第31話 妖精
「宇多方」について語ろう。
桃乃華市には
あなたは「妖精」と聞いて、どのような姿を想像するだろうか? おそらく、羽根をもった小さな美少女だと思う。おそらく、アニメや漫画の影響が大きいのだろう。期待を裏切って申し訳ないのだが、そんな愛らしい姿では決してない。
首から下は人間に似ているのだが、首から上は別物である。ザンバラ髪を垂らしており、両眼は頭部の側面についていて、鼻と口は大きく前に突き出している。頭部だけ見れば、トカゲに似ている。
いや、鋭い牙と強靭な
「妖精」に指先を食いちぎられた人間を、僕は何人も知っている。強靭な顎はバキンと骨ごと噛み切り、第一関節から先を奪い去っていったのだ。もちろん、バリバリと食らうためである。
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