第四話 変わり者だらけの生徒会
『新入生いらっしゃい』と書かれた幕が一番まともだと思えるほど生徒会室はカオスだった。
穴だらけの等身大人形、山ほどある玩具、飼われているハムスターとそれのためのゲージなど、思わずラル生徒会長を二度見するほど学校らしくない部屋だった。ここまでくると無駄に重く雰囲気のあるドアが滑稽に思えてくる。
「わぁ〜新しいおもちゃ増えてるじゃん!あとで一緒にやろ〜」
二度見したときにはもう、ラル会長の会長らしい姿は崩れていた。
「おかえりなさーい、ラルちゃん先輩。あのね、新入生さんのためにいろいろ用意したの」
「え〜そうなの〜!まほちゃんいい子だねぇ、可愛いねぇ〜」
まほちゃんと呼ばれた少女は幼く、まだ小学生のように思えた。
そして、まほちゃんと同じ調子で話すラル会長に先輩として尊敬できる部分は見事なほど消え去っている。
「あの…僕に説明を…」
僕が戸惑っていると鼻で笑いながら、「こっちに来なよ新入生」と手招きする先輩がいた。カオスな部屋とラル会長ばかりに目を向けて気が付かなかったが、一角だけ生徒会室らしい空間があった。
「悪いな、変なやつばかりで。」
苦笑いを浮かべる先輩の周りにはたくさんの書類と本、会議録が置いてあった。
「まず、俺は生徒会副会長のサッス。生徒会の人間は今のところ三人だけだ。それで、何が知りたい?」
「えーっと、まずは、ラル会長って…」
「あぁ。こいつのスキル、<尊敬>は生徒会室にいると無効化される」
「え…?」
「そもそも尊敬スキルは体力消耗が激しい。ずっと完璧な自分でいることは難しいって説明すればわかるかな?能力によって強制的に完璧を引き出されている状態は心身ともに疲れるだろ」
「わかります」
「それから、まほはギフテッドだ。才能に溢れているため飛び級で高校生として学んでいる」
「そうですか。…それで僕はどうしたらいいのですか?」
「もうすぐ先生が来る。ラルが勝手に君の能力の調査を依頼したらしい。ごめんね」
僕の視界は真っ暗だった。結局ラル会長は僕を騙してここまで連れてき、正式な検査をさせた上で退学にさせるつもりだろう。
楽しそうなまほちゃんとラル会長の声を聞きながら、僕は諦めに似た味のする心をひたすら噛み砕いていた。
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