第14話 生き残りの処遇
村の子供の食事後に、今度は村の女達を食事させる合間に、俺は残った騎士の三人に尋問をしていた。
無論、暴力等の脅しを一切無しでだ。
「考えは改める事はない。そう解釈していいんだな?」
「そうだ!お前らの様な蛮人以下の魔物に、我らは屈したりはしない!」
「…うむ。頑なに断ってても良いんだが、拒否しても何も変わらんぞ」
「くどい!我ら人間は聖なる加護の元で生まれた!貴様等みたいな汚れた魔物などに染まるくらいならば、死んだ方がマシだ!!」
典型的に頭の固い真面目な役人体質に、俺は心底うんざりをしていた。
…が、ここでキレてこいつらを殺したり、蓮の実験を行なえば、亜人はただの野蛮人な魔物だと言う認識を与えかねない。
そうなれば、騎士団どころか国王軍との全面戦争だ
いくら俺達でも全滅はしかねない。
それだけは避けねばならなかった。
なので、俺は次の手で発破を掛けていった。
「なぁ、お前ら…俺達が来る前のこの村の現状は知っていたのか?」
「…何をだ?」
「人身売買。特に、若い娘が王都に売られていたことに…」
「…辺境の村の現状など知らん。我々の国は人が多すぎるのだ」
「では、もう一つ聞く。…勇者が来て何度も救われているのに、何故民は豊かにならないんだ?」
「それはお前達が村々を襲って略奪しているからだ」
「違うな。大抵の亜人、特にゴブリンやオークの大半は臆病だ。現に俺の様なトロールやオーガが通り縋っただけで、彼らは隠れてやり過すぐらいに臆病だ。そんなゴブリン達が強く出れるのは森とかで数十匹で群れを作ってる状態で、人間一人か二人を相手するぐらいが限度だ」
「じゃあ何だと言うのだ!?」
「決まっているじゃないか。お前達のお上…つまりは王や貴族、そして役人達が必要以上に平民から貪り税を取っているからだ。前に相手した勇者が言っていたが、満足に働けない勇者には粗末な支援しかやれないくせに、自分達が悠々と生活できるほどの環境を整ってるそうじゃないか。その生活を維持する為に、どれだけの金や物資がいると思っているかね?」
「そ、それは…」
「毎日食い残すほどの食事、豪華で雅な衣装や家具、絶える事のなく入れ替わりをする使用人。お前達騎士ならば普段目を配れば気になる所は沢山あるはずだ。それとも、庶民から上がった騎士と貴族からの騎士との対応の格差があるのか?どうなんだ?」
流石のこの質問に、騎士三人は目を泳がせながら答えようか戸惑っていた。
…ビンゴだったようだ。
見たところ、三人のうち二人の騎士からこの村人並に若干頬がこけており、鎧を脱がされた服から見える肌から見ても、あまり良い食事を取れてはなさそうであった。
一方で、俺が頭を潰した団長らしき男の遺体を見る限りでは、鎧の下の肉付きが…筋肉というよりも贅肉が多く、悪い意味で油が乗ってるぐらいに鍛えていないのが証拠であった。
それ以外の死んだ団員のいくつかは、贅肉はないものの、肉自体が痩せてないきちんとした筋肉を取れていた事に気付いた。
あと、三人のうち一人は団長と同じぐらいの贅肉をあることから、こいつは貴族出身ではないだろうか。
「…お前の言う通りだ。騎士団でも格差はあr」
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!お前ら亜人が全部悪いんだ!!お前ら亜人や魔物が俺達の領地に入りこむから王が怯えて愚民からも徴兵するようになったんだ!俺達の生活が悪くなったのが全部お前達d」
その瞬間、俺は持っていた斧をその貴族騎士の成れの果ての横に向かって振り、地面を陥没させる形で威嚇した。
「お前には聞いておらん。黙っておれ」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ…」
