第16話 役人来訪と再会、ベヒーモス

村に滞在してから半月ぐらいが経過した。

皆も大体人間らしい生活に戻っていったらしく、大分笑顔が出る様になっていた。


まぁ、亜人になっていない男どもの顔からは、不平不満な顔が漏れて居る事にも気付いていたが、亜人となった村の女達の監視からは逃れず、溜め込んでいるのも知っていたが…夜の番いとなって絞り込ませれば、黙らせることは出来るだろう。


その一方で、悩みも生じてきた。


王都からの役人の来訪である。


恐らく税の徴収となるが、今回亜人となった村人達は王国に税を支払わないと決意を固めているため、対立は避けられない。

その上、王国が敵対している亜人となっているだろうから、反乱として鎮圧させられる可能性も有る。


…ここは一つ、先に仕掛けておいた。


まず、村の亜人達全員に人化魔法を覚えさせて、元の村人状態にし、役人達との交渉。

恐らく、決裂しそうになるので、村の一番大きい屋敷に役人全員を誘導。

そして、中に入った役人達を亜人となった皆で仕留め、拘束するか、場合によっては始末しておく。

無論、最後の始末は最終手段なので、幾つか手を打って置かねば…



「錦治さん、来ましたよ…!!」

「ついにか…!」


村で若いハーピーになった女の子からの上空偵察による情報で、俺達全員は作戦を決行していった…






「…うっわぁ。なんだよ、あの役人は…」

「この前のアラクネになって逃げた女騎士を思い出すわぁ…」


冴子と良子が言うように、村長代理となった女性の前に現れた王都からの役人と護衛の騎士30人を見たんだが…


役人のスタイルを見る限り物凄いものであった。


まるで、蝦蟇蛙がそのまんま人間になったようにデブデブしく、顔は偏った食生活のせいでニキビやイボだらけで醜悪、その上に長年の肥満なのか白人らしからぬドス黒い肌をしていた。

ああうん、完全に糖尿による内臓疾患を持っている。


騎士達も鉄仮面の全身鎧に覆われて覗けないが…大体痩せ細ってる奴の大半は、今でもよろめきそうであるが、上官の睨みの所為で必死に耐えてる現状であった。


前回の騎士団は10人規模であったので、上官一人と新人の二人の貴族出身がいたが、今回はその倍近くは居るそうだ…

生き残りをかけるならば、生かしてはおけないな…



「直子、蓮、盗聴の調子はどうだ?」

「ばっちり、ちゃんと聞こえてるよ。錦治っち」

「どうやら、厄介な役人らしいよ。兄さん」



二人がそういってくるので、俺も村長代理の女性に渡した、盗聴用の魔石から聞こえる音声を聞いていった。



”何?今回の税を払える娘達は居ないとな?”

”申し訳御座いません、今回若い娘となる子供達は夜逃げをし、村の奥にある森の中へと逃げ込みまして…”

”何たる事だ!これは王国への立派な反逆行為だぞ!!”

”どうかお許しを!今回だけは通常の税を納め致しますから!!”

”要らん!!娘だ!娘を出せ!!若い娘は全て王都に預けるぞ!!お前らが匿って隠してることは分かっている!!探せ!!”

”お、お待ちください!!今は年老いて病に伏せてる者達もおります!まず探されるならば、そこの村長の屋敷から探されてください…”

”ふん!穀潰しの老いた奴など早々に殺せば良いものの…村長の家に入れ!調べ上げるぞ!!”


どうやら、完全に交渉決裂のようだな…

というより、ちゃんと税を納めると言うなら、それで良いんじゃないか。

この男の若い娘欲しさは、いったい何処から来るのだ…


「来るぞ。準備は良いか?」


天井裏に隠れる俺達と亜人となった村人達全員が頷き、役人と騎士団全員が入るのを待った…


「ここか!かび臭い村長の家とは!!」


ドカドカと入ってきた騎士団達は一斉に中に入っていったが…直ぐに違和感に気付いたのだろう。

部屋中に光沢輝く糸が張り巡らされていた事に…

そして、最後の一人が扉を潜った時、扉が重苦しく閉められ、閉じ込められた事に気付いたのを。


その瞬間、蓮がアラクネの糸を引っ張って役人と騎士達を全員動きを封じ、残った俺達は一斉に天井裏の梁から降り出し、役人達に刃物を突きつけ、蓮を含む三体のアラクネ達が、糸を使って全身をグルグル巻きにして役人達を拘束していった。






