03 悪役令嬢マローナ・キャンディル



 私は学校に通っている。

 けれど、通学時も授業時も放課中も、私の隣には、いつもクリスが一緒だ。


 私の家はそれなりに裕福なので、通っている学校も相応。

 生徒達も、中流から上級階級の者達ばっかりだ。


 だから、お付きの者として執事が一緒に登校するのはよくある話だった。


 そんな学校なのだが、そこには地雷があるという。


 悪役令嬢マローナ・キャンディル。


 わがままなご令嬢で、とにかく近よらない方が良いとの事。


 気に入った人間には優しいが、彼女の機嫌を損ねた者にはかなり厳しく接するらしい。


 クリスは顔を真っ青にしながら、何度も私に「絶対に近づかないでください」という。


 けれど、ぴんとこなかった私は、とりあえず首を縦にふりつつも、あとでどんなものか見に行ってみようと思った。


 それが間違った判断だという事は、後に分かる事だった。


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