貴族騎士は悲鳴を上げながら腰を抜かしたのか…小便を漏らしながら鼻水を垂れ流しながら泣いていた。
…正直、女でありながら、こうであるとは情けなさ過ぎる。
「すまんな。ああでもしなければ喚き続けるだろうと思ったからな」
「あっ、いや…その…こっちこそすまない」
「しかしまぁ…あんた、結構度胸あるな。そこの貴族と違って、俺と目をあわせ、しかも自分の意志を貫き通すほどの勇気…実に尊敬に値する男だ」
「…なんか、亜人らしくない発言だな。人間と話してる気分だ」
「そりゃそうだ。だって、俺も異世界から来た勇者達と同じ元人間だ。まぁ、運命の悪戯なんだろうが、異世界に来る際に神から亜人にされた」
「そうか…通りで話が通じる亜人だと思った。団員を殺した事には今にも許す気がないが、村の女と子供を守るというお前の気持ちは理解した」
「これでも前の世界では法治国家、つまりは法の下で准じて生きてきた人間だからよ。まだ成人前とはいえ、平等から逸脱した理不尽すぎる封建社会等には御免こうむりたいんでね」
「そうなのか…だが、私はあくまでも騎士だ。国は裏切られない…」
「そうか…」
「だが…」
そう言いかけた騎士の男は、身につけていた紋章の入った勲章を外し、地面に置いた。
…そう言うことか。
「今、騎士を辞める事で、私は一人の人間になった。コレで貴殿と相手する事はないだろう」
「…良いのか?」
「ああ。そのかわり、私ともう一人の彼女は亜人に変えるのは待ってくれ。…一度、この国の現状を見て回りたい。なるのはその後だ」
「…何時までも待ってやる」
俺はそう言いながら、男と隣に居た無口な女の逃亡用にかけていた縄を切り、二人を解放してやった。
「一応、身元が分かるといかんであろう?ならば、少し用意をするから待ってくれないか?」
「ああ。直ぐには行かないから安心してくれ。それと…」
「うむ。そこで悲鳴を上げて怯える馬鹿の処理は任せてくれ。あと…」
「ギルバート、ギルバートだ。隣の無口なこいつはフローゼ」
「ギルバートに、フローゼだな。俺は錦治、横山錦治だ」
「キンジか。よろしく頼む」
ギルバートとの交渉を終えた俺は彼ら二人を丁重に扱う様に、皆に伝えた。
さて、問題は残ったこいつであるが…
「おい、起きろ。お前には他にも山ほど聞きたいんだよ」
「あいつ等…叔父上を死を無駄にした挙句に裏切って…」
「いい加減に起きろ、豚女。じゃないと、捻り殺すぞ」
俺の脅しに貴族騎士の女は悲鳴を上げながら俺を見ていた。
…よくさぁ、女騎士とか姫騎士とかの幻想を抱く奴が要るけどなぁ、はっきり言って、今の小便を粗相して鼻水と涙で汚れまくったこいつを見て、欲情するとか言う奴の神経を見てみたい。
というより、はっきり言うが…某ぽっちゃり女芸人がそのまんま騎士の格好をして羞恥状態といって、襲う奴っているのかというぐらいの疑問だ。
まぁ、あまりゴチャゴチャと考えるのもアレなので…
「蓮。用意できたか?」
「出来たよ、兄さん。…でも、試すの?」
「いきなり村人の女に試すのもアレだからな。どうせならば、こいつがどうなろうとも誰も良心を痛めないしな」
俺はそういいながら、蓮から貰ったアラクネの毒を受け取った。
「それと蓮、あの村長どもの状態はどうなんだ?」
「うーん…全員僕の糸でグルグル巻きにされてるからね。喚き散らしてはいたけど、頭まで糸巻くと窒息しそうだから止めておいたんだ」
「そうか…」
「あっ、でも、兄さんに良いものを渡そうと思ってたんだ♪」
そういって、連は新しく作ったスカートの中に手を突っ込み、艶めかしい声を上げながら下腹部のあそこから卵みたいな塊を出してきた。
