


その瞬間、冴子さんのE組五人が鼻血を噴出していた…

うわっ、こっちにまでかかってきたよ。


「お、男同士で…一緒に風呂に入って…一緒の布団に入る…こぶっ!」

「は、鼻血が止まらない…」

「ほ、他には…?」

「う、うん…僕が兄さんの×××を洗ってやったり、×××で×××を…」

「うっ!し、刺激が強すぎる…」

「…やはり、錦治君の正妻は、この子だわ。…ぐふっ」

「他にも、兄さんが布団に入ってる時に、×××を×××××して…一緒に×になって××をして…」


うん、ごめん。

思い出したらノンストップで語り始めたら、江崎さん達が顔真っ赤にして両手で顔隠して恥ずかしがったり、デュミエールさんの耳に栓をしていたお二人も顔真っ赤になって「あー!あー!!」と声を上げて聞こえない様にしていたり、隣にいたシャルさんは完全に顔真っ赤になって気絶して倒れていた…


「最後には、兄さんが僕の後ろから×××を当てて、激しくしたりとか…」

「あ゛っー!!もう止め止め!!お前と錦治が…そんな関係だったとは…一生の不覚だった…ぐぶっ」


そういって、冴子さんは最後の鼻血を出して倒れてしまった…

…普段、あんだけ兄さんとやっているのに、羨ましいよ。


「…加奈っち。今私にも理解できたわ」

「な、何を…?」

「腐女子って、最高だよね…」


そういって、直子さんも倒れてしまった…

全く、皆耐性がないなぁ…

そう思いながらエールを飲み干した時、後ろから只ならぬ気配を察知してしまった…


「お前ら…何時だと思ってるんだ?」


あっ、兄さん…ごめん…





その後、女子会主犯の冴子さんと直子さんは、兄さんにこってりと説教され、干物になるぐらいに絞られました。


あと、密造したエールは全部没収され、管理される事に。

…飲んでみたけど、以外と美味しかったな。



でも、その次の日が二日酔いで頭がガンガンして痛かったのは内緒。

おかげで、シャルさんや他のアラクネさん達から看病されてしまった。


やはり、飲みすぎはいけないな。


「おい、蓮。今日の夜は付き合えよ」

「あっ♪うん、分かった♪」


それ以前に、兄さんの側は僕が居ないとね。




ただ、この日の夜から…僕の方にも例の五人の視線が感じるのは何故…?




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