2作品目「入学式」

 入学式の日。

「遅刻するかと思った……」

 まさか会場が学校じゃないなんて。ちゃんと案内を前日までに読んでおくべきだったわ。

 学校の近くの講堂を借りて入学式なんて、なんて贅沢なのかしら。って考えながらたどり着いたのだけれど。うちの科、全然居ないじゃない!

「え、早すぎ?」

 唖然としていると、近くから話し声が耳に入ってくる。

ー「今年は大丈夫かねぇ」

ー「大丈夫なわけ無いだろう 毎年毎年 奇想天外が起こるってのがうちの風物詩のようなもの」

ー「やめてくれそんな風物詩…」

 奇想天外!?

「おはよう」

 リュックを背負ったまま硬直していた私に、宝和里 仁之が登校?してきた。

「お、おはよう……えっと……」

「俺も名前覚えてねぇ」

「だよねぇ」

 大半はリハーサル5分前には集合していたが、少数がギリギリで駆け込んでくるか遅刻して来た。ただその人数が尋常じゃなかった。

「(そんなに遅刻してくる!?)」

 リハーサルも押し、本番も押したが、なんとか無事終わった。各科40名、200名が順番に学校に引率された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る