「おのれ…!神から堕落し冒涜した亜人になりおって…!!」

「何が冒涜しただ。お前達人間の方が自然界を冒涜してるだろ」


武装を全部剥がされ、衣服だけになった役人と騎士達を村の中央に集め、処遇について話していた。


…しかしまぁ、見事に全員が貴族出身だったとはな。


よろめいていた奴は、実際に体力が無いだけで贅肉たっぷりの貴族の男だったのは、驚いたわ…


しかもだ…ギルバートさんみたいな意志の強い騎士ではなく、腰抜けで自分の保身ばかりを考える騎士達ばっかりであった。


流石に亜人化するにしても、ゴブリンぐらいにしか出来ないぐらいの屑っぷりに俺は落胆するほかなかった…


「しかもねぇ、錦治っち。こいつら全員レベル1」

「…駄目だこりゃ」


ああうん。

お役所出身で、戦闘部隊に出ていない騎士なんてそんなものか…

まぁ、装備だけは立派だったから、全部頂きますが。


いい加減、奪った武器防具ばかりではなく、ちゃんとした一からの素材で防具と作りたいところだが…



「どうすんだよ…錦治」

「…全員、一斉に集めた後、蓮のアラクネの卵のうへの餌にした方が良いな。正直、こいつ等全員を亜人化したところで何も期待出来ん」

「お前、本当に容赦しないんだな…」

「正直、生かして国に帰せば、碌な結果が無い連中だ。この前の騎士達よりもろくでなし過ぎる。それに加え、話の分かる上流階級の人間を残す為にも、まともじゃない人間達を間引いた方が、今後の為だと思う」

「…私には理解できないよ。人間だった時よりも、怖いよ。錦治…」

「…冴子。少なくとも俺は、お前達よりも大人の汚い所を見て育った。その分の処置をしながら行動をしなければ、自分がやられる汚い大人の世界を知ってるのだから、あえてこんな事をしている。時には、非道を行なわなければならない。情けの掛けすぎは、恩を仇で返す人間によって復讐される事もある。…正直、お前の綺麗さは分からんでもないが、コレは俺のやり方でもあるんだ。許せ」

「錦治…」

「だが、お前は俺のやり方を間違っているという意思を持っている。それはとても素晴らしい事だ。だから、お前は正しいと思ってる事を貫き、俺が間違ってる事をやりすぎて暴走してる時は、お前の手で止めてくれ。それが出来るのは、お前だけしかいない」


そう答えた俺に対し、冴子は物悲しい顔をしながら答えてきた。


「お前な…そういえば、あの学校の入学式の際、久しぶりにあったお前の顔は忘れないよ。小学の時はまだ私よりガキだったのに、なんか一歩先の大人になってしまった諦め感が漂っていた事に…」