…アラクネになってからは、更に色っぽくなってしまった弟に、思わずよろめきそうであったが、そこは堪えておこう。
気を取り直して、蓮の出した卵らしき物体に興味を持っていた。
「もしかして、卵のうか?蟷螂とかのあれとかの」
「うん、そうなんだ。本来は男の人と交わらないと出来ないんだけど、僕の場合は特殊で交わらなくても作り出す事が出来るんだ。一応、スキル欄には書いてあったから大丈夫だよ」
「そうか…蜘蛛の卵のうか…そうだ!」
俺はそう言いながら、蓮から生み出された卵のうを受け取り、例の貴族騎士の前に立っていた。
「今からお前に二つの選択肢をやる。一つは、アラクネの毒を飲み干し、アラクネになることだ。もう一つは、アラクネの卵のうを飲み干し、アラクネの卵を羽化する事だ。拒否権はないぞ」
「こ、この腐れ外道が…!!」
「外道で結構。どっちにしろ、お前さんを人間として生かしては置けん。このまま生きて返せば、お前は嘘八百で王や大臣に報告し、俺達を討伐しようと躍起にさせるからな。黙らせるには丁度良い」
「ぐっ…ど、毒を寄越せ!!」
そういった貴族騎士に、俺は蓮の毒を投げ渡してやった。
(今に見ておれ…!毒飲んで死んでも、私には神の加護がある!ならば、死んで帰還できれば問題ない…!!)
と、思っているんだろうな。
あの勇者の加護は特殊なもので、お前達ただの貴族にはないはずだが…
まっ、元からの勇者家系ならばあるかもしれないし、次郎さんみたいに20年前からの異世界トリップした勇者の家系ならばありえるかも知れないが、期待は薄いだろうな。
だが、蓮に渡された毒は、ただの毒とは知らずに飲むとはねぇ…
「蓮。見ておけ…これが素質無しでの普通の変異だ…」
「うん、分かった…」
毒を飲み終えた貴族女は…蟇蛙の鳴き声のような悲鳴を上げ、体を変異させていた…
脚部を中心に音を立てながら蜘蛛の腹と三対の蜘蛛足を生やして、残りの足も蜘蛛の足になり…
上半身が毒々しい蜘蛛の体毛に覆われながら、手の爪を鋭くさせ…
元々醜悪な顔が更に拍車をかけるように蜘蛛そのもの顔、つまりは四対の蜘蛛の目と、蜘蛛の牙が付いた口が形成し、完全醜悪なアラクネへと変貌してしまった…
…うん、蓮との差が激しすぎる。
いうなれば、蓮が亜人のアラクネであるならば、こっちは完全な魔物。
つまりは怪物のアラクネとなっている。
「…伝承通りのアラクネになったな」
「ぼ、僕が言うのもあれだけど…これは酷い」
「ナ、ナゼワダジガゴンバズガタニィ!?」
「心が歪みすぎてるからだ。お前みたいに自分保身しか考えない奴にちゃんとした姿をしたアラクネなんてなる筈がないだろうが」
半分は嘘で、半分は本当であった。
先ほども言ったが、素質のないものを無理やり変化したりすれば、イレギュラー反応を起して、怪物もしくは魔物側になるんだろう。
ただ、ここまで醜悪に変化するとは思ってはなかったが…
「オ、オボエテオレヨ!!イツカカナラズフクシュウシテヤル!!」
「ああ。覚えていたらな…」
そう捨て台詞を吐いて逃げた醜悪アラクネは村を飛び出し、森の中へと消えていった…
まぁ、アラクネだから多少は長生きはするだろうが…人間としては終っていたな…
「…とまぁ、こんなわけだ。一応、お前にも分析魔法を覚えさせるから、素質が有る無しで毒変化を使い分けてくれ」
「う、うん…分かった」
っと、蓮に声をかけるついでに、物陰に隠れていた他の皆にも伝わる様にしていった。
…隠れてるのはモロバレなんだから、気になるなら来いよ。
「んじゃ、村の女性陣は全員OKなんだな?」
「うん、そうして頂戴って」
加奈子の言う通りに、村の若い女性達全員は亜人に同意し、老女達は全員人間のままで良いということになった。
