05 死の運命が待っているらしい



 幸いにも特待生の少女は、私とマローナが話している間に逃げて行ったらしい。


 ひとまずイジメに加担せずにすんだ。


 けれど私は、「ではごきげんよう」と去っていくマローナを見おくって呆然。


 いなくなった私を探してその場にやってきたクリスに、今あった事を伝えると彼は、真っ青になりながら、「大変な事になりましたよ」と、説明してくる。


 その内容は、できればもっと早く言ってほしかったものだ。


 悪役令嬢マローナは、残忍な性格だ。


 自分の思い通りにならなかった人間に、ビンタしたり、つき飛ばしたりするのは可愛い方。


 彼女の機嫌を損ねた者は、専用の地下牢獄に閉じ込めていたぶられてしまうとかいう話だ。


「あなたのいうそれって恋愛げーむ? なんでしょ? なんでそんな凄惨な事がおきるのよ」


 私が読んでる恋愛小説でもそうそうない展開だ。


「残念ながら私の生きていた前世では、そういったゲームがブームになっていたんですよ。ハードモード? 的な難易度高めなゲームが。ゲーム内では詳しく描写されてませんでしたが、あれは確実に死人がでています。背景に血痕がありました」


 私は頭を抱えた。


 つまり、マローナの取り巻きになってしまった私は、下手を打つと死んでしまう事があるらしい。


「何で、今まで蝶よ花よと育てられてきた貴族のお嬢様に、生きるか死ぬかの瀬戸際に放り込むのよ!?」

「すみません」


 起きてしまった事は仕方ない。


 どうにか死の運命を回避しなければならなかった。


 けれどクリスが「マローナを無視したりするのは駄目です。彼女は無視されると激怒するので、関わってしまった以上、何でもしてご機嫌取りをしてください」と、言う。


 先行きの暗い話に私は不安になるしかなかった。


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