09 ピアノが得意な年下少年二コラ・アンジュストーム




 クリス=攻略キャラ疑惑を抱きつつも話を続ける。


 パーティーの主役の情報を思い出す。


 あの日に誕生日を迎えたのは、一つ年下の美少年。二コラ・アンジュストームだ。


 得意はピアノ。


 コンクールで何度も入賞した事がある。


 けれど、入賞を繰り返すばかりで、目立った賞を取った事が無いようだ。


 スランプに陥っているらしく、ピアノの腕を磨こうと焦っているとか。


「その二コラが、ええとげーむの登場人物?」

「ええ、そうです。彼は比較的温厚な人物なので、人格者として描かれてますね」

「そうなの」

「捨てられていた猫を拾ったり、落とし物を届けたりと」

「お人よしなのかしら?」

「物好き、ともいえますね。学校の中で、平民服を着ていじめられていたヒロインに一目ぼれしたというストーリーなので」


 どういう状況?


「いじめで水をかぶって、着る物が無かったんですよ。それでマローナが手を回して、代わりに用意したものが、みすぼらしい平民服だったというわけです」

「陰湿すぎるし、やけに手の込んだいじめね」

「でも、そのおかげ、と言ったら彼女に悪いですが、それで二コラとのストーリーが始まるんです」


 みすぼらしい恰好に萌えるなんて、変な人ね。

 でも、ある意味、ヒロインのありのままを受け止めてくれるキャラとも言えるのかしら。


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