第14話 伏羲の登場(黒幕参上です)
天空が雷雲へと変貌する。
暗闇の巫女は七星を切るように。
指を振るう。
「七星よ。我が軍の盾となりて守り給え。七星結界!」
天空に結界が張り巡らされると。
同時に。
膨大な雷が降り注いだ。
雷は全てを破壊せんと。
うねりを上げるが。
結界は雷光に怯むことなく。
神々しい光を見せつける。
「うぉお。すげぇ、あれも宝具か?」
妲己は首を振る。
「いえ、あれは魔術です。打神鞭を耐える魔術なんて初めて見ました。すっごいです」
妲己が関心紛いに見ていると。
結界に浮かび上がった。
七つの光点が。
一つ、一つと砕け散る。
「おいおい。結界にヒビが入り始めてるぞ」
碧が冷や汗を流して言うと。
妲己は袖の中をまさぐりながら言う。
「仕方ありませんね。あの雷、止めましょうか。あっ………宝具、
妲己のやらかしに気づかず。
暗闇の巫女は天を見上げ。
好戦的な笑みを見せる。
「流石、打神鞭。私の結界を此処まで砕くだなんて。……このままでも耐えきるでしょうが、格の違いってのを見せてあげるわ」
暗闇の巫女は短刀を取り出すと。
演舞し始める。
「七星、九星よ。この星の並びは何人足りとて妨げること叶わ……ん?」
暗闇の巫女は背後から圧を感じ取ると。
妲己が落とした。
宝具、金鞭が。
双竜へと変貌し。
暗闇の巫女に愚直する。
「へっ? 嘘」
暗闇の巫女が間抜けな声を漏らすと。
同時に双竜に突撃され。
宮殿の奥深くまで吹き飛ばされていった。
「あっ、やっちゃいましたね」
妲己が他人事のように言うと。
碧が妲己の肩を揺らしながら言い放つ。
「やっちゃったじゃねぇだろうが。……って、天空の結界も砕け散ったぁ! マジ、死ぬ、死んじゃう!」
上空の結界は砕け散り。
大規模な落雷が落ちようとした。
正に其の瞬間。
「じゃあ、解除しますね。打神鞭よ。雷を返してください。ハウスです」
妲己がそう言って。
打神鞭を上空に投げると。
雷の全てが打神鞭に吸収され。
何事もなかったかのような。
晴天の大空へと変わる。
「……妲己ちゃん」
「はい、どうしました。詐欺師さん?」
碧は妲己に近づくと。
頭をぐりぐりしながら言い放つ。
「初めっから、それ使えぇ!」
「痛いですぅ! 暴力反対ですぅ!」
宮中の奥から。
ズタズタになった。
双竜が吹き飛ばされ。
妲己の前に崩れ落ちる。
双竜は形を保てず。
金鞭の姿へと戻った。
「ああ、金鞭さんがボロボロに」
宮殿の奥から。
暗闇の巫女が。
はだけた衣服を見せながら。
笑みを見せる。
「やっと分かったわ。……妲己、あんたの目的がね」
「へっ? 私に目的があったのですか」
「……あんた、
「ご、誤解です! そ、それに、二度まで赦すって言ったじゃないですか」
「あんた、三度も攻撃してんでしょうが!」
一触即発になりかけた所。
妲己が腕に纏っていたブレスレットが光り輝き。
目の前に。
伏羲の姿が投射される。
「やぁ。妲己。あと、詐欺師君もいるかな」
「げっ、伏羲」
「あっ、伏羲様です。どうしたのですか」
「ちょっとトラブルがあったみたいでね。……この世界に結界が張られて。僕の目から、其方の世界が見えないようになっているんだ。今は、そのブレスレットを介して、声だけが聞こえる状態だ」
「結界なら、さっき打神鞭で破壊されましたよ」
「さっきの結界ではない。君らが其の世界に舞い降りると同時に放たれた結界のことを言っているんさ」
「へぇ。そうなのですか。大変ですね」
「他人事みたいに流さないでくれ。このままだと、君らの動向を見守れない。早々に此の結界を解除してくれ」
「解除? そんな器用なこと。私にはできませんよ」
「……宝具、
妲己はムンクの叫び。
のような表情になって。
両手を頬にあてたまま言い放つ。
「た、た、た、たたた太極図。駄目です、あんな強大な宝具を使えば、ふ、ふふふふ不幸が。未曾有の不幸が訪れてしまいます」
「妲己君。これは命令だ。早々に解除せよ」
「ええ、ですがぁ」
妲己が拒絶の姿勢を続けていると。
伏羲は声色を変えて言い放つ。
「叶えたい願いがあるのだろう。ならば、惑うことなぞないはずだ。……もし、君が果たしたい願いを捨てるのなら、話は別だろうがね」
「……ふ、不幸です」
妲己は重い溜め息を漏らすと。
袖の中から。
太極図の陰陽が描かれた。
球体を取り出す。
太極図は妲己の手元で浮かびあがると。
天空へと飛翔する。
妲己は感情のこもらぬ声で告げる。
「宝具、太極図よ。万象を解き明かしなさい」
蒼天の大空には。
八卦の文字が描かれた。
結界が浮かび上がり。
太極図は其の全てを解除せんと。
緩やかに動き始めた。
「太極図で解呪、解除できぬものはない。何者が私の邪魔をしようとしたのかは知らぬが、無駄なことだったね」
「………」
伏羲が嘲笑するかのように言い放つと。
暗闇の巫女は冷たいまなざしで。
伏羲の映像を見据えていた。
次回。
太極図でも無理でした。
お楽しみに。
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