創造の楽園

@Artficial380

1作品目「ようこそ創造学園へ」

 ありとあらゆる縁ある天才製作者の卵が集う場所、そんな学校がこの世にはある。


 そしてそんな学校にある教室の、窓際最後の席に横長のリュックを下ろした。

 私は「夢無 夜音(ゆめなし やと)」、この高校に今年入学予定の……まだ中学生。今は春休み中に行われる入学事前説明日、通称「招集日」に来ている。

 朝日が差し込むここで、既にやんわりとグループが出来ているのを見て、げんなりした。もう少し早く来ればよかったかも、そしたら話せる相手も見つかったかもしれないけど……。知り合いが一人も居ない私には、ちょっとハードルが高い。それよりも早く絵を描きたい。

「おーい 座れ座れ〜」

 ガラッと引き戸が開かれ、先生がぞろぞろと入ってくる。作業着を来た男女、男のほうが多いがそれぞれ特徴的な顔立ちをしている。この人たちについてはまた後で話そうと思う。

「今から色々配るぞ〜 量が多いから自分のものしっかり管理しろよ」

 先生たちが1冊ずつ教科書を回してくれる。普通教科から始まり、製図や真っ青な道具箱も配られた。

「道具箱開けてくれ 中身が無かったら言ってくれよ これから使う大事なものだからな まずは……」

 蓋を開いた時、私の目は幼児のようにキラキラしていたと思う。工業で使う基本的な道具一式が揃って、私のものになったのだ。


 諸々の説明が終わり、宿題も配られ今日は解散となった。

 帰り支度をしていた時、声をかけられる。

「よっ!」

 彼女は右斜め前に居たクラスメイト?だった。

「これからよろしく メッセージ交換しようぜ」

 携帯を取り出してQRコードを差し出してきた。

「え? うん いいよちょっとまってね……」

 初めてのことで慌ててしまったが、無事交換できたようだ。

「ざっす」

 とスマホをいじりながら話を続ける。

「俺 東区なんだ」

「私も東区だよ」

「まじ!? え イエロー線?」

「うん イエロー線で来た」

「一緒に帰らね?」

「一緒に帰る!」

 こうして私は初めての友達を作ることが出来た。同じ線で同じ電車、流石に降りる駅は違ったけど誤差の範囲。


 家に帰って早速メッセージを送ろうとした。

「はじめまして」

 と既に一昨年お互いに送っている。

「え!?はじめましてじゃなかったんだ!?」

 と、メッセージが送られてくる。

「らしいね……どこであったんだっけ?」

「体験入学じゃね?」

 マジかと思った。こんな偶然を初日に体験するなんて!

「これからもよろしく」

「よろ〜」


 桜散り始めたこの日、人生を180度変える学校生活へ踏み出していくのだった。

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