19 おしおき現場



 数日後。


「さあ、もっと鳴きなさいな。私を裏切った罪は重いですわよ! おーっほっほっほ!!」


 私はすごくいけない現場を目撃してしまった。


 登校後、朝の挨拶をするためにマローナの元に向かえば、お仕置き現場があった。


 男子生徒を踏みつけにして、つま先でぐりぐり。


 とても痛そうだ。


 物理的にも、精神的にも。


 言葉を失っていたら、人の気配に気が付いたマローナに挨拶される。


「ごきげんよう」

「ごっ、ごきげんよう。マローナ様」


 いつも思うけど、なんでこの人、人の気配に敏感なんだろう。


 足音立てたつもりなかったのに。


「そうだ。今度劇場で流行りの劇を見に行く予定があるんですけど、一緒に来ませんこと?」

「そっ、その日は、どうしても外せない家の用事があるので申し訳ありません」

「まあ、それなら仕方ありませんわね」


 用事があるなんて嘘だ。

 つい、口か出まかせを言ってしまった。


 だって、あんな現場見てしまったら普通引く。


 小心者の私は、「次は自分の番だ」とか思ってしまう。

 そんな心境で、一緒に悪役とお出かけイベント?

 それ、なんの罰?


 両親には、後で言って口裏を合わせておかなければ。

 理由は、友達とケンカした、遊びに行くのが気まずいとでも言っておこう。


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