「…嫌でも分かるさ。回りの汚い大人達を見ながら、蓮と共に必死になって生きてきた中学時代をな…」


そう言いながら、冴子の視線を余所に俺は騎士団のところまで歩いていった。


だが、二度も続くとは思わなかった。

縛られていたアラクネの糸を初級火炎魔法で焼いた数人の騎士は、役人を置いて逃げ出し、村の外へ飛び出していった。


「お、お前ら…!!儂を置いていくのか!!?」

「もう付き合ってられるか!俺達は逃げていくぞ!!」

「楽な仕事だと聞いてたのに!なんで亜人相手しなければならないんだ!」


役人の貴族の男を怒鳴りを無視して、逃げ出していく騎士達を、俺達は追いかけようとした。


すると、村の入り口に旅人の人間が二人立っており、飛び出そうとした騎士達に向けて剣先を突き出した。


「ひぃぃぃぃ!?」

「…役人付きの騎士はろくでなしと聞いていたが、ここまで臆病であったとは、騎士を所属していた人間として恥ずかしいぞ」


まさかであるが、こうも早く再会するとは思わなかった。

剣先を突き出す男女の旅人の前まで、俺は歩いていった。


「…ご無事で、ギルバートさん」

「おお、キンジか。漸く合いたかった。約束通り、私達は戻ってきた」

「そうでしたか。…して、この国の現状は見れましたか」


俺の問いに、ギルバートさん達は首を縦に振り、目を瞑って答えた。


「…酷い有様だ。周りの村々は地方役人の不正が横行、重税と懲罰で村人達は疲弊し、その隙に違法な奴隷等の人身売買をする闇商人との癒着が沢山見れた。村に入らず、遠くから観察するだけで平然と見える位置で行なわれていたとは…ここまで中央政権が腐敗していたとは思えないぐらいに考えさせられた。おまけに、王都では役人と平民の格差が激しく、下級騎士以下の食事するものが当然というぐらいに、貧困の格差が激しいものだったよ」

「そう…でしたか」

「それでも、耐えて生きる民草は居たが、正直限界が来てる所だ。キンジ、お前はこの国を変えるといったな?」

「…少なくとも、今の役人や貴族などの腐敗は取り除きたい所です」

「協力しよう。お前はこの国の全てを変えるまでは無いと見た、その為ならば、私とフローゼは協力はする。同じ亜人に変えてくれ」

「…本当に良いのですね?」

「愚問だ。その為に帰ってきたのだからな。だが…」


ギルバートさんがそう言いかけ様とした時、地響きと共に地面が揺れ、その揺れは段々と近づいてきた。


「拙い!今は隠れろ!!」

「な、なんだ!?」

「ベヒーモスが此方の地域に巡回してきたのだ!!見つかったら、ただでは済まんぞ!!」


まさか、こんな近くまでに…

ギルバートさんの指示通りに、俺達は村人達を隠れ場所に成りそうな岩塩採取所の穴まで誘導し、全員隔離していった。

無論、竜車もベヒーモスの死角となる場所まで隠し、村の家畜達も納屋に閉じ込め、出さないようにした。


そして、役人達も生かす様に糸を切り、誘導しようとしたが…


「もう嫌だ!こんな村に居れるか!!儂達は走って逃げるぞ!!」


と言い出して、役人と30人の騎士達は丸腰のまま村の外に出て、役人と半分の騎士は歩いてきた平原を、残りの騎士達は森へと消えた。


「あいつ等!?」

「もういい!あいつ等は、もう助からん…キンジ!お前達も何処かに身を隠せ!」


ギルバートさんの掛け声と共に、俺達は村の林の中に身を隠し、地響きと振動を鳴らす凶獣を過ぎ去るのを待った…


そして、俺達は、遠くながらもその凶獣の壁という物を思い知らされた。


まず最初に、その巨体な獣の姿に…俺は震えを止めなかった。

三階建てのビル並みの塔の外見をした穀物納屋よりも高さの…八階建てのマンション並みの全高。

車を二、三台を平然と踏み潰せそうな巨大な前足を含む四足。

一度振り下ろせば、二階建ての家を一撃で吹き飛ばせるぐらい太い一対の角と、人間どころかオーガですら簡単に噛み砕きそうな狼の口を持った顔。

そして、歴戦と思わしき傷を沢山付いた重戦車のようなどす黒くて堅い皮を纏い、全長が300mもある大型フェリー並みの大きさの凶獣に、初めて見て驚かずに怯えない奴など、まずいない。