本来ならば、比較的生命力の強い亜人に、老女達も変化させたかったが、自然のままで大地に帰り、神の下へ行きたいと願っていたのである。
ここまで懇願させられたら、流石には無理なので、彼女達の意見に尊重し、残った若い女性達に変えていくことにする。
なお、村の子供にて、一部の男の子ともうじき成人する男性にも亜人になる事を希望してきたので、そちらもあとでやる事にした。
「とりあえず、均等的に…ゴブリンとオークの素質は、男性にしかないな」
「うーむ…本来は雄が多い種族だからね。野性の雌のゴブリンとオークは早々に少ないのも現状だよ。錦治君」
「そうですね、次郎さん。…んで、ミノタウロスになれる女性が三人、ケンタウロスになれる女性が4人、おっ?ノームになれる女性が五人もいる。あとは、ハーピーが三人、アラクネが二人…という所か」
「兄さん、アラクネの素質がある女性は、僕に任せてくれないかな?」
「そのつもりだ。そことそこの女性だから、頼む」
俺が指名した二人の女性を蓮は連れて行き、他の皆から見えない様に隠していった…
実を言うと、アラクネの毒には媚薬の効果もあるからな…
あの二人の女性は、当分骨抜きだろう…
そんな俺の様子を、冴子ら五人がジト目で見ていた事に気付き、思わず咳き込んで改めていった…
と、その時であった。
一部の男達がこっそりと抜け出し、馬小屋から早馬を乗って飛び出し、そのまま逃げていってしまったのだ…
「あいつら…!?」
「待て、直子。今行った所で間に合わん」
「でも!あいつ等は…!?」
「それに、もうすぐ夜だ…王都に付く前に魔物に襲われる…」
俺が言うように、夜を徘徊するのが物凄く危険だ。
ある程度レベルのある冒険者ならば、大丈夫であろうが、逃げ出した村人の男は、ただの人間。
はぐれゴブリンならば勝てるだろうが、夜行性で活発化した原種オークなどに遭遇すれば、一溜りもないだろう。
況してや…
「ギルバートさん。この国のあたりに、徘徊して動き回る特定危険に指定された魔物とかはいますか?」
「あ、ああ…確かいたな。私達も、この村に来るまではその魔物に遭遇しないように移動していたぐらいだからな」
「ちなみに、その魔物の名前は分かりますか?」
「確か、あれは…ベヒーモスと言ったな」
その魔物の名前に、俺と加奈子は真っ青になった。
まさか、この初心者とも言える国の地域に、凶悪な魔物がいるとは…
「…錦治君?」
「どうしたの?顔色が悪いわよ」
「…加奈子」
「な、何…錦治君」
「あとで、皆にベヒーモスの話をしようか」
そう答えた俺に、加奈子は頷くしか出来なかった。
その後は、村の女性も無事に亜人化させる事が出来、子供達の一部も亜人に変えたあたりで、日が沈んでいる事に気が付いた。
騎士達の遺体を村の墓地に埋葬終えた俺達は、新しくなった村人達に共同で晩飯を作る合間に、俺と直幸、蓮、次郎さんの四人は、村長が保有する穀物納屋に入っていった…
中には、蓮の糸でグルグル巻きで拘束され、宙吊りにされた村長と取り巻きの初老女達が一斉に睨みつけてきた。
「この疫病神どもが…オラ達の村を壊しおって…!!」
「何がオラ達の村…だ。お前達が私服を肥やしたおかげで、村に不公平な環境になっていたじゃないか。その上、俺の大事な弟を売り飛ばそうとした…正直許しがたい」
「はん!子供も産めないオカマなんかは、男色の貴族様に売りつければ大金が入るものの…お前ら異世界人がどれだけオラ達に迷惑をかけてば気が済むんだ!!オラ達はオラ達の世界のルールでやりたいんだ!!」
「そんなもん知るか。あと、本音を言ってくれてありがとうな。これで心置きなく、お前らを処せるわけだ…。次郎さん、直幸、あの中で体を許せそうなのはいますかね?」
俺の問いに、次郎さんと直幸は首を横に振り、拒絶をしていた。
