第52話 白いスライム
僕達はヘンダーソンをあとにし、パッソコ村へと向かった。
「なあ、クルル」
「なんじゃ?」
「マカダミアナッツチョコレート、いったい何箱買ったのさ」
「一グロスじゃ。何か問題あるか?」
(一グロスって十二ダースだよな。それを僕のギルドカードで買ったのか)
「はぁ、なんでそこまで買うかな」
「ん? ソレトの冒険者ギルドへのお土産じゃ。このくらい必要だろ」
(クルル、気配りできていなかったよ。いろいろとありがとう)
僕達は長い道のりを経て、ようやくパッソコ村に着く。するとディアから、
「ラルフ、ここは?」
「あぁ、リーンの生まれ故郷だよ」
「ほぅ、何じゃあれは?」
「キングスライムだよ。クルル知っているんじゃないの?」
「わらわはザコに興味がない」
(ザコって、魔王から見たら、人間すべてですよね)
クルルと話していると、リーンに気づいたのかキングスライムは変化した。
『おかえりリーン』
「「!!」」
赤緑青のスライムの変化にディア達が驚いている中、リーンはスライムに言う。
「アカ、アオ、ミド、ただいま」
『きれいなおねえさんとまおうがきたね』
「そう、この子がディア」
「はっ、初めまして」
『らるふのつま』
「こっちがクルル」
「お、よろしくじゃ」
『おてんばムスメいえでちゅう』
スライムへの紹介が終わったあと、スライムから、
『あのねリーン』
「どうしたの?」
『あたらしいあそびみつけたの』
「どんな?」
『ねんわ』
「念話?」
『ソウはなれていてもダイジョウブ』
「へー、そんなんだ」
『タブンはなしかけるとトオクデモきこえる』
そう告げると変化し、無数の白いスライムが現れた。
「リーン、これ?」
「うーん。あーしわからない」
「たぶん、一つずつ持って、話しかけると、別のスライムに伝わるんだと思う」
「ん? ディア、具体的には」
「リーちゃん、一つ持って」
ひょこひょこひょこと娘は白いスライムを追いかける。ディアが捕まえて、
「はい、じゃあ耳にあててね」
そして、ディアは娘にスライム渡し、遠くへと行く。
「いくよー。『リーちゃーーん!』」
「ママー!! げんきー?」
『うん。元気』
(なるほど。シルフみたいに伝言できるのか)
「おもしろそうじゃ、わらわもやるのじゃ」
そう言ってクルルは白いスライムに、
「おやじーの、バカーーー!!」
ゴロゴロゴロゴロ
ピカッ
ズドーン
ピカッ
ズドーン
(あーあ、神々の怒りだな)
『お姉様。私、頑張って、天界に戻れるようにしたのに』
「おー、アテネか。ヘンダーソン良かったぞ。お前も行ったらどうじゃ」
ピカッ
ズドーーン、バゴーーン、ピジャー、ズドーン
(女神様、お怒りはわかります)
そして、僕はリーンと相談し、数匹の白いスライム達を持っていくことにした。次の目的地はソレトだ。ようやく僕達の原点の町へ行く。
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