02 クリスハード・ラナトクス



 私の執事、クリス。

 彼は、幼い頃からの付き合い、ではなく数年前にこの屋敷にやってきた執事だ。


 最初は見習い使用人だったけれど、この屋敷にくるやいなや彼の才能が開花。


 あっという間に昇進。


 数か月後には、私のお世話係兼教育係に任命されていた。


 大きくなった今は、専用のお世話係が他にいるし、教育係もいるけれど、執事として日常の大部分を任せているのはクリスだった。


 クリスはしっかりもののお兄さんという印象だ。


 優しくて、何でもできる。


 けれど、唐突におかしな事を言うのが玉に瑕だった。


「ちきゅう」とか「てれびげーむ」とか。


 てれびげーむの方は、最近にたような言葉の「てれび」が発明されるとか何とかいう話が広まっているが、とにかくたまにそういう事をいうのが危なっかしい。


 完璧なのに、ちょっと変。


 それが私の彼に対する認識だった。


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