「君が俺達を連れてきた理由が分かったが…こんな女の捨てた物体に欲情する方がどうかしている」
「あのさぁ…錦治。いくらなんでも、俺がミノタウロスだからって、次郎さんと同じ繁殖をさせようと思うなよ…幾らなんでも、傷つくわ」
「すまん、直幸…。アレの時は、俺も交じって徹底的に苗床になって、オークとミノタウロス、そしてトロールの繁殖に貢献してもらおうと思っていたが、これで綺麗さっぱり流せそうだ。そういうわけだから、蓮、あとは処理して良いぞ。…卵のうの母体にしてやってくれ」
俺の発言に、次郎さんの直幸が驚いて身を引き、ソレとは別に、蓮が幾つかのアラクネの卵のうを手に持って、村長達の下へと歩き、女達の口の中に卵のうを押し込んでいった…
「おい…錦治。あれは…」
「アラクネというより…蜘蛛の生態の一つの卵のう産み付けだ。本来なら蜘蛛の生態の中には自分の腹部に卵のうを付け、生まれてきた子蜘蛛に自らの母体を食わせる蜘蛛も自然界にはいる。そして、アラクネの種族の中には、人間の体…特に、女性の下腹部のあそこか、もしくは人間の口に卵のうを入れ込み、内部から孵化させてから食い破らせる繁殖方法もある」
「錦治君…君って本当にえげつないね」
「えげつないは褒め言葉です。だが、この方法の繁殖は、俺達以上に外道な行為を行なった者達への制裁の一環です。蓮は、その汚れ役を引き受ける事に承諾してくれました。良いか悪いかは別として、これは子供達と言うものに冒涜した大人達への処罰です。そこだけは、履き違えをしないで貰いたいです」
「錦治君…」
「もし、これが悪だというならば、その時に貴方自身の手で俺を罰して頂き、俺がやっている事の代替をやってください。貴方と直幸には、その権利はあります」
「…馬鹿やろう。お前も雲居も、背負い過ぎなんだよ…」
そういって直幸は外に出て行った。
すまんな、俺には非道かつ外道な事しか出来ん。
「…俺からも直幸君と同じ意見だ。あまり背負わないでくれ」
「…善処します」
次郎さんも、同じ様に外に出ていった…
残った俺と蓮の二人で、卵のう飲み込まされて全身を糸で隠された取り巻きの女達を処した後に、最後に残った村長に迫っていった。
「さて、何か言い残す事は無いか?」
「お前ら許さねぇ…絶対に呪ってやる…絶対に呪い殺してやる…」
「恨み言なら地獄で聞いてやる。蓮、卵のうを貸せ」
蓮から無言で卵のうを受け取った俺は、恨み言を言い続ける村長の口に押し込み、窒息させない程度で飲み込ませてやった。
そして、それ以上何も言わせないように口を糸で塞ぎ、残りの部分を蓮が完全にグルグル巻きにして、同じアラクネ以外が二度と破れない様に巻いていった。
…次合う時は、孵化して共食いに生き残った子供一人であろう。
そう考えながら、俺は重苦しい穀物納屋の扉を閉めていった…
その日の夜は、蓮を含めた学生全員は寄り添う様に、馬がいなくなった馬小屋の藁の中で寝ていた。
次郎さん達は竜車の中で寝ると言ってくれたので、竜車は次郎さん達に任せることにした…
一応、ギルバートさん達も逃げ出した男達の空家で一夜を明かすとの事。
たぶん、大丈夫だろうな…
ただ、亜人になった村人女性陣からの聞こえる媚声に…うん、物凄く…
悩まされるんだが…
「てか、冴子、加奈子、直子、美恵、良子…お前ら胸押し付けすぎだろ」
爆睡して寝相が悪いのか知らんが、止めてくれ…
まじで俺、干乾びそうなんだよ…
「大丈夫…兄さんが僕が守る…ムニャムニャ…」
いや、頼もしい弟で助かるが…
俺の後ろに回ってうつ伏せで寝るのは勘弁してくれ…
あっ、今直幸の悲鳴が聞こえてきた。
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