第22話 肝試し


「宇多方」について語ろう。


 平成から令和になった年、子供たちが夜の小学校で肝試しをしたところ、十人の子供が行方不明になったという。半分の五人は数日後に帰ってきたが、残りの五人は今も戻ってきていない。


 桃乃華市の小学校なので、神隠しにあったと見て間違いないだろう。令和になっても、宇多方では神隠しは起こっている。主な原因は、暗闇に対する恐れがないためだろう。


 暗闇は昔から、別界と繋がっている。別界の醸しだす不気味な雰囲気は、子供でも直感的にわかりそうなものだ。背筋が凍りついたり、吐き気を覚えたり、耐え難い悪臭を伴っている。


 行方不明事件の後、小学校は夜間の出入りを禁止したが、神隠しは昼間でも起こるらしい。令和になってからも年に数人の子供が消えている。

 調べてみると、その小学校では開校以来、百人足らずの子供が消えていた。神隠しは、時と場所を選ばないのだ。


 ちなみに、その小学校には七不思議があるらしい。階段の数が一段増えたり、二宮金次郎像が歩いたり、保健室の人体模型が踊ったり、といった定番のものである。


 ただ、騒々しい足音の聞こえる無人廊下や、悲鳴の聞こえる無人教室などは、消えた子供たちが起こしているのかもしれない。


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