第五話 G先生のぐだくだ鑑定

 絶望する僕を尻目に、物事は想像よりも早くテキパキと進められた。

 僕は病院へ運ばれ、謎の機械に何度も体を通され、血を抜かれ、よくわからないヨボヨボな医者にツボを押され…気がつけばまたカオスな生徒会室へ戻ってきていた。

 そして、今、生徒会の面倒をみているというG先生にジロジロと診られ鑑定されている。今日一番意味不明な時間だ。

 G先生はガッチリと鍛えられた体格に、怖そうにみえる顔、貫禄のある年齢。その全てが格好良さを演出していた。

「うーん…」

 そう言いながら僕の瞳を覗き込む。

「好きな食べ物は?」

「うどんです。消化に良いので」

「なぜここへ来た?」

「母の願いです。受かるとは思っていませんでした」

 僕は疲れていたのだろう。正常な判断など出来ず、ヤケクソ半分でありのままを答えていた。

「これからどうするつもりだ?」

「特にありません。平和に過ごせればそれでいいかと…」

「名前は?」

「…奏です」

「努力はできるか?」

「できるとは思いますけど…」

「…けどなんだ?」

「正直、努力の意味を見いだせません。無能力者はどうやっても能力者には勝てません」

「うーむ…確かに君の言う通りかもしれない。お前は確かに天才には勝てない。けれど、お前が頑張り続ける限り努力しない阿呆に負けることはない。凡人の努力ほど有意義なものはないと思うがね。」

 皺を寄せ、歯を見せ、ニッと笑うG先生の瞳は何かを見透かしたような強さがあった。

「あの…それで先生、鑑定の結果は…?」

 アハハとラル会長の愉快な笑い声が響く。

「じー先生は鑑定スキル持ってないよー」

 ふざけたような口調でとんでもないことを言うラル会長を軽く睨む。だが、どうやら冗談ではないようだ。サッス先輩は鼻で笑い、まほちゃんまでもニヤニヤしている。

「はぁ?!」

「もう寮に帰っていいぞ少年、それから君は明日から生徒会の一員だ。朝七時にはここに到着しておいてくれ」

 考える気力すらなくなった僕は言われるがままに寮へ帰った。

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