そんな化け物の前に、先ほどの役人達と半分の騎士達が遭遇してしまった。

丸腰だった騎士達は、逃げ回るようにベヒーモスの目の前を走っていったが…

その瞬間、10人ほどの人間が胴体真っ二つに成りながら宙に舞い、地面に落下していった。

一瞬、何があったのか分からなかったが…奴の右足が浮いており、その手が血糊でべっとりと引っ付いていた事から、猫のようにパンチで薙ぎ払っただけにすぎなかった。


その一瞬を気を取られたのか、次に奴は、残っていた役人と数人の騎士を前足だけで素早く踏み潰し、ミンチに変えていったのだ…

流石の俺も、これには引いた…

ここまで人間を簡単に殺せる化け物が、異世界とはいえ実在したとは…


だが、ベヒーモスからすれば、邪魔な生き物が居なくなったばかりに暢気にしており、またも巡回し始めようとした。


その時である。

一瞬だけ、俺達の居る村のほうへと、奴は視線を合わせた。

その瞬間、皆は一斉に声を詰まらせ、息を殺して身を守った。

あの気の強い冴子でさえ、今では涙を溜め、口で手を押えて声を出さずに、震えて蹲っているのだからな…


そんな中を、俺だけは恐怖しながらも息と声を殺し、奴の目を見た…


あれが…魔物の王者の一角…


同じ「王」の属性を持つものとして、奴の存在をこの目で焼き付けたい。

そして、何時か必ず覆す。

俺はそんな思いを胸に秘め、今は耐え忍ぶ事にした…


しかし、奴の村への視線は、一瞬で終った。



原生のオーガが500体以上の部族が、ベヒーモスに向かって突撃してきたのだ。


無論、ベヒーモスも少数の亜人が居るだけの村などに興味を失い、勇敢に挑んでくるオーガ達に興味を持ち、戦いの意思を見せ、オーガ達へと突撃していった。


やめろ、お前達。そいつに適う訳が無い。


俺はそう叫びたかったが、村人と皆のために俺はあえて気持ちを殺し、命を散らして消えていくオーガ達を、目に焼き付けていった。


あるオーガは、自分よりも大きい巨大な斧をベヒーモスに叩きつけ、傷を負わせながら一撃で潰され。


あるオーガの魔術師は凍てつくような氷の魔法を使い、ベヒーモスの動きを止めようとしたが、ベヒーモスの業火のような火炎ブレスで燃やし尽され。


部族の長らしきオーガは、10体の親衛隊らしきオーガと共に突撃し、ベヒーモスの足の爪を切り落とす事に成功したものの、いきり立ったベヒーモスの角突き刺しによる地盤返しによって、全員宙に浮かされた所を、奴の火炎ブレスで消し炭にされてしまった…


残ったオーガ達も玉砕するように突撃し、ベヒーモスに傷を負わせ、そして命を散らして消えていった…


500体のオーガ達の戦いが、オーガ達の全滅による幕引きで終りながら、ベヒーモスは傷ついた体を癒す為、再び歩き始めた…

オーガ達は必死で頑張って奴に傷を付けたのだが、奴にとってはただの切り傷程度に過ぎない感じであろうが、気にも留めなかった様子。

むしろ、切り落とされた足の爪を、栄光の品という形で置いていくのを見るに、奴なりの賞賛であろう…

そんな感じを与えながら、奴は王者の風格を漂わせながら去っていった…





ベヒーモスが過ぎ去って、約三時間ぐらいしてからやっと村に戻った皆を余所に、俺は命を散らしていったオーガ達の下へと歩いていった。


焼き焦げたオーガ達の武具、踏み潰されたり、灰となったオーガ達の死体…

そして、奴が置き土産としておいていった、ベヒーモスの爪…


なんとなくであったが…俺は無言でオーガ達の死体を残っている分を全部一箇所に掻き集め、土を被せた後にベヒーモスが残した爪を突き刺し、静かに手を合わせて、追悼した…


勇敢なる亜人の戦鬼達に、安らかなる眠りを…


追悼を終えた俺は、何も手を着けずにそのまま去っていった。



まだ弱すぎる俺の最大目標は、奴の首を取る。

そう胸に思いを立てながらであった。








脅威を過ぎた村人達は元の生活をしており、日が沈む前の夕飯の準備をしていた…



だが、そんな中を…俺と次郎さん夫妻を除く皆は意気消沈していた。


「…正直に言うと、俺が草原から敗走して森で引き篭もったと言ったよね」

「そういえば、そうでしたね」

「本音を言うと、花子達と共にあのベヒーモスに一回あった事があるんだ。あの時は、あの時とは比べ物にならないぐらいに、本気で死ぬ覚悟をしたよ」

「でしょうね…戦闘亜人族のオーガの精鋭隊が、あれだけの結果で終って、全滅しましたからね」


次郎さんの悟った問いに対して、俺はそう答えるしかなかった。

そして、俺は口を開けていった。


「…冴子」

「…何?」

「世界は広いな…」

「…そうね」

「…A組の連中は、いずれあんな化け物と相手をせねばならないだろうな」

「そう…だね…」


本当、俺達は勇者などの人間側にならなくて良かったと思っている。

よくある日本向けのファンタジーとかの出てくる勇敢な冒険者達は、半場ボランティアみたいに化け物のような魔物の前に現れて、正々堂々と戦いながら勝つのを見てると、正直馬鹿馬鹿しくなってくる。

