第42話 ラーメン大食い選手権

 僕達は帝都をあとにし、ルルミア王国へと向かう。


「なぁ、サル、レベル上がって、どんな魔法を覚えてたの?」

「おう、ヒールとキュアだ」

(なんにも覚えてないのね。これなら、サル切って、リューク入れるべきだったな。覆水盆に返らず)


「ヒールをよく使っているから、ハイヒールあたり覚えてもいいんじゃないの?」

「キュアの方が何倍も使っているぞ」

(ん? 使うところ、あんまり見ていないぞ)


「娼婦から性病もらったときにキュアを掛けまくらなきゃ、治んねぇんだよ」

(やっぱりそうか。相変わらずエロいね。あと神官服を前後逆に着ているよ)


 僕達が帝都の隣町に着くと、たくさんの人が集まっている場所があった。


「何だろうね? あれ」

「ムネピコ一緒に見に行くかい?」

「うん!」


 近くに寄ると、大きい横断幕が見えてきた。


「ラーメン大食い選手権?」

「ムネピコ、どれだけ多くラーメンを食べられるか、競い合うんだ」

「わぁーー、面白そう。おいらやる!」


 みんなお祭り好きみたいだ。うちのパーティーからは、ヤン、サル、ムネピコが参戦することになった。


「みなさーーん、こんにちはーー。今日は待ちに待った、ラーメン大食い選手権が開催されまーす」


「エミル、なんか熱気がすごいね」

「そうですね。なんでこんなに盛り上がっているんですかね?」

「うーん。滅多にイベントが開催されないんじゃないかな」


 そんなやり取りをエミルとしていると、司会進行役の女性から説明があった。 


「優勝者にはラーメン食べ放題一年分が贈呈されます!!」

(おお、ラーメン好きにはたまらないね)


「準優勝にはヘンダーソンリゾートホテル三泊四日ペア宿泊券」

(僕は二位の方がいい、二位じゃダメなんですか?)


「三位の方にはポケットティッシュが贈呈されまーす」

(二位と三位って物凄く差があるんだね)


「おいら、三位狙うね。いつでも鼻をかめるじゃん」

(人の価値観って違うもんなんだね)


「よし! ここで頑張って汚名挽回だ!!」

(サル。違うよ。それは不名誉な評判を取り戻すことになるよ。汚名返上、名誉挽回ね)


「ヤンさん。頑張ってください」


 ◇


「制限時間は十二時間です」

(半日ってやり過ぎじゃない?)


「よーい、スタートォーー!」


 ◇


 結果は、ヤンが六十五杯、サルが十二杯。

 そして、ムネピコは百二十杯で準優勝だった。


「二位かぁ」

(ムネピコ、あとでポケットティッシュ買ってあげるから)


「ピコにダブルスコアで負けるのか。マジ悔しい」

(ヤン、頑張ったと思うよ)


 そして贈呈式が行われ、ムネピコはリゾート宿泊券を手にした。

(そうだ!)


「よし帝都に戻ろう! リゾート宿泊券、リーン達にあげよう」

「お前が決めることじゃないだろ」

(ヤン。そうだね。すまん)


「いいよ。おいらポケットティッシュが欲しかったから」

(すまない。僕のワガママで。ムネピコ、ありがとうね)


 ◆


「チョー嬉しい。あーし達結婚したから新婚旅行で行ける!!」

(超スピード婚だな。リーン、君は絶対にリュークを手放したくないんだね)

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