しかし、異世界から連れてこられた勇者達は、いずれ辿る道でもあるし、奴らには死んでも神の加護で蘇る事が出来る。

魔王を倒すという使命を果すまでは…


だが、勇者などでもなく亜人になった俺達は関係のないことだし、そもそも戦争どころか戦いすら無縁に生活していた日本人の俺達からすれば今日のような化け物と戦えと言えば嫌がるのは当然だ。


しかし、俺は…


「だがな…冴子」

「…ん?」

「俺達は、今は弱い…だが、いずれは…」


そう言いながら、俺は持っていた木材を握り…


「何時か必ず、奴を倒す…」


力を込めて、木材を握り潰した。


「…錦治君」

「…?なんだ、美恵」

「…それ、燻製用の香木」

「…ああっ!?」


この後、美恵からジト目でめちゃくちゃ怒られた。






「良いのですね?本当に」

「ああ。フローゼも良いといってる。一思いでやってくれ」


ギルバートさんとフローゼさんの意思の下に、俺は彼らを分析魔法で調べながら種族を決めていた…


元からの騎士の属していた彼らである為、オーガでも問題は無かったが、オーガの乱暴さもなく、どちらかといえばプライドが強い傾向が、結構見られる。


その上、素人であるが冴子の大剣を防ぐほどの剣術もあることから、俺は彼らに二つの種族を見出した。


一つはドラゴニュート。

いわゆる竜人。


だが、竜人に変えるには、彼らの能力スキルでは無理であった。

元が高貴な血を引いてない平民出身であったので、そこが原因であるか。


もう一つは、リザードマン。

いわゆる蜥蜴人。


こちらはドラゴニュートぐらいにプライドが高い竜人の派生種族で、部族の誇りも強く、剣も一般の人間と比べたら精鋭と呼べるに相応しい。

何よりも、騎士に属するリザードマンも珍しくも無いので、問題は無い。


あと、マンと付いているが、これはヒューマンのマンから来てるため、男に使うマンとはちょっと違うニュアンスでもある。


ゆえに、フローゼさんも含めて、リザードマンに変異させる事にした。


「それじゃあ、行きますよ」

「うむ。何時でもどうぞ」


無言のフローゼさんも含め、二人の同意を得た俺は亜人化魔法を発動し亜人へと変えていった…


まず最初に、手足が蜥蜴のような鱗に覆われ、爪を蜥蜴みたいに鋭くなり…


次に、尾てい骨部分から蜥蜴の尻尾が伸びていた…


そして、頭部以外の全身の皮膚が蜥蜴上の鱗に覆われ、耳の部分が竜のようなヒレ状の形となっていった…


よくある蜥蜴顔のリザードマンではなく、竜人に近いリザードマンに変異したようだ…



「ふむ…これが亜人か。しかも、リザードマンとはね」

「鏡は見られますか?」

「是非とも」


二人とも、良子が用意してくれた等身大鏡の前に、色々と見比べていた。

そして、満足したのか割と気に入ってくれた様子だ。


「確かに、鱗と尻尾、そして耳以外は特に代わったところはないな。

しかも、顔が人間の時のままとは珍しい」

「俺が素質がある者に魔法を使うと、人間の頃の名残が出ますね」

「そうか…それじゃあ、フローゼ。新しい門出と共に、キンジ達と共に歩もうじゃないか」


ギルバートさんがフローゼさんにそう言い聞かせると、フローゼさんは頬を紅く染めて、ギルバートさんを抱きしめていた。


あの、お願いがありますから…亜人化魔法を使う際に、服脱いで貰っていますから、終りましたら服着てくださいな…お二人とも…






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